『JR東日本カップ2024 第98回関東大学サッカーリーグ戦』【1部リーグ】第8節は、6月8日(土)に全6試合が行われた。
開幕から6連勝と圧倒的な強さを見せていた首位・明治大学。その連勝がついに"6”で途切れた。今節、6位の桐蔭横浜大学と対戦。明大は試合序盤の10分、中村草太の3試合ぶりのゴールで先制するものの、21分にセットプレーから失点して1-1に。「前半は大雑把な試合になっていたので修正をした」(明大・栗田大輔監督)として迎えた後半は怒涛の攻撃で桐蔭大ゴールに迫るが決定機を決めきれず。「(ゴール前の)精度と決めるべきところで決められなかったということ」(同監督)。無敗記録は続いているものの、今節は勝点1を積み上げるに留まった。
明大連勝ストップのチャンスに、2位・東京国際大学と3位・筑波大学は明暗が分かれた。2位の東国大は9位の日大とスコアレスドローに。こちらも勝点1を得るのみで、明大との勝点3は縮まらなかった。一方、3位の筑波大はエース・内野航太郎のゴールで5位・東洋大学に勝利。この結果筑波大は勝点を16に伸ばし、得失点差で東国大を上回って2位に浮上。さらには首位・明大との勝点差を3に詰めた。
4位・中央大学は10位・駒澤大学と1-1のドロー決着。また7位の流通経済大学は、前半、国士舘大学に2点を先取されるものの、後半一気に試合の流れを引き寄せ、根本健太、松永颯汰、渡邊乃斗が次々とゴールを重ねて逆転に成功。0-2をひっくり返す大逆転劇で5位に浮上した。そしてともに降格圏に沈む、勝点1差の11位・関東学院大学と最下位・東海大学の直接対決は東海大が関東大を圧倒。序盤の10分に伊藤ジョフリーのアシストで桑山侃士が先制点を決めると、19分と55分に伊藤、そして桑山がダメ押しのペナルティーキックを決めて0-4でフィニッシュ。"裏天王山"は、伊藤の2ゴール1アシストの活躍で東海大が勝利。依然降格圏にはあるものの、最下位を脱するとともに勝点8で並ぶ6位~10位の中位グループを勝点1差の射程圏内に捉えた。
次節・第9節は首位・明治大学と2位・筑波大学が直接対決。勝点3差とはいえ、明大はリーグ序盤に大勝が続いていただけに、得失点差では圧倒的に有利。筑波大が勝利したとしても順位はひっくり返らないだろうが、注目の一戦となることは間違いない。天皇杯1回戦では攻撃力自慢の両チームがともに苦しみ、先制点を挙げた筑波大が勝利し2回戦にコマを進めた。明大が天皇杯のリベンジを果たして無敗記録を伸ばすのか、それとも筑波大が明大の無敗記録を止めて首位に王手をかけるのか。第9節は6月15日(土)に5試合、16日(日)に1試合が開催予定だ。
1部リーグ第8節 全結果・順位表
1部リーグ第8節マッチレポート
東洋大学 0(0-1)1 筑波大学 @味の素フィールド西が丘
首位・明治大学を勝点5差で追う3位の筑波大学は5位の東洋大学と対戦。どちらも決めきれない展開の中、沈滞ムードを吹き飛ばしたのはエースの一撃だった。29分、筑波大は東洋大の攻撃を防ぐと諏訪間幸成(横浜F・マリノス内定)が最終ラインから好パスを配給。ボールを受けた清水大翔が前線にスルーパスを入れると、内野航太郎がこれに反応。フリーで抜け出すとGKの右隅を狙ってシュートを突き刺して筑波大が先制する。筑波大は後半の頭から高山優と田村蒼生、59分には半代将都ら上級生を次々と投入して追加点を狙うが、東洋大のゴールをこじあけることはできず0-1で試合終了。攻めあぐねるシーンもあったものの、筑波大が順調に勝点3を積み上げて首位・明大に勝点3差に迫り2位に順位を上げた。次節はその明大との直接対決となる。
流通経済大学 3(0-2)2 国士舘大学@味の素フィールド西が丘
第2節以来白星のない7位・流通経済大学と、こちらもここ3試合勝利のない8位・国士舘大学。7位と8位の直接対決は劇的な試合展開となった。先手を取ったのは国士大。ギアのかかりきらない国士大に対し優勢に試合を進めると、ロングスローからチャンスを作り、東川続が収めたボールを加藤雅久がつなぎ、最後は本間凜がゴール左上に突き刺す。国士大は前半終了間際の45+3分にも再びスローインからチャンス。跳ね返ったボールを平松直也が頭で前線に押し込むと、バウンドしたボールを東川がコントロールしてゴールに押し込む。国士大が0-2とリードして前半を終えた。2失点を喫した流経大は、ハーフタイムに選手2人を下げて川畑優翔を投入。すると一転、後半は流経大が試合の主導権を握り始める。58分にはショートコーナーから鈴木奎吾が上げたクロスを、出場停止空けの根本健太が頭で合わせて1点を返すと、65分には鈴木のロングパスを受けた松永颯汰がドリブル突破でゴール前へ。ペナルティーエリア内では鮮やかな切り返しで相手DFふたりを置き去りにし、ゴール右にシュートを決めて同点に追いつく。同点から6分後の71分、流経大は松永のコーナーキックを根本が頭で折り返し、最後は渡邊乃斗がヘディングシュートを叩き込んで3点目。流経大が2点のビハインドをひっくり返して逆転に成功した。対する国士大はチャンスらしいチャンスを作ることができず、後半はシュートを1本も打てないままタイムアップ。3-2で逆転勝利を収めた流経大が、5試合ぶりの白星で5位に浮上した。
東京国際大学 0(0-0)0 日本大学 @東京国際大学第1グラウンド
