『JR東日本カップ2021 第95回関東大学サッカーリーグ【前期】』2部リーグ第11節は、6月27日(日)に全6試合が行われた。
専修大学 対 中央大学
3試合ぶりの勝利を掴み降格圏からの脱出を狙う専修大学(勝点7・暫定10位)と、3連勝で前期リーグを終えたい中央大学(勝点19・暫定2位)の一戦。
前半の立ち上がりは中大がボールを握る展開となった。開始早々のコーナーキックでは7番・田邉光平がこぼれ球に右足を振り抜く。しかしこれは、専大GK1番・大野来生のファインセーブで得点とはならない。対する専大も徐々にペースを掴み始めたものの、シュートチャンスを作るまでには至らない。両者一歩も譲らず、前半は0-0のまま試合を折り返した。
試合が動いたのは後半の。59分。専大の39番・山本隼大が相手を背負いながらも相手陣地深くスローインを受け、鋭い反転からペナルティーエリア内に侵入。すると、中大DFがのばした足がかかり専大がペナルティーキックを獲得する。これを39番・山本自らがゴール左隅へと冷静に流し込み、専大が先制点を挙げる。一方の中大は70分、8番・山﨑希一のスルーパスに35番・青木奏人が反応。右サイドからのクロスにファーから飛び込んだ11番・鈴木翔太が頭で合わせるが、惜しくもポストを直撃。ゴールとはならなかった。中大に押し込まれる専大は83分に18番・村上千歩を投入。すると終了間際の90分、10番・加野赳瑠のクロスに、交代出場の18番・村上が頭で合わせ追加点。交代選手の活躍で2点差と中大を引き離した専大が、2-0で勝利を収めた。
専大は3試合ぶりの勝利を掴んで自動降格圏を脱出。後期リーグにつながる大きな一勝となった。一方3連勝を目指していた中大は、専大の堅い守備を崩せず痛い敗戦。3位に後退し、首位との差が2ゲームと大きく広がる結果となった。
神奈川大学 対 東海大学
降格圏脱出のためにも負けられない神奈川大学(勝点5・暫定12位)と、上位に食い込むために勝利が欲しい東海大学(勝点11・暫定8位)の一戦。
試合は序盤から東海大がペースを掴んだ。東海大は全員が連動した守備をみせ、攻撃では16番・高田悠が推進力のあるドリブルを活かして相手を押し込む。16分には、中央でセカンドボールを回収した8番・杉山祐輝がディフェンスラインの背後にスルーパス。そこに走り込んだ16番・高田が自ら運んでシュートを放つが、これは神大GK31番・平山颯太がしっかりと弾いてゴールを許さない。対する神大は26分、10番・白川浩人が中央から右に展開。すると5番・藤森隆汰が縦に突破しクロスを上げる。しかし、これはそのまま東海大GK12番・佐藤史騎の手の中に吸い込まれてしまう。前半の内に1点が欲しい東海大は27分、ロングスローのこぼれ球を37番・鈴木遼がボレーシュート。だがシュートはクロスバーに弾かれ、先制点とはならなかった。40分にもフリーキックのこぼれ球を20番・長江皓亮が左足一閃。しかし、これも神大GK31番・平山がファインセーブ。その後も、神大は身体を張った守備で得点を許さず、スコアレスドローで試合を折り返した。
神大は、後半から2番・三本木達哉を投入。試合の流れを引き寄せようとする。そして69分には、自陣でボールを奪ってショートカウンター。人数を多くかけ素早く攻め込むが、東海大守備陣の戻りも早くシュートまで持ち込めない。東海大は、62分と76分に9番・鈴木朝日、7番・堤太陽を投入。66分には9番・鈴木の裏への抜け出し、78分には、7番・堤のロングスローでチャンスを作るが、なかなか決めきれない。試合は終盤に突入。すると86分、東海大がついに均衡を破る。7番・堤のロングスローのこぼれ球を6番・坂本翔がシュート。一度は神大GK31番・平山が弾くものの、詰めていた16番・高田が倒れ込みながらも右足で押し込み、ゴールネットを揺らす。東海大が待望の先制点を挙げる。追いつきたい神大も残り時間、果敢に攻め込むが東海大ゴールを脅かすことができないまま試合終了。
試合終了間際に貴重な1点を奪った東海大が勝点3を獲得。勝点を14とし、7位でリーグを折り返した。一方、連敗を止めたかった神大は痛い黒星。11位と勝点4差が開く形で前期を終了した。
