『JR東日本カップ2019第93回関東大学サッカーリーグ戦』2部リーグ第15節は、10/5(土)に2試合、10/6(日)に4試合が行われた。
慶應義塾大学 対 日本体育大学 @奥戸総合スポーツセンター陸上競技場
後期リーグ負け無しで首位を走る慶應義塾大学(勝点31・1位)と、1部リーグ昇格のためには負けられない日本体育大学(勝点25・3位)の一戦。
1位と3位の上位対決は、昇格圏入りを目指す日体大が低い位置からパスを繋いで攻める。しかしバイタルエリアでの連携ミスなどがあり、なかなか決定機を作ることはできない。対する慶大は、前節2得点を挙げた30番・松岡瑠夢を起点としたカウンターからチャンスを作る。試合が動いたのは19分。慶大の7番・佐藤海徳のクロスを19番・福本拓海が倒れ込みながらも右足で合わせて先制する。これで勢いに乗った慶大は26分、19番・福本が左サイドを突破。パスを受けた6番・八田和己が決めて2-0とリードを広げる。
日体大はハーフタイムに9番・寺下裕貴を投入。後半は9番・寺下を中心として日体大が攻勢に出るが、慶大も落ち着いてこれに対応。鋭いカウンターで日体大に揺さぶりをかけると、68分には14番・橋本健人のクロスを30番・松岡が頭で合わせ、試合を決定づける3点目。日体大も何度となくチャンスを作り、ゴールまで迫ったが、慶大のGK、1番・田原智司のファインセーブで得点には至らず、タイムアップ。危なげない試合運びと安定した強さで、慶大が首位をキープした。
慶大の淺海友峰監督は「日体大はボールをもたせると怖いので、まずはディフェンスから入ることを意識していた」と前半を振り返り「その中でカウンターがうまくはまった」と、狙いどおりの展開に笑顔を見せた。しかし後半は「相手のほうが一枚上手だった。嫌なところに入られた」と反省しきり。最後はディフェンス陣がよく踏ん張ったとの評価もあったが「後半は足が止まっていたし、最後のところで決められなかったらどう転んだかわからない」と、完勝したにも関わらず厳しい姿勢を崩さなかった。次の対戦相手の産業能率大学も「ボールを持つチーム」だけに「簡単に(バイタルエリアに)侵入されないようにしないと」と課題を口にした。
拓殖大学 対 東京学芸大学 @朝霞中央公園陸上競技場
後期リーグは3連戦。昇格圏が見えてきた拓殖大学(勝点23・4位)と、勝利して最下位を脱出したい東京学芸大学(勝点11・12位)の一戦。
試合は前半開始早々に動いた。3分、拓大は8番・奥村晃司の裏へのスルーパスに9番・長尾吉家が反応。すると9番・長尾のクロスに26番・田中幸大が右足で合わせて、拓大が早い時間帯に先制する。追加点を狙う拓大はその後も攻勢を強めるが、東学大も7番・色摩雄貴を起点にカウンターからチャンスを狙う。すると41分、7番・色摩が左サイドから上げたクロスが、相手のクリアミスを誘う。こぼれたところを11番・一木立一が頭で押し込み、東学大が同点弾。試合を振り出しに戻した。
後半も拓大はショートパスで攻撃を組み立てながら、試合の主導権を握る。ボールを保持する拓大は63分、10番・小宮嶺から7番・池田廉へパスを通し、最後は中に入れたクロスに9番・長尾がダイレクトで合わせて勝ち越し点を挙げる。スコアは2-1となり、再び拓大がリードを奪った。拓大はその後も多くの決定機を演出するが、東学大のGK、12番・高橋謙太郎の好セーブに阻まれて追加点ならず。一方の東学大も試合終盤に決定機を得るが、こちらも拓大のGK、12番・高麗稜太のファインセーブを前に同点には追いつけず、2-1のまま試合終了。拓大が1点差を守りきって勝利を収めた。
拓大は破竹の4連勝で3位に浮上。勝点は4差あるが、昇格圏の2位を射程圏内に収めた。対する東学大は11位の立教大学との勝点差を詰められず、最下位に留まる結果となった。
産業能率大学 対 青山学院大学 @国士舘大学町田キャンパスサッカー場
後期リーグ未勝利で、上位陣との勝点差が開くばかりの産業能率大学(勝点15・9位)と、一度は最下位に沈むなど、苦しい残留争いから抜け出せずにいる青山学院大学(勝点14・10位)と一戦。
