『JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦』3部リーグ第14節は、10月4日(土)に全6試合が行われた。
上位対決が相次いだ今節、1ゲーム差内にひしめくあう上位5チームの順位が大きく変動した。まず、首位・城西大学と首位を勝点1差で追う3位・明治学院大学の上位対決は、接戦の末に明学大が終了間際に劇的な逆転勝利。首位と同勝点で並ぶ2位の青山学院大学は、こちらも勝点1差の4位・共栄大学とスコアレスドローに。一方、5位の専修大学は最下位の国際武道大学に4-1と快勝。この結果、明学大が第10節以来、4節ぶりの単独首位に躍り出た。2位には勝点1差の青学大、そして3位には専大が5位から躍進。専大と同勝点の城西大は、得失点差の関係で4位となり首位から大きく後退することとなった。大混戦となった優勝戦線は、首位の明学大から5位の共栄大が勝点2差内に。3位から5位までは同勝点で3チームが並ぶ接戦となっている。
また熱戦が続く残留争いでは、同勝点の9位・中央学院大学と10位・東京経済大学が直接対決。こちらは東経大が3-1で快勝し、順位を9位に上げて降格圏を脱するとともに中院大を勝点3差に引き離した。一方、11位に沈む東京学芸大学は7位の立教大学にウノゼロ勝利。順位は変わらないものの、自動降格圏の12位・国武大との差を勝点8に広げた。
今節最注目のカードといっていいのが、首位の城西大学と3位の明治学院大学の直接対決だ。勝点1差で優勝争いを繰り広げる両チームの対戦は、最後に大どんでん返しのある劇的なものとなった。試合は立ち上がりから、両チーム一進一退の攻防戦に。その均衡が破られたのは前半も終盤にさしかかった40分。コーナーキックからの攻撃の場面で、城西大・坂本海凪太が倒されてペナルティーキックを獲得。これを北条真智が冷静に沈めて城西大が先制点を挙げる。対する明学大も後半序盤の55分、GKのロングキックに村井創哉が反応。左サイドを一気に駆け上がると、すかさずマイナスのパスを大谷悠人に出して好機を演出。大谷の上げたクロスを斎藤陽太が頭で合わせて明学大が同点に追いつく。だが城西大は67分、中盤で激しいプレスをかけて加藤温人がボールを奪取。そのまま持ち上がると、鮮やかなミドルシュートを突き刺して再びリードを奪う。勝てば首位奪還の可能性もある明学大は、その後次々と交代選手をピッチに送り出しては城西大に猛攻を浴びせかける。しかし城西大もゴールを死守し1-2のまま90分が結果。このまま城西大が逃げ切るかと思われた。再びスコアが動いたのはアディショナルタイムに突入した90+1分。明学大は左コーナーキックを獲得すると、大竹駿のキックに途中出場の荒井智士が頭で合わせてゴール。明学大が土壇場で再度同点に追いついた。だが試合はここで終わらなかった。残り時間もわずかとなった90+6分、またもや左コーナーキックを得た明学大は大竹のキックに、今度は佐伯亮太がヘディングシュートを叩き込んで3点目。このプレーを最後に審判の長い笛が鳴り、3-2で明学大が逆転勝利。勝利への執念でセットプレーから2得点を挙げた明学大が、4節ぶりの首位に復帰。城西大は4位と大きく後退することとなった。
もうひとつの上位対決、2位・青山学院大学と4位・共栄大学の試合は、立ち上がりから青学大が優位に試合を進める展開に。共栄大は33分、五木田瑠樹亜が怪我でピッチを退くアクシデントがあったものの、代わりに入った斉藤巧志がチャンスを演出。しかしどちらも決めきれず0-0のまま後半を迎えた。なかなか動かない試合に対し、青学大は55分に大里直也と田口裕真のふたりを同時投入して試合の流れを変えようとするが、膠着状態の試合は動かせない。結局、どちらもゴールを揺らすことなくスコアレスドローで試合終了。勝点1を分け合った。青学大は2位をキープも、首位との勝点差は1に。共栄大は上位チームの結果の影響もあり4位・城西大と同勝点ながら得失点差で5位に後退した。
