『JR東日本カップ2023 第97回関東大学サッカーリーグ戦』1部リーグ第12節は、7月29日(土)に全6試合が行われた。
1部リーグ第12節 全結果・順位表
1部リーグ第12節まとめ
2試合ぶりの勝利を狙う拓殖大学と2連勝を目指す明治大学の試合は、まず明大がチャンスを迎える。7分、明大はドイツのヴェルダー・ブレーメンに加入が内定している佐藤恵允がドリブルでチャンスを作り、クロスを入れる。拓大はクリアーしようとするものの、これを中村草太が拾いゴール右上へと突き刺す。続く11分には、佐藤がペナルティーキックで追加点。その後も明大は拓大を圧倒し、前半終了までにこの試合2ゴール目となる中村の3点目、田中克幸のスーパーミドル、そしてルーキー多久島良度のリーグ戦初ゴールで3点を加点し、5-0の大量得点で試合を折り返した。後半に入ると明大の攻撃も少し落ち着き、拓大がシュートチャンス作る場面も。しかし得点には至らず、逆に59分には、明大・中村がペナルティーキックで1点を追加。この得点で中村はハットトリックを達成し、明大は合計6-0と圧巻の勝利を収めた。この試合は、佐藤の大学サッカー最後の試合となったが「(佐藤)恵允の壮行試合的なムードにはしたくなかった」(明大・栗田大輔監督)。佐藤本人も「最後まで明大のためにプレーをして、明大らしい試合ができた」と笑顔。結果的にはチームを3位に押し上げる快勝で、佐藤をドイツに送り出した。
3位の東京国際大学と2位の流通経済大学。勝点1差で競り合う両チームの負けられない一戦は、開始早々の5分、流経大の八木滉史がフリーキックを直接決めて先制する。その後は東国大が押し込む展開となるが、流経大の堅い守備をなかなかこじあけることはできない。しかし41分、東国大は吉田桂介が小島匠瑛の早いクロスを頭で合わせてついに追いつく。1-1で迎えた後半は、58分に先制点を決めた八木のフリーキックを、根本健太がヘディングシュート。流経大が再びリードを奪うが、その10分後には東国大もスローインの流れから古澤ナベル慈宇が追加点。取られては取り返し、両チーム一歩も譲らない展開となった。流経大は78分に根本が2枚目のイエローカードで退場となるなど厳しい状況に追い込まれたが、失点することなく2-2で終了。ともに勝点1を積み上げたが、流経大は2位をキープした一方、東国大は5位まで順位を落とすこととなった。
連勝して中位グループを抜け出したい桐蔭横浜大学と首位独走中の筑波大学の一戦。試合は31分、桐蔭大の井出真太郎がペナルティーエリア右後方の位置からのフリーキックを直接決めて先制。桐蔭大は続く34分、裏へと抜け出した渡邊啓吾が、井出からのボールを受けてそのままゴール。桐蔭大が2-0とリードして試合を折り返した。2点のビハインドを負う筑波大は、後半頭から沖田空を投入して立て直しを図る。その効果もあり後半だけで11本ものシュートを放つもののゴールは遠い。逆に62分には、ゴール前の混戦の中で桐蔭大の白輪地敬大がボールを押し込んで勝負あり。3-0で完勝した桐蔭大は今季初の連勝を達成。と同時に、開幕戦から無敗の筑波大に対し、初の黒星をつけることとなった。
6位・東洋大学と11位・国士舘大学の試合は、序盤から激しくスコアの動く展開となった。まずは14分、東洋大は相手GKのこぼれ球を拾ってチャンスを作ると、最後は湯之前匡央がゴールを決めて先制点を挙げる。対する国士大も30分、西本大輝からパスを受けた古川真人が同点弾。続く36分にも、古川が相手のクリアボールを拾ってシュート。立て続けにゴールを決め、国士大が逆転に成功する。しかし、東洋大も前半終盤の41分に、髙橋輝が冷静にゴール左隅にシュートを放ち2-2で試合を折り返した。振り出しに戻って迎えた後半、東洋大は55分に村上力己が田頭亮太足のクロスを右足で合わせて追加点。3-2と再びリードを奪う。その後は国士大の猛攻にさらされながらもゴールを死守し、3-2で試合終了。後半のリードを守りきった東洋大が勝利し、4位まで順位を上げた。
2試合引き分けが続いている日本大学は、4試合ぶりの勝利を目指す東海大学と対戦。前半終盤までは両チームスコアレスのまま。だが38分、東海大は長江皓亮がフリーキックから流れてきたボールに反応。これを左足で合わせて先制する。0-1の東海大リードで迎えた後半の56分、東海大はゴール前に抜け出した中熊岳琉からパスを受け、桑山侃士が押し込んで追加点。東海大が0-2のクリーンシートで第8節以来の勝利を挙げた。一方、3試合連続で白星のない日大は順位を2つ落とし6位へと後退した。
最下位に沈む12位・中央大学と、こちらも連敗中と不調な9位・法政大学の一戦。試合は激しいゴールの奪い合いとなった。まずは開始1分に中大が星野創輝のゴールで先制すると、法大も7分に松村晃助が豪快なミドルシュートで同点に追いつく。法大はその後、27分に石井稜真、57分にはモヨマルコム強志のヘディングシュートで1-3とし、中大を突き放す。しかし中大も63分、ペナルティーエリア内でファウルを受けペナルティーキックを獲得。これを田中幹大が冷静に決めて1点差に迫ると、続く77分には湯谷杏吏が、相手GKの弾いたボールをそのまま頭で押し込み3-3に。再び試合は振り出しに戻ったものの、その後は両チームとも追加点なく3-3でドロー決着。両者勝点1を分け合う結果となった。
ついに後半戦に突入した『JR東日本カップ2023 第97回関東大学サッカーリーグ戦』1部リーグ。今節のトピックは、なんといっても首位・筑波大学の敗戦だろう。これまでの記録を塗り替える、開幕から11試合連続の無敗記録が後半戦突入早々に途切れる結果に。とはいえ、2位とは勝点6差が開いているだけに首位の座はしばらく安泰だ。2位・流通経済大学と3位・東京国際大学の直接対決はドローで流経大が2位を堅持。3位には、大量6ゴールで佐藤恵允の大学ラストマッチを飾った明治大学が浮上。3位から5位までは、2位と勝点2差の勝点19が並んでおり、こちらは今後、大きな変動がありそうだ。
首位が敗れる波乱で幕開けとなった後半戦だが、2ゲーム差のリードは大きく筑波大の首位は揺るがない。混戦の2位以下から抜け出し、首位に迫るチームははたして。真夏の熱戦はまだまだ続く。