今季の歩み
駒澤大学(1部リーグ10位)
昨季はリーグ戦で準優勝、続く『MCC スポーツpresents 2021年度 第70 回 全日本大学サッカー選手権大会』(インカレ)では14大会ぶり7度目の優勝を果たした駒澤大。
“大学日本一”を掲げて迎えた今季だったが、リーグ戦ではスタートダッシュに失敗し、ようやく初白星を挙げたのは開幕から5試合目。
「ひとりひとりの能力は、昨年と大きく変わらない。ただ、チームとしての力がうまく嚙み合わないというか」。
駒大・秋田浩一監督はそうリーグ戦を振り返る。
駒大の特徴といえば粘り強く、堅固な守備。だが第3節の東京国際大学戦、第4節の東洋大学戦にともに4失点と、昨季まで2部の“昇格組”に立て続けに大量失点を喫している。「全体をコンパクトにして、前からプレスをかけていく形を念頭に置いていたが、ディフェンスラインが上げられなかった」(駒大・秋田監督)。
その後も4試合連続で未勝利が続くなど、シーズン序盤から厳しい展開となった
その後も明治大学に6失点で敗れるなどして、6月の3連戦初戦、第9節にはついに最下位に。しかし残り2戦で今季初の連勝を挙げて1部リーグ残留圏の9位に返り咲いて前半を終了する。
9位スタートとなった後半は、まずまずのスタートだったといえるだろう。失点は相変わらず多かったものの、複数ゴールを挙げる試合もあった。1トップにはセンターバックからFWに転向した松本ケンチザンガ、ウイングには快足のウォーモハメッド。それに小島心都、小林栞太らが嚙み合った試合では、相手を圧倒することも。降格圏にある10位以下とは勝点5差が開いており、残留争いからは一歩抜け出した感があったことは確かだ。
しかし、そのことに「安心しきっていたわけではないが、安易さにつながっていたのかもしれない」(同監督)。第18節、第19節、そして延期となっていた第14節でまさかの3連敗。しかも、すべて無得点の完敗だった。なかでも延期となっていた第14節の相手は、1部リーグ残留を争う流通経済大学。両チーム拮抗した試合展開となったが、駒大は後半の76分に得点を許すと、そのままその1点を守りきって敗戦。この瞬間、駒澤大学と流通経済大学の順位が入れ替わり、駒澤大学は1部参入プレーオフ出場圏内の10位へと後退した。
だが、駒大はここから最後の踏ん張りを見せる。3連敗で10位に転落した次の試合、第20節では国士舘大学に2点を先取される展開に。このまま4連敗かと思われたが、失点後の交代起用が奏功し、上野正騎、松本が立て続けに2点を奪い試合を振り出しに戻す。2失点したことで「何人かが開き直ったのがよかった」(同監督)というが、この勝点1が駒大にさらなる勢いをもたらした。
第21節の相手は、前期で4失点を喫した東洋大。 東洋大もインカレの出場が懸かっているだけに負けられない試合だった。しかし、もう後がない駒大も立ち上がりから積極的に仕掛け、30分にバーを直撃したボールを拾った小林が後藤康介につなぎ、後藤が先制点を決める。駒大はさらに39分、小島がGKとの1対1を制して追加点。前半だけど2点のリードを得た駒大は、59分にも追加点を挙げ3-0で完勝を収めた。この時点で、9位の流経大とは勝点3差ながら、得失点差は10点差で駒大が有利な状況。流経大の敗戦が前提ながら、勝てば1部残留を決められるところまで持ち込んだ。
しかし「厳しい試合になると思っていた」という最終節の順天堂大学戦は、後半に順大の先制点を許す展開に。しかし最後まで粘り強くゴールを狙い続け、終了間際の90+1分に、途中出場の野村天真がゴールを決めて1-1に。9位浮上はならなかったが、「最後はみんな戦ったかと思う」(同監督)。
リーグ戦を終えての最終成績は、5 勝6分11敗の勝点21。秋田監督は「勝負は最後までわからない」と、選手をときに鼓舞し、戒めて1部リーグ残留のラストチャンスを手にした。最後まで、なかなか安定しなかったことが悔やまれるものの、3連敗のあとの3戦では駒大のチーム力で勝点をもぎとった。この踏ん張りが1部参入プレーオフにどのように活きるか。
駒澤大学 リーグ戦結果と順位の変遷
節
|
対戦相手
|
スコア
|
開催日
|
順位
|
1
|
拓殖大学
|
1●2
|
4月2日
|
9位
|
2
|
桐蔭横浜大学
|
0△0
|
4月6日
|
7位
|
3
|
東京国際大学
|
1●4
|
4月10日
|
9位
|
4
|
東洋大学
|
0●4
|
4月16日
|
10位
|
6
|
順天堂大学
|
3○0
|
5月14日
|
9位
|
5
|
国士舘大学
|
0●2
|
5月22日
|
10位
|
7
|
明治大学
|
1●6
|
5月29日
|
11位
|
8
|
早稲田大学
|
1△1
|
6月5日
|
11位
|
9
|
筑波大学
|
0●2
|
6月11日
|
12位
|
10
|
法政大学
|
1○0
|
6月15日
|
9位
|
11
|
流通経済大学
|
2○1
|
6月18日
|
9位
|
12
|
拓殖大学
|
1●4
|
9月10日
|
9位
|
13
|
早稲田大学
|
4○1
|
9月28日
|
9位
|
15
|
桐蔭横浜大学
|
1△1
|
10月2日
|
9位
|
16
|
法政大学
|
3●4
|
10月9日
|
9位
|
17
|
明治大学
|
1△1
|
10月12日
|
9位
|
18
|
東京国際大学
|
0●2
|
10月16日
|
9位
|
19
|
筑波大学
|
0●1
|
