『JR東日本カップ2021 第95回関東大学サッカーリーグ戦【後期】』1部リーグ第22節は10月30日(土)に、全6試合が行われた。
明治大学 対 駒澤大学 @AGFフィールド
今節で優勝を決めるためには勝利が絶対条件の明治大学(勝点39・暫定1位)と、優勝にわずかな望みにかけ、勝点3を掴み取りたい駒澤大学(勝点31・暫定3位)の一戦。
試合開始から両チーム拮抗した戦いが繰り広げられた。試合が動いたのは17分。明大は2番・岡庭愁人が一瞬の隙をつき、駒大ディフェンスラインの裏を取る素早いスローインからのリスタート。そこへ走り込んでいた16番・佐藤恵允がうまく相手をかわし、右足でゴールに流し込んで明大が先制する。一方、駒大はこれまで合計31ゴールを生み出している前線の3人、9番・宮崎鴻、10番・土信田悠生、7番・荒木駿太を起点に攻撃を展開するが、なかなかシュートまで持ち込めない。しかし無得点のまま迎えた44分、駒大にチャンスが訪れる。10番・土信田が明大のバックパスのミスに反応。奪ったボールを冷静にダイレクトでゴールへと流し込み、同点弾を決める。駒大が前半終了間際に追いつき、1-1と試合を振り出しに戻して前半は終了した。
後半も両チーム一歩も譲らない展開となったが、58分、駒大にチャンス。12番・宮嵜龍飛がボールを奪って素早く前線へと運び、低い位置からクロスを上げる。そのクロスボールのクリアミスに反応したのは7番・荒木。7番・荒木はこぼれ球をゴール左のサイドネットへ豪快に突き刺し、駒大が逆転に成功する。追う立場となった明大は、多彩な攻撃で駒大ゴールに迫るが、駒大GK1番・松本瞬のたびたびの好セーブによって得点を阻まれる。その後も明大が攻め続けるも、駒大は交代カードをうまく切りながらリードを死守し、1-2で試合終了。
前線2人のゴールで見事な逆転勝利を収めた駒大が、優勝へと望みを繋いだ。明大は、流経大が法大に負けたことにより勝てば優勝という条件が整っていたが、勝利ならず。優勝は延期日程の行われる次週以降にお預けとなった。
法政大学 対 流通経済大学 @流通経済大学龍ケ崎フィールド
ここ6戦勝ち無しだが、ここで総理大臣杯チャンピオンとしての意地を見せたい法政大学(勝点29・暫定4位)と、逆転優勝に向け、勝って首位との差を縮めたい流通経済大学(勝点35・暫定2位)の一戦。
流経大はこの試合の勝利が優勝の条件。負ければ、首位・明治大学の結果次第で優勝の可能性が潰える。しかしながら6連戦の最終戦で疲労がピークに達しており、なかなかセカンドボールを回収できない。そのため、序盤から法大に主導権を握られる展開となった。試合が動いたのは27分。法大の35番・渡邉綾平が中に蹴りこんだボールを、流経大DFがクリア。するとそれに法大の25番・吉尾虹樹が反応し、ペナルティーエリア外からダイレクトで左足を振り抜く。このシュートに流経大GK、21番・薄井覇斗が一歩も動けないまま。ボールはゴールに突き刺さり、法大が先制する。勢いに乗った法大は直後の28分、相手陣内でボールを奪うと、少ないタッチ数でパスを回しながらカウンターを仕掛ける。するとゴール正面で11番・田中和樹が3番・宮本優からボールを受け、それを冷静に流し込んで追加点。2点を追う展開となった流経大は、その後必死の攻撃を続けるものの得点には至らず、2-0で前半が終了。