日本大学 対 東京学芸大学
勝点3を獲得し、上位浮上の足掛かりとしたい日本大学(勝点13・暫定6位)と、4連勝で前期リーグを終えたい東京学芸大学(勝点19・暫定3位)の一戦。
試合は立ち上がりの3分、東学大の10番・鈴木魁人のダイナミックなバイシクルシュートで始まった。序盤から両チームのセンターフォワードが存在感を発揮し、東学大は10番・鈴木がピッチの至る所に顔を出し、ボールを収めてチームの攻撃を牽引。日大は11番・荻原翼が東学大ディフェンスラインの裏に落ちるボールに素早く反応。迫力のあるプレーを見せる。日大は43分、7番・大森渚生の見事なロングパスに抜けだした11番・荻原がシュートを放つが惜しくも枠の外。両チーム最終ラインがゴール前で集中した守備を見せ、スコアレスで前半が終了する。
後半に入ると、東学大は58分にMF 21番・柿本音王、MF 8番・佐藤哲を投入し、攻撃の活性化を図る。すると直後の60分、東学大は自陣左サイド深くで回収したボールをつなぎ、右サイドバックの6番・草住晃之介に展開する。フリーの6番・草住が絶妙なスルーパスを21番・柿本に供給。それを21番・柿本がワントラップからニアに突き刺し、東学大が待望の先制点を挙げる。失点後は、後方からの丁寧なビルドアップでリズムをつかみかけていた日大だったが、交代選手のゴールで勢いづく東学大も激しいプレッシャーでこれに対抗。東学大は64分、2番・橋本柊哉の高速クロスに8番・佐藤が合わせ、立て続けに2本のシュートを放つ。しかしこれは日大GK 1番・山内康太がセーブ。続く78分、2番・橋本のロングフィードから10番・鈴木が抜け出したところ、相手GKが堪らずファールをおかし、ペナルティーキックを獲得する。しかし、10番・鈴木自らが蹴ったキックを、日大1番・山内が見事なストップ。守護神の活躍で流れを引き寄せた日大は86分、コーナーキックのこぼれ球に24番・梶谷涼人が詰め、ついに同点に追いつく。その後は激しい攻防戦が続くも、ゴールネットを揺らすことなくタイムアップ。1-1の痛み分けとなった。
東学大は得点後のチャンスをものにできず悔しい引き分け。しかし3位の中央大が敗れたことにより、2位でリーグ戦を折り返すこととなった。とはいえ首位・東京国際大学との勝点差は5と開き、後期リーグの巻き返しが必須だ。一方、日大は貴重な勝点1を手にし、6位をキープして前期を締めくくった。
関東学院大学 対 日本体育大学
下位に停滞し、上位浮上のきっかけを作りたい関東学院大学(勝点10・暫定9位)と、前節に続く勝利で首位との勝点差を縮めたい日本体育大学(勝点17・暫定4位)との一戦。
前半ボールを支配し、ペースを掴んだのは関学大だった。自陣から相手陣内へと着実にボールを繋いで日体大ゴールに迫る。すると34分、関学大は左サイドに抜け出した16番・藤本裕也が上げたクロスを、22番・高緑海が触ってコースを変える。最後はファーサイドに待ち構えていた34番・土井紅貴がゴールに押し込み、関学大が先制する。その後は日体大がボールを支配して関学大ゴールに迫るが、得点は生まれず、1-0と関学大リードのまま前半が終了する。
後半の立ち上がりは、1点のビハインドを負う日体大がボールを支配して関学大ゴールに迫る。関学大も次第にペースを掴み、カウンターによる攻撃中心に相手陣内に攻め込む。しかし、後半中盤から終盤の時間帯は日体大が圧倒する展開に。幾度となく関学大ゴールに迫るが、関学大の守備陣も最後のところで体を張りゴールを許さない。だが、最後まで日体大も諦めず、アディショナルタイムに突入した90+4分、ついに試合が動く。日体大は8番・佐々木大貴が左サイドからペナルティーエリア近くまで切り込むと、相手をかわしてクロスをあげる。これを関学大がクリアしきれず流れたボールを、逆サイドにいた6番・土佐陸翼が右足でゴールに突き刺す。日体大の劇的な同点弾が決まると同時にホイッスルが鳴り、試合は終了。
土壇場で1点をもぎとった日体大は最後の最後に勝点1を獲得。順位を落とすことなく上位グループに食らいついた。一方、関学大は勝点3を目前で逃す結果となってしまった。
