『JR東日本カップ2019 第93回関東大学サッカーリーグ戦』1部第5節は、5月5日(日・祝)に1試合、5月6日(月・祝)に5試合が行われた。
早稲田大学 対 明治大学 @武蔵野陸上競技場
昨季王者が4戦連続未勝利で10位にまで転落、早く初勝利を挙げたい早稲田大学(勝点1・10位)と、前節、筑波大学に逆転負けを喫し開幕からの3連勝がストップした明治大学(勝点9・4位)の一戦。
試合は両チームの大声援が鳴り響く中でキックオフ。序盤は早大がペースを掴み、7番・金田拓海、8番・栗島健太が何度となくチャンスを演出。それに対する明大はセンターバックの12番・常本佳吾のカバーリングが光り、35分には明大11番・佐藤亮が決定的なシーン。ここから明大ペースの試合運びとなるが、両チームゴールネットを揺らすことなく前半を終えた。
後半の立ち上がりは、明大が14番・坂本亘基の強烈なミドルシュート、コーナーキックからの3番・佐藤瑶大のヘディングなど、立て続けに決定的なチャンスを作るが、いずれも早大のGK、16番・山田晃士のビッグセーブに阻まれる。試合が動いたのは54分。明大は23番・岡庭愁人のスローインから11番・佐藤が中央で受け、ゴールへ向かってドリブル。そのまま相手GKをも抜き去り、ゴールへと流し込んだ。さらに70分、早大DFのバックパスを明大11番・佐藤が奪い、GKをかわして追加点。11番・佐藤の2得点で早大を突き放した。一方の早大は、前半とは対照的にボールを全く持たせてもらず、後半のシュートは0。試合はそのまま終了し、2-0で完封勝利を収めた明大が首位奪還へ向けて新たな一歩を踏み出した。
東洋大学 対 中央大学 @柏の葉公園総合競技場
開幕から4連敗と厳しい状況の東洋大学(勝点0・12位)と、開幕から無敗の中央大学(勝点10・2位)の一戦。
対照的な現状にある両チームの一戦。立ち上がりは中大がボールを保持し、中盤でセカンドボールを回収。攻撃を展開する。対する東洋大は風上を上手く利用し、風に乗せたロングボールを多用して中大ゴールに迫る。すると22分、東洋大の10番・松崎快が中大の4番・安部崇士にペナルティーエリア内で倒され、ペナルティーキックを獲得する。キッカーは、キャプテンの6番・坪川潤之。これをきっちり決め、東洋大が先制する。その後も試合は中大が支配するも、東洋大の守備陣が守りきり、東洋大リードで前半が終了する。
後半も中大ペースとなったが、50分には東洋大が右サイドのスローインの流れから、10番・松崎が右足を振りぬいて追加点を決める。しかし1点を返したい中大も猛攻を仕掛け、64分に9番・小山駿、8番・大久保智明とつないでゴール前に上げたクロスに10番・加藤陸次樹が頭で合わせてゴール。10番・加藤の3試合連続ゴールで、中大が1点差に迫る。これで勢いにのった中大は、ポゼッションを高めて東洋大に圧力をかけ、同点を狙う。しかし中大の攻撃に耐えていた東洋大だったが83分にコーナーキックの流れからのボールを12番・野﨑玲央が頭で流し、6番・坪川がこの日2点目となるゴールを決めて3-1に。再びリードを2点差に広げる。東洋大は残り時間を守りきり、試合は3-1のままタイムアップ。東洋大が待望の初勝利を挙げて10位に浮上。一方の中大は初黒星を喫し、4位へと後退した。
筑波大学 対 順天堂大学 @柏の葉公園総合競技場
開幕から負けなしの筑波大学(勝点10・1位)と、2連敗中と勢いを落としている順天堂大学(勝点6・7位)の一戦。
試合開始から中盤での攻防が続いた。筑波大がポゼッションでボールを回すのに対し、順大はカウンターからの速攻でチャンスを窺う。順大は36分、10番・旗手怜央が、筑波大のGK30番・阿部航斗との1対1の場面を迎えるが、30番・阿部は好判断でこれを阻止。逆に37分には、筑波大の18番・森海渡が決定的なシュートを放つも、ゴールライン上ギリギリで順大のセンターバック、5番・村松航太がクリア。互いに決定機を作るも得点を決められず、前半が終了する。
