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JR東日本カップ2019 第93回関東大学サッカーリーグ戦・1部第11節マッチレポート

2019/08/18


 『JR東日本カップ2019 第93回関東大学サッカーリーグ戦』1部11節は、8月10日(土)に3試合、8月11日(日)に3試合が行われた。


法政大学 対 駒澤大学 @NACK5スタジアム大宮


 後期に向けて勝点を積み上げたい法政大学(勝点14・7位)と、上位チームに食い込むためにも連敗は避けたい駒澤大学(勝点19・4位)の一戦。

 試合は、前半の立ち上がりから終始法大のペースで展開された。法大は中盤で丁寧にパスを繋ぎ、攻撃のリズムを作りながら15番・服部剛大、28番・田中和樹、14番・森俊貴といったアタッカーが裏のスペースを上手く使う。すると13分、法大にチャンスが訪れる。左サイドバックの3番・高木友也から28番・田中にパスが渡り、ゴール前に抜け出した15番・服部に。これを15番・服部が右足で突き刺し、法大が先制する。さらに34分、15番・服部のシュートを相手GKが弾いたところを、28番・田中が拾ってそのままシュートし追加点。法大の攻撃は留まらず、前半終盤の42分にも、15番・服部がこの試合2点目となるシュートを決めて3-0と駒大を突き放す。

 3点のビハインドを負った駒大は、ハーフタイムに43番・相澤佑哉、31番・加々美文斗のふたりを一気に投入。後半の立ち上がりにはサイド攻撃やセットプレーなどからチャンスを窺うが、試合は依然として法大ペースで進んだ。すでに3点をリードしている法大は、3連戦、そして翌週にある天皇杯3回戦を考慮し、早めの交代で選手の体力を温存する。72分にコーナーキックのチャンスを得た法大は、キッカーの13番・長谷川元希が蹴ったボールに、5番・加藤威吹樹が頭で合わせ、試合を決定づける4点目。さらに終了間際の88分、途中出場の9番・松澤彰が相手DFの裏に抜け出し、ゴール前で丁寧なラストパス。パスを受けたのは、こちらも途中出場の17番・竹本大輝。シュートを冷静にゴールに流し込み、ダメ押しの5点目を挙げる。終わってみれば5-0と圧倒的なスコアで、法大が駒大に快勝した。

 法大の長山一也監督は「(来週の)天皇杯3回戦までを含めた試合を、4連戦として考えて(スターティング)メンバーを構成した」とコメント。8月末の総理大臣杯も含め「若手も使っていきたいと考えていた」が、前節は専修大学に4失点を喫するなど「残念な結果」に。それでも東洋大学戦では「0-0だったが、後半だけでシュートは12本。可能性を感じた」と、この3連戦には手応えを感じた様子だ。前期最終戦となるこの試合では「今日はしっかり勝って天皇杯につなげよう」と選手を送り出したという。中断期間中には、エース・上田綺世の鹿島入りが発表されたが、この試合では同学年の15番・服部が2得点、3ゴールに絡む活躍を見せた。「もともといいものを持っている。ようやく結果を出してくれた」と長山監督も満足顔。「(上田)綺世がいないということで、逆に自分たちが、と発奮した部分はあると思う」と選手たちの"変革"に目を細めた。



明治大学 対 順天堂大学 @浦和駒場スタジアム


 現在、2位に勝点6差をつけて首位を独走中の明治大学(勝点27・1位)と、中断期間を挟みリーグ戦では4連勝中の順天堂大学(勝点21・2位)の首位攻防戦。

 昨季の対戦では前期リーグ、後期リーグともにスコアレスドローに終わっただけに、互いに勝点3を勝ち取りたい試合。しかし前半の立ち上がりから明大が攻める時間帯が続き、順大はなかなか主導権を握ることができない。すると35分、明大は31番・安部柊斗が強烈ミドルシュートを決めて先制。対する順大は右サイドからチャンスを狙うが得点には至らず、前半は1-0で終了する。

