関東リーグ所属24大学と、予選を勝ち抜いた都県リーグ代表の8大学を加えた32大学が一堂に会する本大会。1回戦、2回戦を終え、6月12日(水)にはついにベスト8が激突。夏の全国大会『第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』に出場できるのはこのうち7チームだ。総理大臣杯出場を懸けた3回戦は味の素フィールド西が丘で2試合、AGFフィールドで2試合が行われた。
明治大学 対 中央大学 @味の素フィールド西が丘
2回戦では関東2部リーグ首位の慶應義塾大学相手に3-0で快勝した明治大学と、大雨のなかのPK戦を制し3回戦に進んだ中央大学の一戦。
試合は終始明大ペースで進んだ。明大は11番・佐藤亮を中心にボールを集め、中大ゴールに迫る。中大も少ないチャンスを活かすべく、裏への抜け出しを狙いながら機会を窺うが、13分、明大がコーナーキックのチャンス。キッカーの7番・中村健人が蹴った浮き球に5番・須貝英大が頭一つ抜けたヘディングで合わせ、先制点を決める。「ヘディングが強いわけではないが、ジャンプ力には自信があったしボールがくると信じていた」(5番・須貝)。中大は前半のうちから選手交代をして流れを変えようとするものの、試合はその後も明大ペースのまま。しかし追加点を決められず、前半は終了。
後半も明大が試合を支配。70分前後には両チームとも次々と交代選手を送り出して試合を動かそうとし、69分には中大の10番・加藤陸次樹がドリブルで中央を突破。交代出場の17番・本間椋がシュートを放つもこれはGKの正面。追いつきたい中大だったが、なかなか決定機を作ることができない。一方の明大は70分、20番・佐藤凌我に代えて10番・小柏剛を投入。すると79分、途中出場の10番・小柏が結果を出す。明大は中盤で相手ボールを奪うと、12番・常本佳吾のパスを受けた10番・小柏剛が自らドリブルで前線に運び、豪快なシュートを放ち追加点を決める。対する中大も85分に10番・加藤がゴールを決めるもこれはオフサイド。結局、明大が危なげない試合運びで中大にチャンスを与えず最後まで守備を固め、無失点のままタイムアップ。昨年の総理大臣杯王者が、5年連続となる総理大臣杯への出場権を手に入れた。
順天堂大学 対 駒澤大学 @味の素フィールド西が丘
エースを欠く中で着実に勝ち進んできた順天堂大学と、2試合8で得点と攻撃陣が好調な駒澤大学の一戦。
試合は序盤から駒大が主導権を握った。駒大はモンテディオ山形への加入内定が発表されたばかりの9番・高橋潤哉や、フィジカルの強さに定評がある19番・森本ヒマンなどの特長を生かした縦に速い攻撃で順大ゴールに襲いかかる。対する順大はエースの10番・旗手怜央を『第47回 トゥーロン国際大会 2019』で欠く中、キャプテンの9番・浮田健誠が孤軍奮闘。しかしなかなか得点には至らない。すると40分、駒大にチャンスが訪れる。中央でボールを受けた6番・猪俣主真が前線へとロングボールを放り込む。それに反応した19番・森本が頭で合わせて駒大が先制。駒大らしい攻撃から試合を動かし、0-1のまま前半を終了する。
後半は一転して順大が試合を支配する。12番・津島孝至や交代出場の19番・鬼島和希の2ボランチを中心に、細かくボールを動かすが、なかなかシュートまで持ち込めない。その後も7番・杉山直宏や29番・新関成弥がチャンスを作るも、駒大の主将、3番・星キョーワァンを中心とした粘り強い守備に苦しめられる。一方の駒大は2トップにロングボールを集め、そのセカンドボールを7番の荒木駿太が拾いシュート。しかしこちらも得点には至らない。試合終了間際には順大がたびたび攻撃を仕掛けるが、駒大も集中した守りでチャンスを許さず試合は終了。1点を守りきった駒大が勝利し、総理大臣杯への出場権を獲得した。一方の順大は順位決定戦を戦うことになり、全国大会への出場権獲得は次戦以降へ持ち越しとなった。
駒大の秋田浩一監督は「一生懸命やって勝てたので、まずはよかった」と安心の表情。失点をしなかったことを収穫にあげながら、攻撃面では「あのふたりに2トップを組ませたのはこれで2度目」と9番高橋、19番・森本の2トップについて触れ「森本が競って、高橋が前に出ていくという形はいいと思う」と及第点を与えた。それでも「もう少しやれる力はあると思う。今日の試合に関してはいえば決定力がなかった」と厳し目の評価となった一方「将来的にはふたりでやれればいいと思う」と期待を寄せた。準決勝の対戦相手は、今季リーグ戦で0-4と大敗を喫した明治大学。「あの試合では前の速い選手にいとも簡単にやられてしまった」と秋田監督。リベンジとなる準決勝では、「そういう選手を抑えていきたい」と意気込んだ。
筑波大学 対 法政大学 @AGFフィールド
後半だけで9ゴールを奪う快勝し3回戦へ駒を進めた筑波大学と、1回戦、2回戦ともに1点差のゲームをものにした法政大学、対照的な勝ち上がりチーム同士の一戦。
筑波大は7番・三笘薫が『第47回トゥーロン国際2019』のため1部リーグ戦、そして1回戦、2回戦に引き続き不在。一方の法大も2試合連続決勝点を挙げた18番・上田綺世が『CONMEBOLコパアメリカブラジル2019』のため3回戦は不在。両チームともに代表活動でエースを欠く中での対決となった。