後半に入ると開始早々に試合が動いた。前半は激しいマークを受けていた筑波大の7番・三笘薫が起点となり、47分、裏に抜け出した6番・渡邊陽へとアウトサイドでスルーパス。6番・渡邊の折り返しを、15番・池谷祐輔が左足で流し込み、筑波大が先制する。ここから両チームとも、前半よりも積極的に攻撃を仕掛ける展開に。筑波大は7番・三笘、順大は10番・旗手といった川崎フロンターレに内定しているエースを中心に、何度となくゴール前に侵入していく。しかし、ともに守備陣が堅い守りを見せ、得点に繋がらない。結局、先制した筑波大が逃げ切りに成功し、1-0で試合終了。筑波大が無敗をキープし、首位を堅持。同じく無敗の中大が敗れたことで、単独首位となった。一方、敗れた順大はこれで3連敗。順位をひとつ下げ、8位に後退した。
法政大学 対 流通経済大学 @龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド
前節は集中応援で悔しい敗戦を喫した法政大学(勝点6・6位)と、今季未だ勝利のない流通経済大学(勝点1・11位)の一戦。
前半は流経大が攻め込む時間帯が続いたが、なかなかシュートまで持ち込むことができない。両チーム無得点のまま前半が終わるかと思われた45+1分、法政大は20番・佐藤大樹がゴール前に抜け出し決定的なチャンスを迎える。しかしこれを流経大の12番・アピアタウィア久が倒し、得点機会阻止として退場処分に。と同時に法大はペナルティーキックを獲得する。法大は20番・佐藤が自ら獲得したペナルティーキック決めて、先制点。思わぬ展開で前半は法大がリードし、1-0で終了する。
後半は退場者を出し数的不利となった流経大に対し、法大が積極的に攻撃を仕掛ける。法大は60分に、鹿島アントラーズに内定している18番・上田綺世を投入。しかし、なかなか追加点には至らず試合は終了。危なげない試合運びでペナルティーキックによる1点を守った法大が勝利。またもや流経大は初勝利を挙げることは叶わなかった。
駒澤大学 対 専修大学 @川口市青木町公園総合運動場
1勝1分で迎えた3連戦の最終戦を勝利で飾りたい駒澤大学(勝点7・5位)と、前節で待望のリーグ初勝利を挙げた勢いのままに連勝を狙う専修大学(勝点4・9位)の一戦。
試合は前半開始早々から動いた。2分、専大のGK1番・桐林海生のロングフィードにFWの11番・中杉雄貴が抜け出すと、ペナルティーエリア内で駒大4番・真下瑞都が後ろから倒してしまう。このファウルで駒大はペナルティーキックを献上、反則を犯した駒大4番・真下にはイエローカードが提示された。一方、この一連のプレーで専大11番・中杉は負傷交代を強いられる結果に。ピッチ内外がざわつく中で試合は再開されたが、専大の13番・鈴木厚太のペナルティーキックは駒大のGK1番・松村優太郎がストップ。専大は先制する絶好のチャンスをフイにするだけでなく、攻撃のキーマンを早々に失う苦しい立ち上がりとなった。さらに22分には、駒大も左サイドハーフの2番・深見侑生が負傷し、交代。両チーム前半半ばに交代カードを切るバタバタした立ち上がりとなった。しかしその後は拮抗した展開となり、駒大はFW9番・高橋潤哉にボールを当ててゴールを狙うが、なかなかシュートまで持ち込めない。そんな中、42分にはペナルティーエリア内で相手からボールを奪った7番・岡本勇輝が左足でシュートを放つ。6番・岡本の狙いすましたシュートはゴールへと吸い込まれ、前半終了間際に専大が先制。試合は専大が1-0リードのまま折り返した。
後半序盤は、追う駒大が攻撃を仕掛ける展開となった。駒大は56分、右サイドでコーナーキックを獲得すると、10番・薬真寺孝弥が放ったキックに3番・星キョーワァン が頭で合わせて同点に。試合を振り出しに戻した。その後は一進一退の攻防戦となったが、81分、ついに勝ち越しゴールが生まれる。駒大は相手陣内で相手のミスを見逃さずボールを奪うと、7番・荒木駿太がペナルティーエリア内にドリブルで侵入。それを止めようとした専大の35番・清水綾馬が駒大7番・荒木を倒し、今度は駒大がペナルティーキックを獲得。専大の35番・清水は、決定機を阻止したためレッドカードが提示され退場となった。駒大はこのチャンスを、9番・高橋が落ち着いて決めて逆転に成功。さらに、90+2分にも途中出場の14番・米田大介がドリブルからのゴールを挙げ、だめ押しの3点目。3-1と専大を突き放し、駒大が快勝を収めた。
