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JR東日本カップ2019 第93回関東大学サッカーリーグ戦・1部第19節マッチレポート

2019/11/08


 『JR東日本カップ2019 第93回関東大学サッカーリーグ戦』1部19節は、11月2日(土)に2試合、11月3日(日)に4試合が行われた。


法政大学 対 東洋大学 @県立保土ヶ谷公園サッカー場


 前節後期リーグ初黒星を喫し、インカレ出場を目指すためにも連敗は避けたい法政大学(勝点29・4位)と、引き分け以下では降格の可能性もある東洋大学(勝点9・12位)の一戦。

 背水の陣で挑む東洋大が序盤から試合を動かす。4分、10番・松崎快が高い位置でボールを奪うと、11番・小林拓夢が繋いで9番・荒川勇気に送る。これを9番・荒川がワンタッチで流し込み、東洋大が先制点を挙げる。その後も東洋大は前線からのプレッシャーでショートカウンターのチャンスを作る。6分には28番・前田泰良、20分には11番・小林が決定機を迎えるなどして、追加点を狙う。先手を取られた法大も徐々にペースを掴み始め、サイドからのドリブルやサイドバックのサポートで、厚みのある攻撃を仕掛ける。なかでも右サイドの8番・紺野和也は、数的に不利な状況にあっても、それをものともしない高い技術で東洋大の守備ブロックを撹乱。すると23分、法大はゴールに近い位置でフリーキックを獲得。しかし10番・下澤悠太のシュートはバーを直撃し、得点とはならず。その後も法大は相手の集中した守備を崩し切れず、東洋大リードで前半を折り返した。

 後半も法大ペースで試合は進んだが得点には至らず、50分に6番・大西遼太郎、63分に9番・松澤彰を投入。攻勢を強めて同点ゴールを狙う。対する東洋大も25分に決定機。カウンタ―のチャンスから最後は11番・小林がこぼれ球を押し込もうとするが、これはバーに当たって跳ねかえり、追加点とはならなかった。法大の9番・松澤の強いフィジカルや8番・紺野のドリブルに手を焼いた東洋大は、我慢する時間帯が続くが、それでも左サイドに19番・梅津凌岳、センターバックに24番・松田佳大を投入して法大の攻撃に対応。開始早々に挙げた先制点を守りきり、0-1で東洋大が勝利した。

 法大は手痛い2連敗で5位に後退。インカレ出場へ足踏み状態となった。一方の東洋大は今季初の完封勝利で、残留への望みをつないだ。東洋大の古川毅監督は「先に点をとって、そこから守備面をコントロールしながら追加点、または逃げ切るというのが東洋大の戦い方であり伝統」と、東洋大らしい勝利に安堵の表情。「前節はせっかく先制点を取ったのに、逆転されてしまった」と前節の結果を顧みながらも、「今日は守る時間も長く非常に難しいゲームだったが、全員で粘って走って取った勝点3」と選手たちを称えた。先週末にはIリーグの最終戦があり、そこでIリーグのメンバーが「非常に気持ちのこもった試合をしてくれた」と古川監督。それを目の当たりにしたトップチームのメンバー、特に4年生は「思うところがあったのではないかと思う」という。今節での2部リーグ降格を免れたとはいえ、未だ危機的状況にあることに変わりはない。自力での残留は叶わず「自分たちが勝たないことには奇跡は起こらない」。ようやく思い出した"東洋大の勝ち方"を残り3試合で、どこまで活かすことができるか――。




桐蔭横浜大学 対 専修大学 @県立保土ヶ谷公園サッカー場


 僅かに残る優勝の可能性を信じて勝利を目指す桐蔭横浜大学(勝点37・2位)と、インカレ出場争いに加わるためにも勝点が欲しい専修大学(勝点20・9位)の一戦。

 8番・イサカゼインが特別指定選手として川崎フロンターレのベンチ入りを果たすなど、主力の不在もある中で、桐蔭大が先に試合の主導権を握る展開に。前半の8分、15番・松本幹太が専大のゴールキックをカット。ボールを受けた9番・滝沢昂司がゴール前に浮き球を入れると、裏に抜け出した11番・下村司が落ち着いて決め、桐蔭大が先制する。続く15分にも桐蔭大が相手GKからボールを奪いチャンス。15番・松本がカットしたボールを、最後はまたしても11番・下村が決めて、桐蔭大がリードを2点差に広げた。まずは1点を返したい専大は31分、9番・岸晃司のシュートのこぼれ球を13番・鈴木厚太が頭で押し込み、点差を縮める。しかし36分にまたもやミスから失点。桐蔭大の11番・下村に自陣でのバックパスを奪われると、そのまま決められて3-1に。桐蔭大は前半だけで11番・下村がハットトリックを達成し、その後も主導権を握った。10番・鳥海芳樹や15番・松本を中心に攻撃を仕掛ける中、ボランチの6番・橘田健人が奮闘。専大の縦パスをことごとくカットして前線にボールを配給し、観客を沸かせた。