産業能率大学 対 東洋大学
第6節以来、約1ケ月以上白星から遠ざかっている産業能率大学(勝点8・暫定10位)と、今季初の連敗を喫した悪い流れを断ち切りたい東洋大学(勝点16・暫定5位)の一戦。
前半、先にチャンスを得たのは東洋大だった。開始早々の3分、2試合ぶりの先発起用となった9番・佐々木銀士がロングボールに反応。すると産能大の42番・唐木晃にゴール前で倒され、東洋大がフリーキックを獲得する。このチャンスに7番・横山塁が直接ゴールを狙うが、シュートは産能大の壁にブロックされてしまう。対する産能大は、左サイドの5番・池内龍哉のスピードを活かした攻撃を展開。ロングパスなどで東洋大の守備を揺さぶり、左サイドからのクロスや、東洋大ディフェンスの裏を狙った長いパスを送るが、なかなかシュートまで持ち込むことができない。やがてペースは次第に東洋大へ。前半終盤には立て続けのセットプレーのチャンスに2番・高橋亮や5番・大森大地が合わせるものの、産能大のGK、1番・牧野恋音に阻まれて得点とはならず。スコアレスのまま前半を終える。
後半は、終始東洋大が主導権を握る展開となった。52分にはスローインから7番・横山が左足でボレーシュートを放つが枠の上。75分にはセットプレーから5番・大森がヘディングで合わせるも、産能大GK1番・牧野が反応し得点とはならない。アディショナルタイムにはコーナーキックからのボールに3番・中村勇太がヘディングで叩きつけるが、これは惜しくも枠の上。後半は産能大のシュートを9番・菅原龍之助の1本のみに抑えた東洋大だったが、最後までGK1番・牧野の守る牙城を崩すことができず、スコアレスドローで試合終了。
今節、専修大学が勝利したため産能大は降格圏の11位に転落。東洋大は第6節の日本大学戦以来のクリーンシートとなったものの、4戦白星なしとなった。
東京国際大学 対 立教大学
単独首位をキープしてリーグを折り返したい東京国際大学(勝点22・暫定1位)と、前期最終節の勝利を後期への足がかりにしたい立教大学(勝点13・暫定7位)の一戦。
試合は両者一歩も譲らず、序盤から激しい戦いとなった。前半立ち上がりは立教大が優勢に攻めるものの、スコアは東国大の素早いプレッシャーによって動いた。29分、2部リーグ得点ランキング2位の8番・落合陸が、立教大のミスを逃さずキーパーのボールをカット。そのまま右足でゴールに流し込み、東国大が先制点を決める。その後は立教大が攻めるが得点は生まれず、東国大の1点リードで前半は終了した。
再び試合が動いたのは70分。ゴール前の混戦となったところで、立教大が放ったシュートを防ごうとした東国大の選手がハンドをしてしまう。ペナルティーキックを獲得した立教大は、13番・立川将吾が右端にシュートを突き刺し同点に追いつく。しかし同点となったのも束の間、76分には東国大の10番・有水亮が、鮮やかなミドルシュートでゴールネットを揺らし、再び立教大を突き放す。その後は両者緊張感に満ちた攻防戦を繰り広げるが、ゴールにはいたらず2-1で試合終了。
立教大のゴールを1点に押さえた東国大が勝利を収め、単独首位で前期を終えた。2位以下との勝点差は5。後期は独走態勢に入るか。
混戦が続いていた上位争いだが、前期最終戦となった今節は首位の東国大以外は白星を挙げられず、東国大が頭一つ抜ける形となった。3位の東学大と4位の日体大、5位の東洋大はそろって引き分け。足踏み状態となり、結果東国大と2位以下との勝点差は「5」に。このまま東国大が首位を独走するのか。後期のスタートが注目される。一方、11位の専大が2位の中大に大金星を挙げるなど、下位グループにも動きが出始めた。そんな中で厳しい状況となっているのが最下位の神大。終了間際の失点で連敗を喫し、10位との勝点差は4に開いた。
今節で前期は終了。混戦模様となった前期も、少しずつ勝点差が開いてきた。後期リーグでこの勝点差がさらに開くのか、それとも猛烈な巻き返しで順位を大きく動かすチームが出るのか。全22試合が終了したとき、2部リーグではどんなドラマが生まれるのだろうか。