流れを変えたい流経大は、直近の試合で2得点を挙げるなど絶好調の29番・糟谷雄介をハーフタイムに投入。29番・糟谷はキレのあるドリブルや巧みなボール捌きで流経大の攻撃のギアを上げる。だが、ゴールネットを揺らしたのはまたしても法大だった。55分、ロングパスのこぼれ球を拾った3番・宮本がシュートを放つが、相手DFに当たり再びボールがこぼれる。これを回収した11番・田中がゴールに流し込み、法大が3点目を挙げる。まずは1点を返したい流経大だったが、失点直後の57分、39分に警告を受けていた2番・佐藤響が2回目の警告を受けて退場に。10人で3点を追う、さらに厳しい状況となった。それでも61分、流経大は右サイドでボールを持った15番・菊井悠介がクロスを上げ、ファーサイドで待っていた4番・佐久間駿希が頭で合わせて1点を返す。このまま流れに乗りたい流経大だったが、法大もすかさず主導権を奪い返し、78分には左サイドから放たれた25番・吉尾のピンポイントのクロスに、10番・飯島陸が頭で合わせて4点目。その後は流経大に流れが傾くことはなく、法大がさらに試合をたたみかける。89分、90+4分にそれぞれ2番・陶山勇磨、10番・飯島がゴールを決め、大量6得点を挙げて勝負あり。最終的に6-1というスコアで試合は終了した。
法大は6発大勝で、6試合ぶりの勝点3を獲得。残る延期日程の1試合を勝って終わるべく、チームを建て直す貴重な勝利となった。一方、大差をつけられて敗戦した流経大。首位・明大が敗れたため、今節で優勝の可能性が消滅することはなかったが、優勝するには延期日程の2試合に全勝することが絶対条件。まずは次戦の早稲田大学戦に勝利し、最終戦となる明大との直接対決にもちこみたいところだ。
早稲田大学 対 順天堂大学
インカレ出場のためにも負けられない早稲田大学(勝点27・暫定7位)と、1部リーグ残留、そしてインカレ出場へ、勝利するしかない順天堂大学(勝点25・暫定9位)の一戦。
白熱が予想された試合は序盤から動いた。8分、順大は3番・山﨑大地のクリアボールを、20番・長倉幹樹が相手DFを背負いながら、左サイドの6番・白井海斗にパス。少し乱れ気味のパスを、6番・白井は丁寧なトラップで収めるとドリブルを開始する。切れ味鋭い切り返しからゴール逆隅を狙ったシュートは、吸い込まれるようにしてゴールへ。6番・白井の目の覚めるようなミドルシュートで、順大が先制する。順大はその後も20番・長倉を中心にロングフィードを駆使して早大ゴールへと迫る。試合の主導権を奪われた早大は43分、10番・田中雄大と26番・平野右京を投入。前半のうちに巻き返しを図るが叶わず、順大が1点リードで前半を終える。
後半もペースは順大が握った。58分、中盤で相手のクリアボールを拾った順大の10番・小林里駆は、左サイドの6番・白井にパス。6番・白井はペナルティーエリア内の7番・樋口堅大とのワンツーから早大ゴール前へ。相手GKが迫るも、冷静にこれをかわしてゴールへと流し込み、順大が追加点を奪う。早大は攻撃を活性化させるべく、前線のタレントを投入して反撃に出るが、3番・山﨑を中心とした順大守備陣の前にシュートはおろか、コーナーキックさえも奪えない。後半、早大のシュートを0に抑えた順大がこのまま逃げ切り、6試合ぶりの勝利。
順大は9位から7位に浮上し、自力での1部リーグ残留を決めてインカレ出場へ望みを繋いだ。対する早大は8位に後退し、シュートを前半の2本だけに抑えられる厳しい敗戦。インカレ出場に向け、2位・流通経済大学と4位・法政大学との大一番が続く。
筑波大学 対 桐蔭横浜大学
勝点を積み上げインカレ出場を決めたい筑波大学(勝点28・暫定5位)と、勝利を掴み取り自力での1部リーグ残留を決めたい桐蔭横浜大学(勝点26・暫定8位)の一戦。
勝点差はわずかに2、ともに中位に位置する両チーム。筑波大にとっては、勝点を1でも積めばインカレ出場権獲得となる試合だったが、序盤から主導権を握ったのは桐蔭大だった。5分、24番・山内日向汰のパスを10番・篠原友哉がつなぎ、最後は8番・圓道将良がシュートを放つ。これは筑波大GKの30番・髙山汐生の好守で得点とはならなかったが、開始早々から桐蔭大が決定機を作り出す。対する筑波大は15番・角昂志郎が果敢にドリブル突破を試みるが、なかなかチャンスを作り出せない。再三決定機を迎えながらも得点には至らなかった桐蔭大だったが、前半終了間際に待望の先制点を挙げる。42分、中央でボールを奪った24番・山内がドリブルで攻め上がり、スルーパスを供給。9番・山田新が背後に抜け出してこれに反応。飛び出してきたGKをファーストタッチでかわすと、最後は落ち着いてゴールに流し込んだ。試合はこのまま桐蔭大の1点リードでハーフタイムを迎えた。