 後半も明大が主導権を握り、ボランチの31番・安部、6番・瀬古樹がゲームをコントロールする。61分には10番・小柏剛のクロスに11番・佐藤亮が合わせてゴール。今季9ゴール目、得点ランキングで単独トップに立つ11番・佐藤のゴールで、明大が追加点を決める。試合はそのまま2-0で終了。スコア以上の差で、2位・順大を全く寄せ付けなかった明大が完勝を収めた。これで明大は前期リーグを10勝1敗、勝点30と、2位以下に勝点10差をつけて折返すこととなった。一方の順大は前後半合わせてシュートわずか3本と、シュートまで持ち込むシーンすら少なく、5試合ぶりの無得点で連勝は4でストップした。


中央大学 対 立正大学 @ 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場


 ここ数試合勝利から見放されている中央大学(勝点11・8位)と、初昇格ながら1部リーグの台風の目となっている立正大学(勝点20・3位)の一戦。

 試合は序盤から中大が押し込み、11番・太田翔と8番・大久保智明の両ウイングが推進力のあるドリブルでチャンスを作る。しかし得点には至らず、逆に25分には立正大にチャンス。中大DFのクリアボールを拾った18番・平松昇が、ダイレクトでシュートを決めて立正大が先制する。立正大は、その後も得点を決めた18番・平松、チャンスメーカーの10番・人見拓哉を中心に攻め込む。また、中盤では7番・梅村豪がセカンドボールを回収して中大の攻撃の芽を摘み、主導権を握る。しかし追加点を挙げられず0-1のまま前半は終了。

 後半に入ると、追う立場の中大が反撃を開始。まずは55分、10番・加藤陸次樹の左サイドからのクロスに1トップの25番・高窪健人が頭で合わせて同点に追いつくと、73分には右サイドからの7番・宮城和也のグラウンダーのクロスに、8番・大久保智明が左足で合わせて逆転に成功。試合の流れは中大に傾き、立正大は押し込まれる展開が続く。立正大は9番・小川大智、19番・田中宏武らを投入して攻撃の活性化を試みるが、シュートにまで持ち込めない。すると試合終了間際の88分、中大の10番・加藤が左サイドを突破してグラウンダーのクロス。それを途中出場の19番・三浦立が合わせて3点目をマーク。中大が立正大を突き放したところで試合は終了。中大は6試合ぶりとなる、久々の勝利で前期を終えた。一方の立正大は、順位をひとつ落として4位でリーグ戦を折り返す結果に。首位・明治大とは勝点10差が開く、厳しい状況となった。


早稲田大学 対 筑波大学 @味の素フィールド西が丘


 前年度覇者ながら、下位争いから抜け出せない早稲田大学(勝点7・10位)と、一時は首位に立ちながらも中断期間を挟んで3連敗中と下降の一途をたどる筑波大学(勝点17・6位)の一戦。

 ともに中断期間明けの2戦を落とし、これ以上の負けは許されない中で迎えた一戦。早大はキックオフ直後にいきなりビッグチャンスを作るが、放ったシュートは惜しくも枠の外。その後は両チームともに集中したパフォーマンスを見せるが、得点にはつながらない。しかし27分、試合の均衡が破られる。早大は右サイドの深い位置からスローインを放つと、筑波大の一瞬の隙をつき、4番・鍬先祐弥がペナルティーエリアに侵入。これを筑波大のDFが倒し、早大はペナルティーキックを獲得する。キッカーの7番・金田拓海は、相手GKの逆をついてゴール左下に決め、早大が先制。前節の桐蔭横浜大学戦ではペナルティーキックによる得点機会を逸していた早大だったが、この試合では7番・金田が挽回のゴール。筑波大も7番・三笘薫を中心に追いつこうと仕掛けるが、ゴールにはあと一歩届かず。前半は早大が1点をリードして折り返した。