降格圏に近づく9位と10位の直接対決。ともに熾烈な残留争いから抜け出すためには、ここで叩いておきたい相手だ。試合は序盤こそ一進一退の展開となるが、時間が経つにつれて産能大が攻勢を強める。産能大は15番・吉田朋恭が積極的にシュートを放ち、青学大ゴールを脅かす。試合が動いたのは22分。産能大は23番・浅原直弥が後方からのスルーパスに反応して2列目から飛び出すと、ゴール前にマイナスへクロスを供給。そこに走りこんできた14番・田口雄太が右足でダイレクトシュートを流し込み、産能大が先制点を挙げる。さらに先制ゴールから間もない27分、ゴール前に放り込まれた浮き球のパスを収めた18番・吉田伊吹が15番・吉田にラストパスを送る。これを15番・吉田が右足で蹴り込み追加点。産能大が2-0と突き放す。一方の青学大は、序盤こそ9番・大竹将吾にボールを集めるものの、シュートすら打つことができないまま前半を終えた。
後半に入っても産能大ペースは変わらず、18番・吉田のポストプレーを起点に青学大ゴールに迫る。反撃に出たい青学大は早い時間帯に前線の選手2人を交代。19番・家鋪謙介、29番・小澤秀充を投入して攻撃の活性化を図る。しかし、次のゴールはまたしても産能大。産能大は60分、細かいパスワークでペナルティーエリア内に侵入すると、最後は8番・上畑佑平士がドリブルで相手をかわし、左足でシュートを突き刺す。3-0と青学大を突き放した産能大は終了間際に18番・吉田がペナルティーキックから得点。またルーキーの30番・田原廉登にもゴールが生まれ、終わってみれば5-0の大勝。試合を終始支配し、残留争いを繰り広げるライバルを蹴散らした。
産能大の小湊隆延監督は「たまにはこういう試合もあっていい」と笑顔を見せ「これまで内容が良くても勝てない試合が続いていたが、今日はいい形で勝てた」とコメント。試合の合間には選手間ミーティングなどで話し合いを重ねたといい「その成果が出た。みんなしっかりと出ていたし、少し大人になったと思う」と顔をほころばせた。この日は15番・吉田
朋恭と18番・吉田伊吹が攻撃の起点となり、大車輪の活躍を見せたが、小湊監督は「ふたりが効いていることは確かだが、ふたりだけのチームにはしたくない」ときっぱり。スタメンルーキーの城定幹大に10番を与えたのも責任を促す狙いがあると語るなど、「選手たちの自覚に期待したい」と語った。
日本大学 対 国士舘大学 @国士舘大学町田キャンパスサッカー場
躍進を遂げた前期リーグから一転、後期リーグでは勝ち星なしと、優勝争いから脱落しつつある日本大学(勝点23・5位)と、首位・慶應義塾大学をピタリと追走する国士舘大学(勝点27・2位)の一戦。
試合序盤は日大がブロックを敷いた守備を固め、国士大が敵陣でボールを保持する時間が続いた。拮抗した展開は、しかし33分に動く。国士大は10番・明本考浩が楔のパスを前線に送ると、33番・棚橋尭士がこれを受けると8番・谷村海那にラストパス。8番・谷村は冷静にボールを収めると、ミドルシュートを決め、国士大が先制する。国士大は前半終了間際の43分にも、敵陣内で相手のパスミスをカットした国士大14番・松岡大智がドリブルでボールを持ち運ぶと、そのまま得意の左足を振り抜いて豪快なシュートを決める。0-2で国士大がリードし、前半が終了した。
後半に入っても国士大の得点は止まらない。64分、6番・松本拓海のクロスに合わせた11番・髙橋利樹がシュートを放つと、そのこぼれ球に反応した33番・棚橋が左足でシュートを流し込み、日大を突き放す3点目。さらに終了間際の81分、33番・棚橋が右サイドで相手を引きつけ14番・松岡へスルーパスを出すと、14番・松岡がゴール前へクロス。これを11番・髙橋が右足で流し込み4点目を決める。日大も90+7分に20番・鬼京大翔が直接フリーキックを沈めて一矢報いるも、反撃はここまで。上位対決に完勝した国士大が3連勝を収め、慶大との勝点差をキープした。一方の日大は後期に入って4戦未勝利と1部リーグ昇格に暗雲が立ち込める状況。10番・舘幸希を累積警告で欠き、8番・金子拓郎がボランチに入るなど守備的になった状況から攻撃に切り替えられず、手痛い敗戦を喫した。
関東学院大学 対 立教大学 @立教大学富士見総合グラウンド
上位に食い込むためにも勝点3が欲しい関東学院大学(勝点17・6位)と、混戦状態の残留争いから抜け出したい立教大学(勝点13・11位)の一戦。
