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JR東日本カップ2019 第93回関東大学サッカーリーグ戦・1部第18節マッチレポート

2019/10/30


 『JR東日本カップ2019 第93回関東大学サッカーリーグ戦』1部18節は、10月26日(土)に全6試合が行われた。


桐蔭横浜大学 対 東洋大学 @Shonan BMW スタジアム平塚


 勝って初のインカレ出場を決め、目前での明治大学優勝も阻みたい桐蔭横浜大学(勝点34・2位)と、前節の流通経済大学との下位直接対決に敗れ、降格が目前に迫る東洋大学(勝点9・12位)の一戦。

 結果次第では他チームにも大きな影響を与えるこの試合は、立ち上がりから拮抗した展開となった。桐蔭大は10番・鳥海芳樹を中心に8番・イサカゼインや9番・滝沢昂司がボールに絡みながら、厚みのある攻撃を仕掛ける。一方、東洋大は10番・松崎快の切れ味鋭いドリブルや、11番・小林拓夢のアグレッシブなプレーでチャンスを演出。しかし、両チームとも決定機には至らず、スコアレスで前半を終える。

 後半は打って変わって多くの得点が生まれるシーソーゲームとなった。まずは立ち上がり間もない46分、28番・前田泰良のグラウンダーのパスに11番・小林が右足を振り抜いてゴールネットを揺らす。東洋大に先制点を奪われた桐蔭大だったが、ここから巻き返しを図る。62分、右サイドから8番・イサカがクロスを入れると、9番・滝沢がダイレクトで流し込んで同点に。続く71分には、6番・橘田健人がペナルティーエリア内で倒されペナルティーキックを獲得。これを8番・イサカが、今季10点目となるゴールを決めて2-1と逆転に成功。だが、これ以上負けられない東洋大も意地を見せる。85分、2番・坂本涼斗がクロスを上げてチャンスを作ると、最後は10番・松崎が強烈なミドルシュートを決め、試合は再び振り出しに戻った。このまま東洋大がペースを握るかと思われたが、その直後の87分、桐蔭大が地力を見せる。8番・イサカのクロスに途中交代の14番・篠原友哉が合わせて再び突き放すと、これが決勝点となり試合は終了。最後は桐蔭大が3-2というスコアで激しいシーソーゲームを制した。

 この勝利で創部初のインカレ出場を決めた桐蔭大だが、安武亨監督は「内容的には今年ワーストの試合」としぶい顔。「前半はゆるい状態でテンションが上がらない。後半も、東洋大さんが先制したことでようやく火がついて熱量が上がったという感じ」と厳しい評価を下した。ただそういう試合内容で勝てたことが成長、とも。「2-2に追いつかれて、そのままグダグダになって負けるというのがこれまでの桐蔭大だった」と安武監督。初のインカレ出場も決め「ひとつひとつしっかりチャレンジすることで、結果はあとからついてくる」と抱負を述べた。一方の東洋大は、次節の結果次第で降格が決まるという、まさに崖っぷちに立たされることになった。




明治大学 対 法政大学 @Shonan BMW スタジアム平塚


 桐蔭横浜大学が勝利したため今節での優勝の可能性はなくなったものの、勝って次節の自力優勝につなげたい明治大学(勝点46・1位)と、集中応援で『2019年度 第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』決勝戦で敗れた借りを返したい法政大学(勝点29・3位)の一戦。

 ともに後期は負けなしと好調なだけに、前半は一進一退の攻防戦が繰り広げられた。法大は9番・松澤彰をターゲットに8番・紺野和也や14番・森俊貴が明大ゴールに迫る。一方の明大は通常の3バックから4バックにシステムを変更。守っては22番・小野寺健也を中心とする固い守備で法大の攻撃の芽を摘み、攻めては11番・佐藤亮や20番・佐藤凌我が積極的な仕掛けでチャンスを演出する。