筑波大はハーフタイムに9番・森海渡と23番・田村蒼生を投入。後半は彼らを中心とした攻撃陣が奮起し、筑波大が攻勢を強める。徐々に桐蔭大ゴールに迫る場面が見られるようになり、59分には13番・岩本翔のパスに15番・角が抜け出してゴールに迫る。15番・角は鋭い切り返しで桐蔭大DFを振り切ると、さらにもうひとりのDFをかわし左足でシュート。これがゴールネットを揺らし、筑波大が同点弾。試合を1-1の振り出しに戻した。その後試合はさらに白熱し、両チームゴールへと迫るチャンスを作り出すが、互いに守備陣が奮闘してなかなか得点を許さない。どうしても勝利が欲しい桐蔭大は74分、10番・篠原がヘディングで狙うもののわずかにゴールの枠を外れる。試合終了間際の90分には途中交代の22番・井出真太郎がペナルティーエリア内で倒されるが、ファウルとは認められずペナルティーキック獲得とはならなかった。その後もスコアは動かず1-1で試合終了。
両者勝点1を分け合う結果となったが、この勝点1により筑波大はインカレの出場権を獲得。一方、桐蔭大は9位に順位を落としながらも他会場の結果により1部リーグ残留を決めたが、インカレ出場権は逃す結果となった。
慶應義塾大学 対 拓殖大学
負けたら降格となる直近の2試合に勝利し、この試合で3連勝を挙げて何としても1部リーグ残留を決めたい慶應義塾大学(勝点24・暫定11位)と、同じく1部残留の為には勝利が絶対条件となる拓殖大学(勝点23・暫定12位)。敗れたほうが2部への自動降格が決まる大一番。
互いに後がない状況で迎えた最終節。前半、慶大はそのプレッシャーからかいつもの走るサッカーを展開できず、拓大が慶大陣地でボールを支配する展開が続いた。拓大は細かくパスを繋げながら慶大ゴールに迫り、14分には19番・関根大輝が、慶大の14番・橋本健人から高い位置でボールを奪取。ペナルティーエリア内で待っていた16番・浅倉廉へとボールを送る。16番・浅倉はこれを右足ダイレクトでゴール左隅へと流し込み、拓大が貴重な先制ゴールを挙げる。その後も拓大は攻撃を仕掛けるが、慶大も3番・酒井綜一郎を中心に追加点を与えない。結局、前半は0-1で拓大がリードして終えた。
慶大はハーフタイムにメンバー2人を入れ替えて修正をはかる。その効果もあり、後半は開始から拓大に圧力をかけると、11番・宮本稜大が前線で守備のスイッチを入れ、それに続いて後ろも走るサッカーを展開。カウンターなどでシュートチャンスを作るが、なかなか同点ゴールを奪うことができない。拓大にとっては耐える展開となったが、集中力を切らさずに守り続ける。すると72分に大きなチャンス。拓大は、9番・山中麗央が相手陣地中央で相手MFからボールを奪う。そして自らボールを運ぶと、ペナルティーエリア外からゴール左隅に技ありのミドルシュート。これが決まり、拓大が0-2と慶大を突き放す。絶体絶命となった慶大は75分、途中出場の17番・田村祐二朗を起点に2番・小山内慎一郎、14番・橋本へとボールをつなぐ。14番・橋本は、ペナルティーエリア近くまでボールを運ぶと、得意の左足を振り抜いて1点を返す。だが慶大の反撃はここまで。その後はなかなか拓大ゴールに迫ることができず、1-2のまま試合終了。
残留争い直接対決となった一戦は、拓大が勝利して最下位から10位に浮上。最終戦での貴重な勝利で自動降格を免れ、1部参入プレーオフ出場へと繋げた。一方、2連勝で自動降格回避が見えてきた慶大だったが、この敗戦で最下位に。残念ながら奇跡の1部残留とはならなかった。