10月22日
|
9位
|
14
|
流通経済大学
|
0●1
|
10月25日
|
10位
|
20
|
国士舘大学
|
2△2
|
10月30日
|
10位
|
21
|
東洋大学
|
3○0
|
11月6日
|
10位
|
22
|
順天堂大学
|
1△1
|
11月12日
|
10位
|
※延期日程があるため、節順ではなく開催日順に結果・順位を表示しています。
今季の歩み
東海大学(2部リーグ3位)
例年以上に大混戦となった、今季の2部リーグ戦。
前期リーグ終了時には、首位から1ゲーム差内に6チームがひしめく状況で、首位も日替わりならぬ、節替わりで目まぐるしく変化した。
そんな中、東海大はどちらかといえばゆっくりと勝点を積み上げる形でリーグ戦序盤を戦った。開幕からの3戦は2分1敗。初勝利は第4節と遅め。その後もしばらくは勝ちと分けと負けを繰り返し、順位も5位~7位を上下する“中位グループ”に定着した……と思われていた。
その風向きが変わったのは前期リーグも終盤に差し掛かった頃。東海大は第9節で東京学芸大学に勝利すると、前期残り2試合でも勝利を収めて3連勝。順位も3位に浮上し、一気に優勝・昇格争いに名乗りをあげた。
中断期間を経て後期リーグが始まると、東海大はここでも2連勝。前期と合わせて5連勝を収め、第13節ではついに首位へと躍り出た。
「昨年来、守備の強化を続けてきた。それは今年も変わらない。ただ守備が安定したことで、攻撃にもいい形で入れる回数が増えたと思う」(東海大・今川正浩監督)
その言葉どおり、5連勝中で失点はわずかに2。うち3試合はクリーンシートでの勝利で、守備力の安定が好調の要因であることは間違いない。だが、それ以上に際立っていたのが攻撃、特に得点力の高さだ。得点王に輝いた藤井一志、ランク2位の桑山侃士の“東海大学付属高輪台高校出身コンビ”が、コンスタントにゴールネットを揺らし東海大の躍進を支えた。
しかし、その後は日本大学、中央大学に敗れるなど「結果的にだが、昇格した2チームに勝てなかった。勝負どころで勝てなかったのは、自分たちのサッカーをやり通す部分が足りなかったという気はする」(今川監督)。
混戦のリーグ戦、ひとつ負ければ順位が大きく下がることもある。大学によってはそのまま調子を落とし、昇格圏外に後退することも。しかし東海大は「そこで踏みとどまって、連敗せずにいけたことが、プレーオフの切符を取れたことにつながっていると思う」(今川監督)。
日大、中大に敗れたあとは4勝2分、6戦連続で負けなしと、大崩れすることなく上位2チームをピタリと追随した。最終節は、プレーオフ出場を狙い猛追する4位・立正大学との直接対決。この大一番でも、東海大は藤井の2ゴールを含む4得点を挙げ、立正大を突き放して3位を確定させた。
リーグ戦の最終成績は、12勝5分5敗の勝点41。自動昇格2チームには1ゲーム及ばなかったが、特筆すべきは総得点。上位2チームよりわずかながら上回り、失点の少なさは優勝した中大に次ぐ2位。攻守両面でのバランスのよさが、上位躍進のきっかけとなったことがわかる数字だ。また得点はもちろんだが、複数失点を喫したのは22試合中わずか4試合と“堅守”の東海大の面目躍如となっている。
今川監督は「去年より今年、前期より後期」と着実に勝点を積み上げてきたことが、1部参入プレーオフという結果につながったという。前期途中、思うような結果が出ないときは「少しぶれた」が「東海大として準備してきたものに、チーム全員が向き合った」ことで踏みとどまった。
残るは1試合。全員が向き合った「東海大として準備してきたサッカー」で、今季最後の一戦に臨む。
東海大学 リーグ戦結果と順位の変遷
節
|
対戦相手
|
スコア
|
開催日
|
順位
|
1
|
中央大学
|
1△1
|
4月3日
|
2位
|
2
|
日本大学
|
1●2
|
4月6日
|
7位
|
3
|
日本体育大学
|
1△1
|
4月9日
|
7位
|
4
|
関東学院大学
|
2○0
|
4月17日
|
3位
|
5
|
慶應義塾大学
|
0●1
|
5月1日
|
5位
|
6
|
立正大学
|
1△1
|
5月15日
|
7位
|
7
|
青山学院大学
|
2○0
|
5月29日
|
4位
|
8
|
産業能率大学
|
1●2
|
6月5日
|
6位
|
9
|
東京学芸大学
|
3○0
|
6月11日
|
5位
|
10
|
明治学院大学
|
2○1
|
6月15日
|
5位
|
11
|
城西大学
|
3○1
|
6月18日
|
3位
|
12
|
明治学院大学
|
1○0
|
8月6日
|
2位
|
13
|
青山学院大学
|
5○0
|
8月9日
|
1位
|
15
|
日本大学
|
2●4
|
10月1日
|
4位
|
16
|
東京学芸大学
|
5○0
|
10月8日
|
3位
|
17
|
中央大学
|
2●3
|
10月11日
|
3位
|
18
|
日本体育大学
|
2○0
|
10月16日
|
3位
|
19
|
産業能率大学
|
0△0
|
10月22日
|
4位
|
14
|
城西大学
|
2○1
|
10月25日
|
3位
|
20
|
関東学院大学
|
1○0
|
10月29日
|
3位
|
21
|
慶應義塾大学
|
1△1
|
11月6日
|
3位
|
22
|
立正大学
|
4○1
|
11月12日
|
3位
|
※延期日程があるため、節順ではなく開催日順に結果・順位を表示しています。