 0-0で折り返した後半、先に試合を動かしたのは法大だった。後半序盤の54分、8番・紺野のクロスを14番・森が頭で折り返すと、最後は13番・長谷川元希が決めてついに均衡を破る。しかしすぐさま明大が反撃を開始。62分、「7番・中村健人の出来は悪くなかったが、戦略的に10番・小柏剛を入れた」(栗田大輔監督)と突破力のある10番・小柏を投入すると、試合の流れが大きく変わる。64分、その10番・小柏からのパスを起点に、8番・森下龍矢が左サイドをドリブルで突破。そのままクロスを入れると、11番・佐藤がワンタッチで収めてシュート。「パスコースをミスした」(8番・森下)、「難しいボールがきた」(11番・佐藤)と両者が認める難易度の高いボールを、主将の11番・佐藤が2試合連続となるゴールを決めて、明大が同点に追いつく。さらにその1分後にはクロスボールのこぼれ球を拾った8番・森下が左足を振り抜き、明大が逆転に成功する。明大の攻撃は止まらず、終了間際の87分には右サイドを突破した8番・森下がクロスを入れると、32番・赤井裕貴がこれを収めるも、ゴール前が混戦に。すると8番・森下がこぼれ球を自ら決めて3-1と突き放して勝負あり。8番・森下の2ゴール1アシストの活躍で明大が、総理大臣杯に続く勝利で"王者"の実力を見せつけた。

 明大・栗田監督は「法大は前期も、総理大臣杯でもウチに負けているの。プライドも意地もあるだろうから、素晴らしいゲームになるだろうと思っていた」とし、「楽しみだった」とこの対戦を心待ちにしていたとコメント。この試合では守備のバランスが崩れ「どこか怖がって守備を余らせてしまっていた」ことをハーフタイムに指示。もっと守備から攻撃にかかるよう後押しをしたことで、攻守両面が修正された。2試合連続で先制点を許した形になるが「先制されても焦らないし、今日は内容的にも悪くない試合。たとえ負けても悔いのない試合だった」と絶賛。ただ同点に追いついたあとは「ぐっとチームの気持ちがひとつになったのを感じられた」とし「もう一度、質の高いゲームができたと思う」と述べた。とはいえ、「前期は5失点あったので後期は4失点内に収める」とした失点数の4に達したことで「選手たちには、もう残り試合を無失点にするしかないぞ、と言っている」と叱咤することも忘れなかった。明大はこの勝利で、次節の自力優勝に王手をかけた。次節で引き分け以上、あるいは桐蔭横浜大学が引き分け以下となった場合で3年ぶり5度目の優勝が決まる。対する法大はリベンジを果たせず、後期リーグ初黒星。順位も4位に後退する、悔しい結果となった。




早稲田大学 対 流通経済大学 @龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド


 前節は劇的な勝利で1部リーグ残留へと大きく前進した早稲田大学(勝点18・10位)と、こちらも2連勝中で降格圏脱出を狙う流通経済大学(勝点11・11位)の一戦。

 ともに残留争いに絡む10位と11位の直接対決。前節の勝利で最下位から脱した流経大が、その勢いで試合を優勢に進めた。まずは23分、流経大の24番・佐々木旭が蹴った左からのコーナーキックは、相手のフィールドプレーヤーに当たり、オウンゴールに。流経大が先制点を決め、幸先のいいスタートを切る。その後も流経大がたて続けにチャンスを作るが、早大もGKの31番・上川琢の好守で、追加点を許さない。1点を追う早大は、前半の36分に35番・梁賢柱を投入。するとその直後の38分、35番・梁が左サイドで流経大のボールをカット。そのままゴール前まで運び、左足を振り抜いて早大が同点に追いつく。しかし、流経大も慌てることなく攻撃を展開し、前半終了間際の45+4分、今度は流経大の24番・佐々木が早大からボールを奪取。そのままドリブル突破を図ると、右足のシュートでゴールネットを揺らして追加点。1-2と、流経大再びリードを奪って前半が終了した。