 流れを変えたい専大は後半の頭から18番・釼持雅也、52分には7番・岡本勇輝を投入。徐々に専大の前線にボールが渡り始める中、58分にはドリブルでの突破を図った10番・氣田亮真が倒されてペナルティーキックを獲得。これを自らきっちりと決めて、専大が再び1点差へと迫る。その後も専大がペースを握る展開となり、9番・岸や13番・鈴木が何度もゴールに迫るが、桐蔭大のキャプテン、4番・眞鍋旭輝やGKの21番・早坂勇希が気迫あふれる守備で決定機を作らせず、3-2で試合終了。

 桐蔭大の安武亨監督は「前半に、もっと点を取れるチャンスがあったのに決めきれなかった。あそこで決めていればもっと楽な展開になったはず」と、まずは反省点。「リスクを負って攻めてくる相手に受け身になってしまった」としながらも、「ペナルティーキックは取られたものの、守備陣が体を張った素晴らしいディフェンスで乗り切った」と、接戦の中で最後までリードを守りきった守備陣を称えた。「スキあらば優勝を」と冗談めかしていた安武監督だったが、明大が勝利したため優勝の可能性はなくなった。それでも5連勝を果たし、勝点を40の大台にまで伸ばした。この結果、桐蔭大は3試合を残して2位フィニッシュが確定。対する専大は4試合連続で白星から見放され、降格圏の11位・流通経済大学との勝点差が3に。インカレどころか残留争いに巻き込まれる結果となった。




立正大学 対 駒澤大学 @味の素フィールド西が丘


 インカレ初出場を目指し勝点を積み上げたい立正大学(勝点27・6位)と、後期リーグ未勝利ながら、ここから挽回していきたい駒澤大学(勝点21・8位)の一戦。

 両チーム同時集中応援でともに気合の入った試合は、駒大が前半からロングボールを多用し、攻撃を仕掛ける。それに対し、立正大は18番・平松昇のスルーパスを中心に攻撃を展開。ゲームが動いたのは8分、立正大の右からのコーナーキックを、10番・人見拓哉がヘディングで叩き込み先制点を挙げる。続く25分には、現在1部リーグアシストランキング2位の13番・武田夏輝が左サイドからクロスを上げ、それを18番・平松がヘディングでゴールへ突き刺し、立正大が追加点。立正大は40分に、16番・近藤拓海が負傷交代するというアクシデントに見舞われるが、その直後の42分に、7番・梅村豪が右サイドを突破。マイナス気味に戻したパスを3番・鈴木康孝が受け、ゴール前に上げたクロスをまたもや18番・平松が頭で決めて、3-0とリードを広げる。そのまま前半終了かと思われたが、アディショナルタイムに突入した45+1分、17番・藤森亮志が入れたスローインを、10番・人見が受けて駒大DFと競りながらも、←GKの頭上を抜く右足シュート。駒大のセンターバック、3番・星キョーワァンがゴール前に戻るも間に合わず、立正大が4点リードで前半を終えた。

 後半に入ると、得点がほしい駒大はすぐさま1枚目の交代カードを切る。57分、26番・中間俊亘に代わって強靭なフィジカルを誇る11番・森本ヒマンを投入。さらに69分には、9番・高橋潤哉から34番・矢崎一輝、86分には24番・米田泰盛から7番・荒木駿太へと次々とフレッシュな攻撃陣をピッチに送り込み、得点を狙う。しかし、立正大の堅い守備に阻まれてゴールを割ることができず、逆に試合終了間際の90+1分、駒大の17番・前田武勇が、立正大の19番・田中宏武を倒してペナルティーキックを献上。これをキッカーの10番・人見が落ち着いて右足で決め、今季3度目となるハットトリックを達成した。ほどなくタイムアップとなり、5-0と立正大が大勝を収めた。立正大はこの勝利で6位から3位へと大きく順位を上げ、インカレ初出場にまた一歩近づいた。一方の駒大は後期リーグ開幕から8戦未勝利と厳しい状況が続く。




明治大学 対 順天堂大学 @味の素フィールド西が丘


 前日の桐蔭横浜大学と結果により、引き分け以上で優勝が決まる明治大学(勝点49・1位)と、今季は明大に2敗を喫し"3度目の正直"でリベンジを果たしたい順天堂大学(勝点28・5位)の一戦。