3連戦を勝ち越しで終えた駒大の秋田浩一監督は「勝ててよかった」とまずはほっとした表情。前半終了間際の失点を「もったいなかった」と振り返りながらも「前半を0-1で終えたことでやることがはっきりした」とコメント。「後半は外からの攻撃を徹底させた」との指示が的中し、見事な逆転勝利につながった。次節は不調の昨年度王者・早稲田大学。「調子が悪い相手とは逆にやりにくい」とぼやきながらも「早大は天皇杯予選があるが、ウチは1週間空いてコンディション的にも有利。ラッキーもある」と連勝への意欲を見せた。
一方、専大の高崎康嗣監督は「試合の入りはよかったのだが、ペナルティーキックを外したのが残念」とコメント。駒大の狙い通りサイドを破られる結果となってしまったが「1点とっているし、それほど悲観はしていない」とチームに一定の評価を与えた。しかし「ワンプレー、ワンプレーの細かいところで、技術面、パワーに課題が残る」とも。また今節の反省から「パスの精度をもっと追求し、セットプレーの守備をケアしていきたい」と次節に向けての課題を挙げた。
桐蔭横浜大学 対 立正大学 @熊谷スポーツ文化公園陸上競技場
前節に初勝利を挙げ、連勝を目指す桐蔭横浜大学(勝点5・8位)と、勝てば3連勝と好調な立正大学(勝点9・3位)の一戦。
試合は早い時間に動いた。4分、立正大は左サイドの高い位置で得た直接フリーキックを、10番・人見拓哉がゴール正面に放り込む。すると混戦からのこぼれたボールに反応した13番・武田夏輝が左足を振りぬき、立正大が先制。その後は桐蔭大がボールを保持するもチャンスは作れず、対する立正大はショートカウンターから10番・人見、13番・武田らが得点を狙う。39分には桐蔭大にビッグチャンス。8番・イサカゼインの右からのクロスに9番・滝沢昂司が頭で合わせるも、これは惜しくも枠の外。桐蔭大は主導権を握りながらも攻めあぐねる状況が続き、立正大リードのまま前半は終了した。
後半、同点を狙う桐蔭大は攻撃のギアを入れ、6番・橘田健人のパスに11番・下村司がシュートを放つなど絶好のチャンスを迎えるが、立正大の体を張った守備に阻まれゴールならず。試合も終盤に差し掛かった78分、両チームともにベンチが動く。桐蔭大は15番・松本幹太を、立正大は15番・藤森亮志を投入。ともに攻めの姿勢でゴールを狙う。すると85分、桐蔭大の13番・浅野嵩人が右サイドから上げたクロスにゴール前は混戦状態に。しかしこぼれ球に8番・イサカゼインが右足を振りぬき、桐蔭大が土壇場で同点に追いつき、そのままタイムアップ。桐蔭大、立正大ともに勝点1を分け合う結果となった。
次節の第6節は、5月18日(土)に県立保土ヶ谷公園サッカー場で早稲田大学と駒澤大学、AGFフィールドで筑波大学と中央大学の試合が行われる。また、東金アリーナ陸上競技場で順天堂大学と専修大学が、埼玉スタジアム 2002 第2グラウンドでは東洋大学と桐蔭横浜大学が、味の素フィールド西が丘にて流通経済大学と立正大学がそれぞれ対戦する。また、5月19日(日)には味の素フィールド西が丘で法政大学と明治大学の試合が行われる。
今節は筑波大がまたしても勝利し、首位を堅守。ゴールデンウィーク3連勝を全勝で終え、1部リーグ唯一の無敗チームとなった。続く2位の明大はキャプテンでエースの11番・佐藤亮が2得点を挙げてチームに貢献し、早大を撃破。前節の初黒星のダメージを払拭し、首位奪還を目指す。そして今節、印象的な勝利を収めたのが東洋大。筑波大と並び無敗だった中大相手に、気迫のプレーで待望の今季初勝利を挙げた。一方で、早大と流経大は今節も今季初勝利ならず。2部リーグ降格圏からいち早く脱出したいところ。
ゴールデンウィーク3連戦を終え、前期リーグも次節で折り返し地点を迎える。天皇杯地域予選のため第6節までは1週間が空く形になるが、黒星先行のチームにとってはこの期間が3連戦の振り返りや、調整のための期間となるだろう。この2週間をどのように利用し、次節に向けた準備をしてくるのか。前期リーグも後半戦を迎え、新たなる展開に期待したい