 後半も流経大が試合を支配。追う早大は64分に10番・金田拓海、14番・藤沢和也をピッチに送り出して追加点を狙うが、ゴールを決めたのはまたもや流経大。76分、25番・熊澤和希からのパスを、11番・満田誠が受けて左サイドを縦に突破。ゴール前に上がったクロスを、8番・仙波大志が左足で押し込み、流経大が3点目を決めて勝負あり。1-3で3連勝を飾り、10位・早大との直接対決に勝利した流経大が、その差を4に縮めた。


順天堂大学 対 立正大学 @龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド


 後期リーグ未勝利で、そろそろ白星がほしい順天堂大学(勝点25・6位)とこちらも後期は2勝に留まり、3勝目を挙げて上位に復帰したい立正大学(勝点27・4位)の一戦。

 試合は、前半開始早々から動いた。順大は5分、10番・旗手怜央と15番・大谷京平が左サイドを崩すと、15番・大谷がゴール前にクロス。それを18番・大森真吾がヘディングシュートでゴールに突き刺し、順大が先制点を挙げる。その後も順大はテンポよくボールを繋いでチャンスを作ると、24分にも左サイドで15番・大谷が10番・旗手へとパス。再びパスを受け取った15番・大谷が、そのままゴール前に駆け上がり、立正大GKの頭上を狙う豪快なシュートで追加点。順大が2-0でリードし、前半が終了した。

 両チームともハーフタイムに選手交代を行い、順大は14番・鈴木啓太郎から25番・栗田詩音、立正大は11番・見原慧から8番・干川裕人へと代えて後半を迎えた。後半、立正大は少しずつリズムを掴み、ボールを回して攻撃を仕掛けるが、順大も粘り強く守り、立正大のゴールを阻止する。しかし68分、立正大はGK12番・渡辺聖也からのロングキックを、中央にいた18番・平松昇が受け、左サイドを駆け上がった13番・武田夏輝へとパスを送る。さらに13番・武田のクロスをファーサイドで3番・鈴木康孝が合わせるが、そのボールが相手DFに当たってオウンゴールに。立正大が思わぬ形で1点を返し、スコアは2-1に。立正大が順大に1点差へと詰め寄った。その後、立正大は素早いカウンターからゴールを狙うが、惜しくも得点にはつながらず。2-1のまま試合は終了。1点差を守りきった順大が、ついに後期リーグ初勝利。次週からは18番・大森、23番・山﨑大地がU-18日本代表に招集されてチームを離れるが、その前に待望の白星となった。一方の立正大は、この敗戦で6位に後退。6位内に与えられる、インカレ出場権に黄信号が灯り始めた。


中央大学 対 専修大学 @中央大学多摩キャンパスサッカー場


 連勝してインカレ出場権を掴みたい中央大学(勝点21・7位)と3試合ぶりの勝利を目指す専修大学(勝点20・9位)の一戦。

 前半の立ち上がりは、両チームともサイドを起点にして攻撃を展開した。中大はアンカーの5番・中村亮太朗を中心にゲームを組み立て、専大は高い位置での細かいパスワークで好機を窺う。21分、中大は6番・今掛航基の縦パスを受けた10番・加藤陸次樹がターンで相手一人を抜き去り、右サイドに展開。すると、スピードに乗った8番・大久保智明がカットインでゴール前に切れ込み、放ったシュートは左隅に突き刺さって中大が先制する。

 中大が1-0リードで試合を折り返すと、後半も立ち上がりの50分、31番・鈴木翔太がドリブルで相手をかわし、ニアサイドに流し込んで追加点を挙げる。2-0とリードを広げられ、押し込まれる一方の専大だったが、63分には20番・鈴木龍之介の右コーナーキックを、4番・西村慧祐がヘディングで決めて1点を返す。専大が反撃の狼煙を上げたかに見えたものの、79分には中大がまたもや突き放す。28番・荒木遼太のクロスを16番・高岸憲伸が押し込み、3-1に。中大が再びリードを2点差とする。それでも専大は83分、20番・鈴木の左コーナーキックを、再び4番・西村が頭で叩き込み専大が2点目。1点目とまったく同じ形で追加点を挙げると、再び中大に1点差へと迫る。しかし直後の85分、中大は6番・今掛の左サイドからのクロスを、10番・加藤が頭で合わせて勝負あり。4-2と突き放して試合は終了。2失点こそしたが、セットプレーからの失点だけに防いだ中大が連勝を収め、勝点3を獲得。インカレ出場圏内の6位を、勝点3差の射程圏内にとらえた。


