『JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦』1部リーグ第10節は、5月31日(土)に3試合、6月1日(日)に3試合が行われた。
なかなか波に乗り切れない9位・東洋大学は3位の明治大学をホームに迎えて対戦。前年度インカレ王者・東洋大学と前年度リーグ戦王者・明治大学の一戦は、ホームの東洋大が先手を取った。19分、東洋大は相澤亮太が右サイドを突破。ゴール前に上げたクロスは明治大に弾かれるが、混戦の中で髙橋輝がゴールに押し込んで先制点を挙げる。しかし、22分には雷が鳴り始め試合は一時中断に。約1時間半後に安全を確認したうえで再開されるが、にわかに吹き始めた強風の影響もあってか、再開後は明治大が一方的に押し込む展開に。エンドが変わった後半になっても状況は変わらず、東洋大はキャプテンの湯之前匡央、そして昨年インカレでの怪我でチームを離れていた山之内佑成を投入するなどするが、チャンスにまで結びつけることができない。一方、主導権を握っていた明治大も東洋大の粘り強い守備をくずしきれず無得点のまま。このまま東洋大が逃げ切るかと思われた90分、明治大は内山開翔の右コーナーキックを八巻涼真が頭で合わせ、ついにゴールネットを揺らす。しかし、その後は追加点を挙げることなくタイムアップ。両チーム1-1の痛み分けとなった。
1部リーグ唯一の未勝利チームとなってしまった11位・流通経済大学だが、今節待望の初白星を挙げた。ホームに8位・東京国際大学を迎えての試合は、激しい雨に伴う劣悪なピッチ状況の影響もあって低調な滑り出しに。しかし0-0のまま折り返すかと思われた45分、松本洋汰が右から入れたクロスがゴール前でバウンドして山野春太の足元に。山野は冷静に右足を振り抜き先制点を挙げる。流通経済大はこの1点を最後まで守りきり1-0で勝利。ルーキー・山野のデビュー戦から続く3戦連続ゴールでついに今季初勝利を収めた。
3勝目を挙げたい10位・慶應義塾大学と2勝目を狙う12位・桐蔭横浜大学。下位に沈む両チームの試合は、落雷のため6分で中断になるなど開始早々から波乱含みの展開に。それでも約1時間30分後に再開されると、26分に桐蔭横浜大の肥田野蓮治が右サイドからペナルティーエリアにカットイン。ゴール前で出したパスを櫻井勇斗が突き刺して先制点を挙げる。1点のビハインドを負った慶應義塾大だが後半開始早々の50分、齋藤真之介が左から上げたクロスをファーサイドの立石宗悟がダイレクトボレーで決めて同点に追いつく。振り出しに戻った試合は、ここから激しいゴールの奪い合いに。追いつかれた桐蔭横浜大は61分、池田柚生のクロスに櫻井が頭で合わせて追加点。櫻井の連続ゴールで再び勝ち越すと、その8分後にも中島孝介の右からのクロスに交代直後のンワディケ ウチェ ブライアン 世雄がヘディングシュートを決めて3点目。1-3と慶應義塾大を引き離した。だが慶應義塾大もその5分後の74分、コーナーキックの流れからGKが弾いたボールを石田航大がバイシクルシュートで決め1点差に詰め寄る。しかし、その後は桐蔭横浜大も冷静にゴールを守り2-3のままアディショナルタイムに突入。このまま桐蔭横浜大が逃げ切るかと思われた90+4分、交代出場の三浦大其がペナルティーエリア右外からミドルシュートを放ち3点目を挙げる。桐蔭横浜大は土壇場の失点で、2勝目を目前で逃すことに。一方、慶應義塾大は3試合連続でアディショナルタイムでのゴールを挙げるなど、独特の粘り強さで勝点1を積み上げた。