 このままでは終われない筑波大は56分、守備の要である4番・山川哲史を下げ、長身FWの9番・犬飼翔洋を投入。攻撃のさらなる活性化を図る。その後はこう着状態が続いたが、65分に再び試合が動く。早大は右サイドから6番・阿部隼人がクロスを上げると、これに42番・藤沢和也が頭から飛び込み追加点。怪我による長期離脱から復帰したばかりの42番・藤沢が、期待に応える嬉しい今季初得点で筑波大を突き放した。2点のビハインドを負った筑波大はここから反撃を開始。10番・高嶺朋樹に代えて6番・渡邊陽を投入すると、7番・三笘、20番・和田育の両翼のアタッカーを中心にサイドから何度となくチャンスを作り出す。すると76分、右サイドから20番・和田がクロスを上げると、このボールが流れてゴール左にポジションを取っていた7番・三笘のもとへ。7番・三笘の、相手GKとポストの間を正確に撃ち抜く強烈なダイレクトショットが決まり、筑波大が1点差に追い上げる。なんとしても追いつきたい筑波大は、その後もたびたび早大ゴールを脅かすが、再度ゴールネットを揺らすことなく2-1で試合終了。1点差を守り、逃げ切った早大が前期リーグを勝利で締めくくった。

 早大・外池大亮監督は試合を振り返り「同じ中断明けの2連敗同士だが、相手は力のあるチーム」と警戒したうえで、途中からは「1対1ではなく2対1で守ることを徹底した。攻撃の形も含めて、やるべきことを整理できていたと思う」と、試合運びの的確さを評価。そのうえで「ちょっとしたタイミングで流れを引き寄せられると思っていた」という試合の流れを「42番・藤沢がよく攻撃の起点になってくれた。そういう意味でも2点目は大きかった」と、怪我から復帰したストライカーの活躍を喜んだ。この3連戦で目指していたという勝点5には及ばなかったものの「最後に勝点3を取れたのは大きい」と外池監督。未だ順位は10位と厳しい位置にあるが、降格圏とは勝点6差が開き、ひと安心といったところ。また「相馬(勇紀・現鹿島)、岡田(優希・現町田)に依存していた昨年に比べると、チームとして戦えるようになった。前期より自分たちの良さは出せていたと思う」との手応えも。後期までの約1ケ月間を「弱さに向き合って」(同監督)研鑽し、巻き返しを狙う。一方、敗れた筑波大はまさかのリーグ戦4連敗。首位争いから完全に脱落し、7位で前期リーグを終えることとなった。



東洋大学 対 専修大学 @山梨中銀スタジアム


 前節、最下位・流通経済大学との裏天王山に敗れ、背水の陣で今節に臨む東洋大学(勝点4・11位)と、3連勝で前期リーグを終えたい専修大学(勝点10・9位)の一戦。

 前半は、専大が先に試合の主導権を握った。4分に右コーナーキックのチャンスを得ると、キッカーを務めた32番・林一輝のボールを、混戦の中から40番・釼持雅也が押し込んで先制。しかしこの後は東洋大がペースを握り、15分には10番・松崎快がドリブルで前線までボールを運ぶと、パスを受けた2番・坂本凉斗が右足を振りぬいて同点弾。試合を振り出しに戻し、1-1で折り返した。

 追いつかれた専大だったが、62分にはペナルティーキックを獲得。これを10番・氣田亮真がゴールの真ん中に決めて、再びリードを奪う。さらに78分には右コーナーキックから左サイドに流れたボールを10番・氣田が拾い、ドリブルからのゴール前にクロス。これを4番・西村慧佑が頭で合わせて1-3とリードを2点差に広げる。対する東洋大は90+5分、26番・横山塁の右からのクロスを、途中出場の32番・前田泰良が右足で合わせて1点を返すが、これがラストプレーとなり、2-3でタイムアップ。中断期間前は降格圏で争っていた両チームだったが、この3連戦で専大は3連勝を挙げたのに対し、東洋大は1分2敗で白星なし。明暗が分かれる結果で後期を迎えることとなった。