駒澤大学 対 筑波大学 @中央大学多摩キャンパスサッカー場


 後期リーグ6戦を終え、未だ勝利のない駒澤大学(勝点21・8位)と、こちらも後期リーグ連勝なしと波に乗り切れない筑波大学(勝点27・5位)の一戦。

 ファーストシュートは前半開始早々の1分。コーナーキックから駒大の3番・星キョーワァンがヘディングシュートを放つ。これは枠を外れるものの、駒大はDFやボランチからシンプルに前線へとボールを供給。縦に速い攻撃でゴールへと迫る。対する筑波大は3バックと2ボランチでボールを回しながらサイドへとボールを展開。しかし、駒大も3番・星と6番・猪俣主真を中心とした集中したディフェンスでゴール前への侵入を許さない。駒大がゴール前に迫るシーンが増える中、22分にはボックス内で7番・荒木駿太がタメを作り、正面へと落とすと9番・高橋潤哉がダイレクトでシュート。しかし、これは筑波大のGK、21番・大川圭為がスーパーセーブでゴールならず。いつものペースでボールを回したい筑波大だったが、駒大の前線からの連動した守備に苦しめられて自由にさせてもらえず、前半は2本のミドルシュートのみ。スコアは動かず0-0で前半が終了した。

 後半、筑波大は3バックから4バックへとシステムを変更。前半よりもボールを保持する時間が増えると、53分には後半最初のコーナーキックを獲得する。13番・岩本翔が左から入れたボールは駒大DFに当たるが、そのこぼれ球を9番・犬飼翔洋が右足で押し込み、筑波大が先制。この試合、前線で何度も体を張っていた9番・犬飼にとって待望のゴールとなった。先制を許した駒大は72分、怪我から復帰したばかりの11番・森本ヒマンを投入。高さとスピードで筑波大を脅かすと、その後も前線での競り合いやクロスから筑波大ゴールへと迫るが、GKの21番・大川が好守を見せて駒大の攻撃をシャットアウト。最後は駒大がDFの3番・星のパワープレーで勝負に出るが、筑波大の守備陣が最後まで集中を切らさず守り切り、タイムアップ。セットプレーも多く、見ごたえのある展開となった試合は、筑波大が1点を守り切って2試合ぶりの勝利を挙げた。一方、駒大の後期リーグ初勝利はまたもお預けとなった。



 次節の第19節は、11/2(土)に県立保土ヶ谷公園サッカー場にて法政大学と東洋大学、桐蔭横浜大学と専修大学が対戦する。11/3(日)には味の素フィールド西が丘にて立正大学と駒澤大学、明治大学と順天堂大学が激突。また龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールドでは、中央大学と早稲田大学、筑波大学と流通経済大学が開催される。

 首位・明大は、夏に行われた『2019年度 第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』の決勝戦の相手である法政大学を一蹴。リーグ戦制覇へと着実に近づき、次節での優勝確定が濃厚となった。2位・桐蔭大は1部リーグ残留争い真っ只中の東洋大との接戦を制し、創部以来初のインカレの出場を確定。新たな歴史を作ることとなった。一方、敗れた12位・東洋大は残留に向けて赤信号。次節の結果次第では、早くも2部リーグ降格が決まることになる。またともに残留争いを繰り広げる11位・流経大は10位・早大との"残留争い直接対決"に勝利し、3連勝。早大を勝点4差にとらえ、降格圏脱出を狙う。一方の早大は、残留に向けて黄信号が灯ることに……。
 リーグ戦も残すところ4試合。例年、残り数試合になってから、劇的な展開が繰り広げられることも多い。ここからどのようなドラマが待っているのか。最後まで目を離すことなく注目してほしい。
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