試合は、立ち上がりこそ拮抗した展開が続いたものの、前半終盤に法大のゴールによってその均衡が破られた。37分、法大は左サイドから8番・紺野和也がクロスを上げ、これに9番・松澤彰が反応。左足で合わせて先制点を奪うと、そのまま1-0リードで折り返した。
追う筑波大は、後半に入ると14番・山原怜音を中心に猛攻を仕掛ける。56分、筑波大は6番・渡邊陽が左サイドにパスを展開すると、ボールは14番・山原の元へ。そのままドリブルで駆け上がってクロスを上げると、これが法大のオウンゴールを誘い、同点ゴールに。筑波大が試合を振り出しに戻した。しかしその8分後の64分、法大は13番・長谷川元希のスルーパスに反応した20番・佐藤大樹が、ディフェンスラインの裏に抜け出し強烈な左足シュートをゴール右隅に突き刺す。再び勝ち越しに成功した法大だったが、筑波大も試合再開直後のプレーで、再び14番・山原のクロスから今度は18番・森海渡がシュートを決める。筑波大が失点の1分後に同点に追いつく、まさかの展開となった。その後は両者譲らぬまま2-2で90分が終了。白熱の展開が繰り広げられた試合は延長戦へと突入した。
延長戦では法大が主導権を握り何度となく決定機を作るものの、筑波大のGK30番・阿部航斗の牙城を崩すことができない。筑波大は延長戦ハーフタイムにDFの28番・森侑里が2枚目の警告で退場。苦しい展開となったがなんとか守りきり、120分に及ぶ死闘の決着はPK戦へと委ねられることとなった。
法大は2人目キッカーの17番・竹本大輝のシュートが左ポストを直撃し失敗。その後は両チームともに全員成功させて運命の5人目へ。先攻の筑波大は決めれば勝利という状況だったが、23番・知久航介のシュートは法大のGK12番・中野小次郎が右手1本でセーブ。筑波大は土壇場で勝利を逃してしまう。法大は5人目が落ち着いて決め、勝負はサドンデスに入った。以降は両チーム落ち着いて決め、1巡目では決着がつかずキッカーは2巡目へ突入。すると、法大13人目キッカーの3番・高木友也が蹴ったボールは大きく枠を外してしまい、ついに長きにわたる勝負に終止符が打たれた。
意地と意地がぶつかり合った好ゲームを制した筑波大が見事ベスト4に進出。2年ぶりに『第43回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』への出場権を手にした。
拓殖大学 対 立正大学 @AGFフィールド
2部リーグ唯一のチームとして総理大臣杯に出場したい拓殖大学と、初の総理大臣杯出場に向けて勝利が欲しい立正大との一戦。
試合は開始早々に動いた。立正大は素早いプレスでボールを奪うと、積極的に拓大DFの背後を狙う。すると8分、右サイドでスローインを得た立正大は、15番・藤森亮志がロングスロー。そのボールに10番・人見拓哉が反応してクロスをあげると、11番・見原慧が右足で合わせ、立正大が先制する。続く18分、今度は19番・田中宏武のクロスを3番・鈴木康孝が頭で折り返すと、これを現在1部リーグで得点ランキングトップの10番・人見がヘディングで押し込み追加点。さらに42分、立正大3番・鈴木と15番・藤森のゴール前でのパス交換から最後は10番・人見がゴールに押し込み3点目。立正大が前半だけで0-3とリードを広げる。対する拓大は攻撃陣が噛み合わず前半のシュートはわずか1本。0-3で立正大がリードしたまま前半が終了した。
このまま負けるわけにはいかない拓大は、ハーフタイムに選手ふたりを一気に投入。2回戦でともにゴールを決めた10番・小宮嶺、28番・加賀美右京をピッチに送り出す。すると前半とは状況が一転し、違うチームになったかのようになった拓大がパスを繋ぎ、攻撃のチャンスを量産。55分、15番・筌口拓が右サイドからクロスを上げるとゴール前中央で9番・長尾吉家が右足ダイレクトで合わせる。一度はキーパーに弾かれたものの、素早い反応で9番・長尾が押し込み、拓大が1点を返す。さらに70分には、15番・筌口からゴール前でパスを受けた10番・小宮が冷静にキーパーをかわしてゴールネットを揺らす。1点差に詰め寄った拓大は、その後何度も立正大ゴールに迫るものの、あと1点が遠い。結局試合は2―3のまま終了。後半の拓大の猛攻をしのぎきった立正大が1点差を守りきって勝利し、初の総理大臣杯出場を決めた。
3回戦を終えた『アミノバイタル®」カップ2019 第8 回関東大学サッカートーナメント大会《兼総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選》』は、まずは明治大学、駒澤大学、筑波大学、立正大学の4チームが『第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』の出場を決め、15日(土)に流通経済大学フットボールフィールドで行われた順位決定戦で勝利した順天堂大学、法政大学も出場権を獲得。関東地域代表出場枠の7のうち、6大学の出場が決定した。
準決勝は7月20日(土)に明治大学と駒澤大学が、7月21日(日)に筑波大学と立正大学がそれぞれAGFフィールドで16:30から対戦する。また21日(日)の10:00からは同会場で中央大学と拓殖大学が対戦。総理大臣杯出場の残り1枠を懸けて戦う。
約1ケ月の中断期間を経て、ベスト4が激突する準決勝戦。はたして決勝戦に駒を進めるのは、どのチームか。真夏の関東王者を目指し、4大学が熱戦を繰り広げる。