 ついに明大が優勝に王手をかけた。立ち上がりは順大ゴールに猛然と襲いかかった明大だったが、試合は次第に順大ペースに。順大は14番・鈴木啓太郎、15番・大谷京平といった両サイドの選手がボールを奪っては攻撃を仕掛け、それに10番・旗手怜央、11番・塩浜遼が反応。たびたびチャンスを作るが、明大の堅い守備を崩しきれない。対する明大も順大の速いプレスに捕まり、思うように攻撃を展開できず。ともに決定機のないままスコアレスで前半が終わるかと思われたが、前半終盤の40分に試合が動く。右サイドから中央に侵入した明大の8番・森下龍矢がボールをカットし、11番・佐藤亮へとスルーパス。11番・佐藤はタイミングを図って左足を振り抜き、GKの股下を抜くシュートを決め、明大が先制点を挙げる。前半は明大シュート2本、順大5本と、順大が多くチャンスを作るものの、明大が首位の実力を見せつけ、先手を奪って試合を折り返す。

 後半は、両チームが激しく攻守が入れ替わる展開となった。すると53分、順大が中央でボールを繋ぎ、25番・栗田詩音から11番・塩浜遼へとパス。11番・塩浜はドリブルで相手を交わすと、そのまま右足を振り抜いてゴールネットを揺らす。順大が追いつき、試合は振り出しに戻った。引き分けでも優勝の決まる明大だったが、ここから明大が動きを見せる。62分に31番・狩土名禅、65分に12番・常本佳吾を投入して攻守両面にテコ入れをすると、この起用が的中。70分、明大は11番・佐藤が右サイドを突破。ゴール前に入れたクロスを8番・森下が合わせるも、順大DFに弾かれゴール前は混戦に。しかし、そのこぼれ球を31番・狩土名が拾い、そのまま左足を振り抜いて追加点。今季初出場、途中交代からわずか8分の31番・狩土名が大一番の舞台で勝ち越し点を上げた。再び追う立場となった順大は、3枚の交代カードを切って状況の打開を図るが、明大に追いつくことなく試合が終了。2-1で勝利した明大が勝点を52に伸ばし、2016年以来となる3年ぶり5回目の優勝を決めた。

 これで『「アミノバイタル?」カップ2019 第8回関東大学サッカートーナメント』、『第43回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』に続く今季3つめのタイトルを手にすることとなった明大。栗田大輔監督は「トーナメントとリーグ戦は違う。リーグ戦は1年間の積み重ね。今年はいろいろなことにチャレンジし、システムも変えたし、学生主体の変革もあった。そうしたことの積み重ねとして結果が出たことがうれしい」と感慨深げ。ここ数試合は先制点を許し、この試合でもまた順大に主導権を握られる展開となったが「順大は素晴らしい選手が多いし、それ以上に今日は戦術的なサッカーで自分たちに対応した」と対戦相手を称賛。その中で主将の11番・佐藤が先制点を挙げたことが「うれしかった」といい「内容的に修正点がないわけではなかったが、優勝が決まる試合で1-0で戻ってきたのだから問題はない。彼らからは勝ちたいという執念を感じた」とコメント。19試合中、17勝1分1敗という圧倒的な数字で優勝を決めた明大だが、栗田監督を始め多くの選手から出たのは、この優勝はあくまで"通過点"だということ。最終的な目標はリーグ戦後に行われる、インカレで今季4つめのタイトルを獲ること。3年前には、早期の関東リーグ制覇でバランスを崩し、インカレ優勝を逃した苦い経験を糧に、"王者"明大はさらなるレベルアップを目指す。




中央大学 対 早稲田大学 @龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド


 現在2連勝で7年ぶりのインカレ出場まであと一歩に近づいた中央大学(勝点24・7位)と、前節で残留を争う流通経済大学に手痛い敗戦を喫し、降格圏が間近に迫る早稲田大学(勝点18・10位)の一戦。

 試合は序盤から、中大がセンターバックの3番・深澤大輝を中心としたビルドアップで早大を押し込む展開に。しかし、早大も10番・金田拓海と4番・鍬先祐弥のダブルボランチが好守を見せ、中大はなかなか効果的な縦パスを通すことができない。ボールを奪うも効果的な攻撃を繰り出すことのできない早大だったが、23分にチャンスが訪れる。敵陣深くでスローインを獲得すると、これを受けた24番・鈴木郁也のクロスに14番・藤沢和也が合わせてシュート。これはポストに嫌われたが、そのこぼれ球を7番・栗島健太がゴールに押し込む。その後はワンチャンスをモノにして先制した早大が優勢となり、リードを守ったまま前半が終了する。