3連勝中と勢いに乗る2位の東京国際大学は、9位の日本大学をホームに迎えて対戦。首位・明治大学との勝点3差を少しでも詰めたい東国大は、昨年度のチーム内得点王・尾崎岳人を4試合ぶりにスタメンに戻して日大ゴールに襲いかかる。しかし日大もGK木村凌也が怪我から復帰し今季初出場。世代別代表のゴールを守った男が日大の最後の砦となり、東国大にゴールを許さない。双方チャンスは作るものの決めきれず無得点のまま試合終了。スコアレスドローの痛み分けとなった。この結果、東国大は筑波大学と勝点で並ばれ、得失点差の関係で3位に後退。首位・明大の連勝がストップした今節のチャンスを活かし切ることができなかった。
駒澤大学 1(0-1)1 中央大学 @ニッパツ三ツ沢球技場
ともにここ2試合勝ちのない4位・中央大学と10位・駒澤大学の試合は早々にスコアが動いた。開始直後の3分、駒大は自陣ゴール前でGKとDFのポジションが重なってしまいボールを処理ミス。そこにすかさず中大の星野創輝が飛び込んでボールをキープすると、無人のゴールにシュートを流し込んだ。思わぬ形で先制点を許した駒大だが、「つまらないミスで失点をしたが、それは本人たちもわかっている。あの場でやれることといえば声を出して修正するだけ」(駒大・秋田浩一監督)との言葉どおり、その後は盛り返して中大に攻め込むが、決めきることができない。中後半も一進一退の攻防戦が続き、どちらもネットを揺らせないまま試合は終盤に突入。すると83分、駒大はロングスローからチャンスを作ると、ゴール前の跳ね返りを松永浩弥が左足で押し込んでゴール。駒大が1点を返し、そのまま1-1で試合は終了した。中大は4位をキープしたが、3位と差が勝点3に弘が得る結果に。中大の宮沢正史監督は「今日は勝点3を持っていかないといけない試合。2ポイントを失った残念な試合だった」としながらも「この勝点1を価値あるものにするためには、次節の桐蔭横浜大学戦で勝点3を取るしかない」とこの引き分けを前向きに捉えた。一方の駒大・秋田監督は「今日はよく頑張って追いついたと思う。ただ順位が下のほうという状況を考えれば勝ちたかった」ときっぱり。「次節も勝ちにこだわっていきたい」とした。
桐蔭横浜大学 1(1-1)1 明治大学 @ニッパツ三ツ沢球技場
開幕から6連勝で首位を快走する明治大学と、2連勝で降格圏から6位まで順位を上げた桐蔭横浜大学。好調どうしの対戦は、序盤からボールがよく動く見どころのある一戦となった。立ち上がりは桐蔭大が積極的な攻めを見せるものの、先制したのは明大だった。10分、明大は中村草太(サンフレッチェ廣島内定)が高い位置でプレスをかけて桐蔭大からボールを奪うと左サイドへ展開。熊取谷一星(東京ヴェルディ内定)が中に入れたボールを、再び中村が受けてペナルティーエリアに切り込み、ゴール右隅を狙う技ありのシュート。ボールはポストに当たるがそのままゴール内に跳ね返り、中村が3試合ぶりのゴールを決める。しかし桐蔭大も粘り強く攻め、21分にはコーナーキックを獲得。池田柚生が入れてキックは誰も触れることができなかったものの、ファーサイドにフリーでいた飯島大地が右足を振り抜きゴール。桐蔭大が同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。「前半は大雑把なゲームになったので修正した」(明大・栗田大輔監督)という後半は明大が怒涛の攻撃で桐蔭大ゴールに迫るが「精度の問題。決めるべきところで決められなかった」(同監督)。結局、両チーム追加点のないまあ1-1で試合終了。明大の連勝は6で止まることとなった。とはいえ、明大の首位の座は揺るがない。次節は2位・筑波大学との直接対決となるが「この間(天皇杯で)負けたからというのではなく、きちっといいゲーム、明大らしいサッカーをして勝点を奪いたい。そのためにはやるべきことをやることが大切」と切り替えた。
関東学院大学 0(0-2)4 東海大学 @関東学院大学金沢八景キャンパスグラウンド
前節の敗戦で最下位に転落した東海大学と、かわって11位に浮上した関東学院大学。ともに降格圏に沈む勝点1差、11位と12位の直接対決は思わぬ点差が開く結果となった。立ち上がりは関東大がボールを支配するも、先制したのは東海大。10分、ゴールキックを伊藤ジョフリーが頭でゴール前にいれると、これを桑山侃士(FC町田ゼルビア内定)が頭で合わせてネットを揺らす。東海大は続く19分、コーナーキックからチャンスを作り中熊岳琉のクロスに伊藤がダイビングヘッドで追加点。あっという間に東海大がリードを広げて前半を終了した。後半に入ると2点のビハインドを負う関東大が攻撃のギアを上げ、前半以上に攻め込む。しかし55分、東海大はフリーキックの流れから、大塚瑶平が入れたクロスを伊藤が頭で合わせて3点目をマーク。「自分と桑山は高さがあるので、今日の試合ではシンプルにクロスを入れて得点というところを意識していた」という伊藤にとって「イメージ通り、狙いどおりの2得点」となった。さらに64分、関東大はハンドの判定でペナルティーキックを献上。これを東海大・桑山がきっちりと決めてダメ押しの4点目を挙げる。終わってみれば0-4と東海大が完勝し、東海大は最下位を脱出。勝点を7にし、7位から10位までの"勝点8"グループを射程圏内に捉えた。一方の関東大は再び最下位に転落。東海大には得失点差でも大きく差をつけられる厳しい結果となった。