序盤から関学大が持ち前のポゼッションサッカーで試合を支配。関学大は6番・林田滉也と8番・北龍磨のダブルボランチを中心にショートパスをつないで相手の隙をうかがう。すると19分、左サイドでボールを持った主将の14番・薩川淳貴が、10番・見木友哉とのパス交換からペナルティーエリア内に侵入。そのまま右足を振り抜き、関学大が先制点を挙げる。しかし、立教大もすぐさま反撃を開始。失点直後の21分、立教大はゴール前やや左の位置でフリーキックを獲得。キッカーの6番・大塚諒が蹴ったボールは、鮮やかな弾道でゴールネットに吸い込まれ、あっという間に立教大が同点に追いついた。だがその4分後の25分、今度は関学大にチャンスが訪れる。ペナルティーエリア内で10番・見木、11番・奥直仁が立て続けに放ったシュートは立教大のGK、1番・栗山聖が弾くものの、こぼれ球を9番・今村優介が押し込んで勝ち越し点。関学大が再びリードを奪い、スコアを2-1とした。その後も関学大がポゼッションを高めるが、立教大も集中した守りで追加点を許さず、2-1のまま試合を折り返した。
後半は打って変わって、立教大が攻勢を強める展開となった。立教大は10番・吉田直矢の個人技を中心に仕掛け、2番・桂島直輝や5番・田中拓実も果敢に攻撃参加。しかしチャンスを作るもゴールならず。一方の関学大も、10番・見木や11番・奥が確かな技術とショートパスで相手を揺さぶるも、追加点には至らず試合は終了。関学大は5位・日本大学との勝点差を3に縮めた。
東京国際大学 対 東海大学 @立教大学富士見総合グラウンド
1年での1部リーグ昇格を目指すも、なかなか上位進出ができない東京国際大学(勝点16・7位)と、リーグ戦序盤の勢いを失い下位に甘んじている東海大学(勝点15・8位)の一戦。
試合が動いたのは前半序盤の11分。東国大は25番・山原康太郎がDFながら果敢に攻め込んでチャンスを作ると、10番・有水亮の左からのクロスを頭で合わせてゴール東国大が先制に成功する。しかし、その後は東海大がフィジカルを生かした攻撃で東国大ゴールを脅かし、26分には5番・面矢行斗の左コーナーキックを、6番・水越陽也がドンピシャのヘディングシュートで決めて同点に。試合を振り出しに戻した。しかし、ここから再び東国大が巻き返しを見せる。まずは36分、10番・有水の左からのクロスを9番・伊能玲生が頭で合わせて勝ち越し点を挙げると、前半終了間際の44分、またもや10番・有水の左からのクロスを、今度は7番・宇高魁人が頭で合わせて4点目。3-1と東海大を突き放して前半を終了する。
後半は東海大が反撃に出た。ハーフタイムに3番・佐藤颯人を投入して攻勢を強めると、9番・半沢拓也と11番・砂金大輝のスピードを生かして、ロングボールを多用。しかし決定力に欠き、試合は膠着状態となった。そんな状況が動いたのは77分。コーナーキックのチャンスを得た東国大は、10番・有水の左コーナーキックを、7番・宇高が頭でつなぎ、最後は9番・伊能が左足で合わせて試合を決定づける4点目。10番・有水が全得点に絡む大車輪の活躍を見せた。試合は4-1のまま終了し、東国大はうれしい後期リーグ初勝利を挙げた。
次節の第16節は、台風19号の関東接近により全日程が延期となった。変更後は10月14日(月・祝)に全会場14時キックオフで試合が行われる予定だ。拓殖大学八王子国際キャンパスサッカー場で日本体育大学と拓殖大学、スポーツ日大 アスレティックパーク稲城サッカーフィールドでは日本大学と立教大学がそれぞれ対戦。また、青山学院大学緑が丘グラウンドで関東学院大学と青山学院大学が、東京国際大学第一サッカー場では東京国際大学と東京学芸大学が激突。RKU フットボールフィールドにて国士舘大学と東海大学、産業能率大学第二グラウンドで慶應義塾大学と産業能率大学の試合が行われる。
昇格圏内を走る慶大と国士大はともに勝利し、下位チームとの勝点の差をさらに広げた。しかし、2位の国士大と3位の拓大の差は勝点わずか4。昇格チームが入れ替わる可能性は大いにあるだろう。中位以下の混戦状態はいまだ変わらず。青学大に勝利した産能大は勝点を18に伸ばし、順位をひとつ上げたが、降格ラインに位置する立教大と東学大も上との勝点差は少なく、こちらもいつ入れ替わってもおかしくない状況だ。1部リーグ昇格、そして関東リーグ残留に向けて次節もまた熱い試合が続く。