
駒澤大学、そして東海大学の入れ替え戦(参入プレーオフ)出場は、2000年以前に遡る。
両チーム、2001年以降にも1部・2部の昇降格を経験しているが、2005年以降は自動昇降格制度の導入により、入れ替え戦は廃止となっている。
駒大の直近の入れ替え戦は、1991年の第65回大会。1部リーグ最下位となった駒大は、2部リーグ優勝チームの慶應義塾大学と対戦。当時は再試合制度があっため、スコアレスドローとなった1試合目では決着がつかず、再試合で2-0の勝利を収めて1部に残留した。
東海大学の直近の入れ替え戦は、2000年の第74回大会。2部準優勝の東海大が、1部7位の慶應義塾大学と対戦。2-3で敗れて1部昇格とはならなかった。なお、東海大が出場した2000年の入れ替え戦と、神奈川県リーグから2部リーグに昇格した1999年の入れ替え戦の『Never』については本サイトでも閲覧可能だ(リンクをクリック)。
両チーム監督、選手とも「コンセプト的に似ているところがある」と口をそろえるように、駒大も東海大も、タイプとしては似たところの多いチームだ。伝統的に守備からサッカーに入り、攻撃への展開の速さが武器となっている。したがって、ともに重きを置いている堅固な守備をどう突破するかが、この試合のキーになるだろう。
駒大は前線への速いボール運びに加え、昨季から強化している「外からボールを早く入れる」という仕掛けがうまくはまれば、迫力ある攻撃を展開できる強みがある。そのためにも、189センチの長身FW松本ケンチザンガを中心に、快足のウォーモハメッド、ドリブル突破が魅力の髙橋優斗ら攻撃陣の活躍に注目したいところだ。「攻撃については少し淡白なところがあり、もう少し粘ってほしいところもあった」という駒大・秋田浩一監督だが、リーグ終盤では「戦っていた」と成長を認める。さらに視野が広く、ゲームをコントロールしながら自らもゴールを狙う小島心都、正確なキックとゴールへの嗅覚に優れたルーキー、小林栞太などが絡み、畳み掛けるような攻撃で相手のゴールをこじあける。
一方で、秋田監督は「一発勝負の試合では、東海大のようなチームがいちばん怖い」とコメント。
警戒すべきは、当然ながら2部リーグ得点ランキングの1位と2位を占めた、藤井一志と桑山侃士の2トップ。藤井は裏への抜け出し、そしてゴール前でのアイデアに優れ、リーグ戦では1試合で5得点を叩き出したことも。桑山は、高さはもちろん、シュートセンスに優れ、こちらもリーグ戦でハットトリックを達成した点取り屋だ。東海大・今川正浩監督は「攻撃についてはそのアイデアというか、攻撃本来のもつ面白さを大切にしたい」と多くを語らないが、西山拓実や長江皓亮、坂本翔、杉山祐輝ら、彼らのゴールを引き出す優れたキッカーが東海大の攻撃を支えていることも忘れてはならない。
守備には定評のある両チーム。それだけに、いかに相手に脅威を与えるかがポイントになることは間違いないだろう。
プレーオフに向けて「運動量と切り替えの速さ、そして空いている人をうまく使って前にボールを運ぶサッカーは、だいぶうまくいくようになった」と言う駒大・秋田監督だが、「もう一度きっちり引き締めていかないと。決して侮れない相手」と警戒をあらわにする。
一方、東海大の今川監督は「対戦相手というよりは、自分たちが掴み取った切符に対し、どれだけ選手たちが勝利しにいけるか」がこの試合の鍵だと語る。
駒大にとっては31年ぶり、東海大にとっては21年ぶりとなる入れ替え戦だが、両者が入れ替え戦で対戦したのは1985年まで遡る。このとき、駒大は1部最下位となり、1部残留を懸けて2部優勝チームの東海大と対戦。結果は東海大が1-0で勝利し、東海大が1部昇格、駒大が2部降格となった。
37年ぶりとなる参入プレーオフでの再戦。状況は違うだろうが、当時も今も、勝利に賭ける想いは変わらない。はたして勝利の女神はどちらに微笑むのか。