立正大学 対 国士舘大学
1部リーグ残留に向けて、勝点3獲得が必須の立正大学(勝点25・暫定10位)と、勝利してインカレ出場権を確定させたい国士舘大学(勝点26・暫定7位)の一戦。
立ち上がりにチャンスを作ったのは立正大だった。5分、11番・鎌田翔太郎のドリブルからチャンスを作ると、ペナルティーエリア付近でフリーキックを獲得。これを24番・榊原杏太が直接狙うが、枠を捉えることができない。対する国士大は、15分、5番・内田瑞己の縦パスを11番・有田稜がワンタッチで落とし、再び5番・内田がシュート。しかしこちらもゴールとはならず。ここからは、1部リーグ残留を懸けて試合に臨む立正大のペースで試合が進む。34分、立正大は2番・大室慶将のスローインを11番・鎌田がそらし、33番・竹村俊二がワンタッチでペナルティーエリア内の19番・田中智也へ。19番・田中が放ったボレーシュートは、しかしクロスバーを直撃。多くのチャンスを作った立正大だが、得点を挙げることができず前半は0-0のスコアレスで終わった。
後半開始早々にスコアを動かしたのは、前半は押され気味だった国士大。48分、10番・棚橋尭士のスルーパスを右サイドで受けた14番・布施谷翔が、ツータッチでボールを収め、ゴール前にクロスを入れる。そこに走り込んできた11番・有田がワンタッチで合わせ、ボールをゴール左に流し込む。先制点を奪われた立正大は60分、途中出場の18番・青島太一がハーフウィーラインからボールを運び、24番・榊原にスルーパス。だが榊原が放ったシュートは、またもや枠を捉えきれない。すると我慢の時間が続く国士大がまたしても試合を動かす。77分、11番・有田が相手DFをひとりかわし、10番・棚橋にパス。10番・棚橋の反転しながらのシュートがゴール左のネットに突き刺さり、国士大が追加点。0-2と立正大を突き放した。なんとしても追いつきたい立正大は83分、6番・金浦真樹を投入。さらに4番・孫大河を前線に移してパワープレーでゴールを狙うが、最後までゴールラインを割ることなく0-2で試合終了。
この結果、立正大学は11位に転落し、2部リーグへの自動降格が決定。来季は2部リーグに舞台を移して戦うことになった。一方、勝利した国士大は7位内が確定し、インカレ出場権を獲得した。
最終節となる今節で桐蔭大、拓大、立正大、慶大の全日程が終了。次の試合は第13節、第16節の延期分として11月6日(土)に県立保土ヶ谷公園サッカー場にて11:00から早稲田大学と流通経済大学が、14:00から駒澤大学と国士舘大学が対戦する。この試合は有観客試合として観戦が可能だ。
今節では、1部リーグ残留を争う拓大と慶大が激突。この直接対決を制した拓大は2部リーグへの自動降格を回避し、「2021年 関東大学サッカーリーグ戦1部参入プレーオフ」出場に1部残留の望みを繋げた。敗れた慶大は2部リーグへの自動降格が確定。またこの試合の結果を受け、国士大に敗れた立正大も2部に自動降格となった。今節で下位3チームの順位は決定した。
一方、インカレ出場権を巡る戦いは最終節を終えてもなお続いている。現在、6位の国士大までのインカレ出場が確定しており、残りの1枠を早大と順大が争う。また、優勝争いでは、3位の駒大が6試合負けなしの快進撃が続いていた明大を逆転で打ち破り、今節での優勝決定を阻止。明大の背中を追う流経大は法大の強力な攻撃陣を前に守備が崩壊。大量6失点で逆転優勝に向け足踏み状態となっている。
現時点で優勝の可能性は3位・駒大まで残されているものの、延期日程にて流経大が敗北し、かつ駒大が引き分け以下で明大の3連覇が決定する。また、早大は残り2試合で勝点2以上を獲得するとインカレ出場権が確定することから、今後も負けられない戦いが続く。残る試合はどれも優勝とインカレ出場がかかった大一番。その勇姿と熱い戦いに刮目せよ。