流通経済大学 対 桐蔭横浜大学 @龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド


 前節ようやく今季初勝利を掴んだ流通経済大学(勝点4・12位)と、現在2連勝中で上位争いに名乗りを上げている桐蔭横浜大学(勝点18・5位)の一戦。

 前半は流経大が14番・安居海渡を中心にボールを保持。主導権を握るが、桐蔭大の固い守備を破れず、前半はスコアレスで終了。

 試合が動いたのは後半序盤の59分だった。桐蔭大の15番・松本幹太がゴール前で相手を引き付けたところで、10番・鳥海芳樹にグラウンダーのパスを通す。最後は10番・鳥海が相手GKとの1対1を制し、先制点を決めた。その後は桐蔭大が粘り強い守備で流経大の得点を許さず、1-0で試合終了。桐蔭大は中断期間明けの3連戦3連勝で終え、2位に浮上。1部リーグ参戦以来、最高順位で前期リーグを終えることとなった。一方の流経大は前期わずか1勝と厳しい状況。後期の巻き返しが期待される。



 『「アミノバイタル®」カップ2019 第8回関東大学サッカートーナメント大会《兼総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選》』や『第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)』の開催による中断期間を挟んだ本リーグ戦も、前期の全日程を終えて折り返し地点を迎えた。

 本リーグ戦は前年度王者・早大が1部初昇格の立正大に敗れる波乱からスタート。このことが象徴するように、前期は混戦模様のリーグ戦となったが、その中で特筆すべきは、首位・明大の圧倒的な強さだ。第11節を終えて10勝1敗、得失点差23と、圧巻のパフォーマンスで2位・桐蔭大に勝点差9をつけてリーグ戦を折り返した。前期リーグだけで積み上げた勝点は30。これはリーグ戦が現在の12チーム制通年方式となった2005年以降では、最多のペース。筑波大が2017年に打ち立てた最多勝点記録「54」を更新する勢いだ。また2016年の第18節に、自ら達成した1部リーグ最速優勝記録の更新にも期待がかかる。

 一方、今季1部の"台風の目"として注目を集めたのが立正大の躍進だ。開幕戦で前年度覇者・早大に土をつけると、その後も大車輪のごとく勝点を重ね、中断期間前は首位・明大に勝点差4の2位につける堂々の戦いぶり。しかし中断期間明けの3連戦で失速し、順位も4位へと後退した。代わりに2位に浮上したのが桐蔭横浜大学。1部に昇格以来、中位~下位に甘んじていたチームが、夏の3連戦3連勝という結果で首位・明大への挑戦権を手にした。

 また明大に今季唯一の黒星をつけるなど、リーグ序盤に激しい首位争いを繰り広げていた筑波大は、中断期間明けの3連戦でひとつの勝点も積み上げることができず。中断前と合わせて4連敗となり、7位へと大きく後退する結果となった。

 一方、下位争いに目を向けると、前年度王者の早大が残留争いに巻き込まれている。開幕から6試合連続で勝ちがなく、その後は2連勝を挙げて降格圏内の11位とは勝点差6をつけているものの、予断は許さない状況が続く。早大・外池大亮監督は「1部優勝後に2部に降格をするということを2度繰り返している。3回目を繰り返さないよう。早大の歴史を塗り替えるという意味でも、上位を狙えるチームとなって後期を迎えたい」とコメントし、前期を締めくくった。また、2017年のインカレ制覇など、近年様々なタイトルを獲得してきた名門・流経大が最下位に沈むまさかの展開に。第10節で今季初勝利を挙げるまで屈辱の8連敗を喫した。後期リーグでは、これら下位に沈むこれらの大学の奮起が期待される。

 今季は例年と異なり、前期リーグが8月中旬に終了。間に総理大臣杯挟み、息つく間もない9月中旬には後期リーグが始まる。首位・明大が優勝まで連勝街道をひた走るのか。明大に待ったをかけ、奇跡の逆転優勝を遂げる大学が現れるのか。はたまた残留争いを繰り広げる下位グループの展開は――。笑うか、泣くか、運命の後期リーグは約1ケ月後の9月14日(日)にスタートする。

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