翌6月1日には首位・国士舘大学と2位・日本体育大学、勝点2差の"首位攻防戦"が行われた。消化試合数は日本体育大が1試合少ないとあって、ここで国士舘大から首位を奪取すれば、日本体育大が有利になる。しかし、ともに攻めあぐねる状況が続きなかなかゴールを割ることができない。それでも39分、国士舘大はアシストランキングトップ・田中祉同のヒールパスを近藤優成がゴール右隅に突き刺して先制する。後半に入ると、1点リードの国士舘大が危なげないゲーム運びで日本体育大の攻撃を抑え、1-0のまま試合終了。首位攻防戦を制した国士舘大は連勝を7に伸ばし、2位・日本体育大との勝点差も5に開いた。
一方、初の黒星で4位に後退した筑波大学は4連敗中の7位・中央大学と伝統の"中筑戦"。試合は両チーム序盤からボールを動かしてチャンスを作るが、どちらも決定力に欠け0-0で前半を終えた。後半に入ると筑波大が少しずつ勢いを増し、66分に布施克真が右から仕掛け、篠田翼がゴール前にクロスを入れるとこれを内野航太郎が頭で押し込んで先制する。しかしその後は中央大も田中幹大らが何度となく決定機を迎えるものの、どうしてもゴールを割ることができない。すると81分、相手のミスからゴール前でボールを拾った内野が振り向きざまのシュートを放つ。筑波大が0-2とリードを広げると、終了間際の90+3分には中央大DFのクリアボールがそのままゴールに吸い込まれ、オウンゴールで追加点。終わってみれば0-3と筑波大が快勝を収めた。
だが筑波大・小井土正亮監督は「0-3で終わったのが不思議だと思うくらい、やられたシーンもたくさんあった。ウチには前線に内野がいて、相手には決めきれる選手がいなかった。今日の差はそれだけだった、というのが率直な感想」と両手を挙げて勝利を喜ぶ様子はない。天皇杯ではJ2のRB大宮アルディージャに勝利する"ジャイアントキリング"を起こしたが、その前に初黒星を喫していたことで「自分たちを見つめ直そうということで引き締まった状態で天皇杯を迎えられた」という。この試合では、エース内野が今季初の複数得点で勝利に貢献。「自分の特徴はやはりゴールだと思うし、ゴールで価値を上げていかないといけない選手だと思っている。どんな試合でもゴールを目指しているが、今日はそれが実ってよかった」と安心顔。この勝利で再び3位に浮上したが、次節は4位に後退した宿敵・明治大学との直接対決。そしてその後に天皇杯2回戦のV・ファーレン長崎戦と負けられない戦いが続く。
ともに直近2試合の戦績は1分1敗と、勝利から遠ざかっている位・日本大学と6位・東海大学の直接対決。試合は日本大がやや優勢に試合を進めながらも、攻守の切り替えの早く拮抗した展開に。すると23分、日本大は浅野良啓のフリーキックを五木田季晋が頭で合わせて先制。1点を追う東海大もその後、星景虎らを中心に日本大陣内に攻め込むがゴールまで至らず。さらに後半頭からは渡邊翼、遠野翔一のふたりを同時に投入するなどして流れを変えようとするが、最後まで日本大の守備を崩しきれず1-0でタイムアップ。日本大が4試合ぶりの勝利で、東海大との勝点を4差に広げた。
首位攻防戦は国士舘大が首位を堅持し、7戦連勝で勝点を24に伸ばした。筑波大、明治大より消化試合が2試合多い国士舘大だが、3位の筑波大とは勝点7差、4位・明治大とは8差と消化試合数以上の勝点差を稼いでいる。次節に勝利すれば、首位でリーグ戦を折り返すことが確定する。一方、3位の筑波大と4位の明治大は次節で直接対決。延期試合がまだ残っているとはいえ、ここで勝たないと首位グループに差をつけられるだけに、重要な一戦となるだろう。
※表示スコアはホーム対アウェーのスコアで表示。
1部リーグ第10節 全結果・順位表