 後半に入ると一転、攻撃のギアを上げた中大が主導権を握り返す。リーグ戦初スタメンとなった29番・小野寺巧が2度の決定機を迎えるなどして試合の流れを引き寄せると、63分にチャンスが結実。8番・大久保智明が個人技で右サイドを突破。糸を引くようなパスを前線に供給すると、これに反応した25番・高窪健人がゴール左隅に豪快なシュートを決め、中大が同点に追いつく。すると、ここから中大のゴールラッシュに。67分、8番・大久保の右コーナーキックを、7番・宮城和也が頭で合わせてまずは逆転。さらに70分、シュートのこぼれ球に反応した25番・高窪のラストパスに、8番・大久保が強烈なボレーで合わせてゴールに突き刺す。わずか7分間で3点を奪った中大が、あっという間に試合をひっくり返した。このままでは終われない早大は、83分に途中出場の35番・梁賢柱の2試合連続ゴールで1点を返す。その後も猛攻を仕掛ける早大だったが、決定機を逸し続け無念のタイムアップ。逆転勝利を収めた中大が、3連勝を飾りインカレ出場圏内の6位まで、わずか勝点1にまで迫った。


筑波大学 対 流通経済大学 @龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド


 後期リーグは連勝がなく、なかなかインカレ出場を確定できない筑波大学(勝点30・3位)と、現在3連勝中で最下位から脱し、奇跡の1部リーグ残留を目指す流通経済大学(勝点14・11位)の一戦。

 ともに茨城を拠点とするチーム同士の対戦。「茨城クラシコ」と銘打たれた試合は、序盤からともに積極的な攻めの姿勢を見せ、激しい攻防戦が繰り広げられた。試合が動いたのは序盤の13分。流経大の10番・山口大輝が敵陣で相手のパスをカットし、そのまま一気にドリブルで前進。ペナルティーエリア内に侵入すると、落ち着いて相手GKとの1対1を制し、右足でシュート。流経大が早い時間帯に先手を取る。その後も流経大は前線からの激しいプレスで筑波大に自由を与えず、攻撃では7番・菊地泰智のサイドへのフィードを起点に、8番・仙波大志と11番・満田誠の両ウィングが積極的にドリブルで仕掛けて筑波大を押し込む。筑波大は苦しい展開が続き、前半は流経大が1点をリードしたまま終了する。

 後半は序盤こそ筑波大がボールを保持して反撃に出る、流経大が人数をかけたディフェンスでこれを阻止。筑波大は9番・犬飼翔洋や途中出場の18番・森海渡の長身FWコンビにロングボールを集めるが、流経大守備陣にことごとく跳ね返されてしまう。さらに、エースの7番・三笘薫も守備に回る時間が多く、得意のドリブルで敵陣に進入することができない。後半、筑波大シュート数が0本と、流経大の集中した守りの前に攻撃陣が完全沈黙。一方の流経大はショートパス主体の攻撃で筑波大ゴールに襲いかかり、試合の流れは完全に流経大に。追加点こそ奪えなかったものの、流経大が1点を守りきったまま試合は0-1で終了。流経大が4連勝を達成し、10位・早稲田大学との勝点差を1にまで縮め、降格圏からの脱出を視野に捉えた。



 次節第20節は、11月9日(土)に千葉県総合スポーツセンター東総運動場で法政大学と早稲田大学、順天堂大学と専修大学がそれぞれ対戦。また龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールドにて駒澤大学と東洋大学、立正大学と流通経済大学が激突。11月10日(日)にはShonan BMWスタジアム平塚で桐蔭横浜大学と中央大学、明治大学と筑波大学の試合が行われる。

 第18節まで16勝1分1敗という圧倒的な強さで戦い抜いてきた明大が、順大との大一番を制し、2016年以来となる3年ぶり5度目の優勝を決めた。一方残留争いは、敗れれば2部リーグ降格の危機にあった最下位の東洋大が法大に勝利し、残留へと望みを繋げた。また11位の流経大は筑波大に勝利し、これで4連勝。ついには1部リーグ残留圏内の10位・早大との勝点差を「1」に詰めた。9位・専大との勝点差は3、8位・駒大とは勝点差4と、残り3試合ながらも残留争いはまったく先が読めない条項だ。勝点3差内に5チームがひしめきあう上位チームインカレ出場権争い、そして残留をかけた下位チームの戦い。優勝は決まったもののまだまだ1部リーグは見どころ満載。目が離せない戦いは続いている。
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