『JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦』1部リーグ第11節は、6月7日(土)に3試合、8日(日)に3試合が行われた。
2位に勝点5差をつけて首位を快走する国士舘大学は、ホームに6位の東海大学を迎えて対戦。拮抗した試合が動いたのは22分。国士舘大はサイドチェンジのパスを起点に前線でボールを回すと、ペナルティーエリアの外で田中祉同からのボールを受けた近藤優成が大きくカーブするシュートを放ちゴールネットを揺らす。近藤の2試合連続ゴールで国士舘大が先制する。後半に入ると東海大も攻勢を強め、星景虎らを中心に国士舘大を責める。しかし63分、国士舘大はコーナーキックからチャンスを作り、田中のパスを本間凜が収めて浮き球のパス。これを須藤太一が頭で押し込み追加点。国士舘大がリードを2点差に広げる。その後は東海大も何度となくチャンスを作るが、最後までゴールを割ることなく2-0で国士舘大が完勝。連勝を8に伸ばした。2位以下のチームは延期試合を残しているが未消化1試合の2位・日本体育大学に勝点5差、3位・筑波大学に勝点7差をつけているため、この勝利で首位での折り返しが確定した。
前節、首位攻防戦で惜敗を喫した2位の日本体育大学。10位・慶應義塾大学との試合は、どちらも攻めあぐねる時間帯が続き0-0のまま前半が終了。後半も一進一退の攻防戦が続くが、試合も終盤に差し掛かろうという79分にようやくスコアが動く。79分、ペナルティーエリア左外でフリーキックを得た日本体育大は、米陀大洋のキックを勝田大晴が頭で合わせて待望の先制点。このゴールが決勝点となり、日本体育大が1-0で勝利。延期試合があるため暫定とはなるが2位を堅持した。
序盤は好調も第6節からまさかの5連敗。泥沼状態が続く7位・中央大学は、ホームで勝点1差の9位・東京国際大学と対戦。立ち上がりは中大が積極的に攻撃を仕掛けるも、次第に東京国際大がボールを奪い主導権を握る展開に。21分には、齋藤晴からのクロスを収めた古谷柊介が振り向きざまのシュートを決めて先制。「(ボールを)浮かせるというアイディアは、海外やJリーグの試合を見ていて思い浮かんだアイディア。イメージどおりにいき過ぎた」という、古谷会心のゴールで東京国際大が先制する。ビハインドを負った中央大は後半の頭から尾川丈、新鉄兵のふたりを投入。68分にも杉山耀建をピッチに送り出すと、少しずつ試合の流れは中央大に傾く。すると85分、東京国際大がハンドの判定を受け、中央大がペナルティーキックを獲得。キッカーは持山匡佑。絶好の得点機はしかし、東京国際大GK・北橋将治がブロック。「こういう場面はいつか必ずくると思っていたので、ふだんからペナルティーキックの練習はしていた。(相手の)目線や表情を観察してここに来るな、と。自信はあった」(北橋)。最大のピンチを防ぎきった東京国際大がそのまま1点を守りきり0-1で勝利した。
翌8日は、昨年度王者の4位・明治大学と一昨年王者の3位・筑波大学が対戦。勝点1差で競り合う注目の一戦は、早い時間にスコアが動いた。5分、筑波大はセンターバック・小川遼也のロングキックに廣井蘭人が抜け出し、GKのタイミングをうまく外し頭で押し込んで先制点を挙げる。幸先のよいゴールを決めた筑波大だが、その後は明治大が主導権を握り攻撃を仕掛ける。だが、35分には小林亮太が負傷で交代するなどのトラブルにも見舞われ、どうしてもゴールを割ることができない。明治大は後半の頭から内山開翔と真鍋隼虎、筑波大も佐野健友を投入して試合の流れを引き寄せようとするが、どちらも決めきれず膠着状態が続いた。だが73分、筑波大は清水大翔の左サイドからのロングパスに内野航太郎が反応。「清水選手がパって前を向いたとき、勝手に自分として一番(相手にとっての)怖い動きが出た」。3人の選手につかれながらも、絶妙なタイミングでシュートをゴール左隅に突き刺して追加点。「自分の考えやイメージに、ようやく結果がついてきた」という内野の2試合連続ゴールで筑波大が0-2とリードを広げた。全体的には「押されている時間帯が多かった」(内野)という筑波大だが、明治大に決定機を作らせることなく0-2のままタイムアップ。
筑波大はリーグ2連勝で天皇杯2回戦、V・ファーレン長崎戦を迎えることとなった。一方、今季リーグ戦無敗の明治大はこれが初黒星。昨年、リーグ戦が現行方式になってから初となる無敗優勝を達した明治大が、リーグ戦で最後に敗れたのは2023年度リーグ戦の最終戦。奇しくも相手は同じ筑波大だった。以来、567日ぶりの敗戦となった。明治大・池上寿之監督は「内容的にもボールをもたされていたという感じ。ゴールも取れずに終わったので完敗。筑波大さんの実力が上だったというだけ」ときっぱり。約1年半ぶりとなる黒星についても「選手たちも負けられないというプレッシャーの中で、できないことがたくさんあった。そういう意味では負けてよかった。ここからまたスタートすればよいという意味で、自分はこの負けをポジティブに考えている」と語った。
5位・日本大学と8位・東洋大学の対戦は、立ち上がりこそ日本大が仕掛ける場面もあったものの、試合の流れは次第に東洋大に。スコアが動いたのは後半序盤の52分。東洋大は怪我から復帰し今季初スタメンの主将、山之内佑成がサイドチェンジのパスを受けて左サイドから仕掛ける。倒れ込みながらもゴール前に上げた山之内のクロスを、村上力己が頭で合わせて先制。その5分後には、先制点を上げた村上が中央突破を図りゴール前にスルーパス。これに反応し、ゴール前に抜け出した髙橋輝がGKとの一対一を制して追加点を挙げる。髙橋の2試合連続ゴールで2-0とリードを広げた東洋大だったが、日本大も終盤の84分、浅野良啓のフリーキックを長谷川皓哉が頭で合わせて1点差に詰め寄る。しかし、その後は東洋大が危なげない試合運びで日本大の攻撃を防ぎきり2-1で試合終了。東洋大が勝点を12に伸ばして6位に浮上した。
最下位に沈む桐蔭横浜大学は、前節初白星を挙げた11位・流通経済大学をホームに迎えて対戦。ともに2勝目を狙う勝点2差の"裏天王山"は序盤から拮抗した展開が続くものの、桐蔭横浜大が前半に先手を取る。33分、桐蔭横浜大は左サイドから仕掛けてシュートを放つが相手GKがこれを弾く。するとこぼれ球を加治佐海が拾い、最後は浦和レッズ内定・肥田野蓮治が蹴り込んでネットを揺らす。対する流通経済大も後半序盤の53分、松永颯汰が左サイドから強引なドリブルでペナルティーエリアにカットイン。グラウンダーのクロスを、逆サイドの小林恭太が受けてシュートを放ち同点に追いつく。振り出しに戻った試合は、しかしここから桐蔭横浜大が畳み掛ける。60分、根本鼓太郎が左から入れたロングパスを肥田野が収め、ボレーシュートを決めて勝ち越し点を挙げると、その6分後にも同じく根本からのパスを受けて肥田野がドリブルで中央突破。そのままGKをかわしてハットトリックを達成。桐蔭横浜大がスコアを3-1とし、そのまま勝利を収めた。この勝利で桐蔭横浜大は10位に浮上。11位には同勝点ながら得失点差の関係で慶應義塾大、そして最下位には流通経済大が沈むこととなった。
今節をもって、リーグ前半戦が終了。中断期間を経て、後半戦は9月中旬から始まることになる。とはいえ、天皇杯の関係で延期となっている試合がいくつかあり、6月14日、15日、そして7月上旬の延期日程をもってリーグ前半の試合がすべて終了となる。
すでに11試合を終えている国士舘大が首位で折り返すことは確定しているが、2位以下は変動の可能性あり。1試合を残す2位・日本体育大と2試合を残す3位・筑波大は勝点2差。今節、約1年半ぶりの黒星を喫した4位・明治大も2試合を残しており、2位以下の順位は大きく変わる可能性がある。6月20日からは、夏の全国大会・総理大臣杯出場を懸けた『「アミノバイタル®」カップ』がスタートする。リーグ戦とはまた違う、一発勝負のトーナメントの大会でどのチームが勝利を手にするのか。こちらにも注目したい。
※表示スコアはホーム対アウェーのスコアで表示。
1部リーグ第11節 全結果・順位表