一方、今節の勝利で躍進したのが5位の専修大学だ。最下位・国際武道大学との試合は序盤の6分、国武大に先制点を奪われる厳しい展開でスタート。国武大は竹本凜のロングスローを頭でつないでチャンスを作ると、最後は佐藤麟斗が蹴り込んで3試合連続となるゴールを決めた。しかし試合は専大が主導権を握り、その5分後の11分には、専大も佐藤漣の左からのクロスに道白優斗が頭を合わせ、こちらも2試合連続ゴールを決めて同点に追いつく。そのまま1-1で折り返した両チームだが、後半は専大の攻撃力が爆発。後半早々の50分、道白の右からのクロスに佐藤漣が合わせるがこちらは国武大GKが弾く。しかしそのこぼれ球を再度佐藤漣が押し込んで追加点。専大が逆転に成功する。その後は専大がほぼ一方的に攻め続ける展開となるが、国武大も粘り強く守りゴールを許さない。それでも85分には、途中交代しばかりの遠藤琉晟が右から仕掛けてボックス内へ。那須奏輔に預けたボールをペナルティーエリア内で受け取り、滑り込みながらもシュートを突き刺して追加点。3-1と国武大を突き放す。止まらない専大は終了間際の90+4分にも、岡田海人のロングパスに反応した仲本隼翔が右サイドを突破。ゴール前に入れたグラウンダーのクロスを佐藤漣が右足で合わせて勝負あり。4得点を挙げた専大が、4-1と逆転勝利を収めた。2連勝の専大はこれで勝点が24に。城西大学、共栄大学とは同勝点ながらも得失点差で上回り3位に浮上した。
リーグ戦再開後未だ勝利のない6位・作新学院大学は、対称的にリーグ再開後は2連勝と勢いに乗る8位・亜細亜大学と対戦。両チームの勝点差はわずか2。亜大が勝てば順位が入れ替わることもあり、立ち上がりから攻撃を仕掛けたのはアウェーの作新大だった。作新大は24分に左コーナーキックを獲得。濵田昂希のキックに高田湊人が頭で合わせて先制点を挙げる。その後も作新大が主導権を握るが追加点はなく0-1で前半を終えた。1点を追う亜大はハーフタイムに小野寺迅を投入。少しずつチャンスシーンを作り始めると70分にはコーナーキックからのこぼれ球を拾った大山比呂がゴール前に浮き球のパス。これを大石翔希が頭で合わせて亜大が試合を振り出しに戻した。同点に追いつかれた作新大は、その直後に3人を一気に交代。坂斉健人、林廉斗、渡部嶺斗をピッチに送り出して流れを変えようとするが、逆に76分に痛恨の失点。亜大は右サイドから攻撃を仕掛けると、山口流輝のクロスをファーサイドの矢崎晟洋が豪快に蹴り込んで追加点。2-1と逆転に成功した亜大が作新大の攻撃をしのぎきって3連勝。勝点を19に伸ばして6位に浮上。作新大は今節も勝利ならず7位に順位を下げた。
勝点15で並ぶ、9位・中央学院大学と10位・東京経済大学の直接対決。試合は開始早々の2分に動いた。ホームの東経大は右サイドでフリーキックを獲得。大沢惇貴のキックを松井一晟が頭で合わせて東経大が先制点を挙げる。東経大は10分過ぎにもゴール前にフリーで抜け出した清水俊希がGKに倒されてペナルティーキックを獲得。これを宮岡拓海が冷静に沈めて東経大が早い時間帯に2点をリードする。一方の中院大は42分、中山葵のパスを受けた大塚勇斗がミドルシュートを突き刺して1点を返し、2-1で後半を迎えた。1点を追う中院大はハーフタイムには橋本拓人を投入。後半の巻き返しを図り、大塚を中心に東経大ゴールに迫るが得点にまでは至らない。逆に59分、東経大は大沢の右コーナーキックを清水が頭で合わせて3点目。中院大を突き放した東経大はその後もゴールを許さず3-1でフィニッシュ。前節に続く連勝で勝点を18に伸ばし9位に順位を上げて降格圏を脱出。7位・作新学院大学、8位・立教大学とも勝点同数となり中位進出の足がかりを作った。敗れた中院大は、再開後は白星がなくついに降格圏の10位に転落となった。
7位の立教大学はホームに11位の東京学芸大学を迎えて対戦。リーグ再開後は勝利のない両チーム。後半戦初勝利を目指しての一戦は、序盤にスコアが動いた。28分、東学大は半田祥真の右コーナーキックを伊藤慶亮が押し込んで先制する。ビハインドを負った立教大は後半、積極的に攻撃を仕掛けて東学大ゴールを狙うが東学大の堅固な守備を崩しきるには至らない。結局、東学大が前半に挙げた1点を最後まで守り切って0-1で勝利。後半戦初白星を挙げるとともに、自動降格圏の最下位・国際武道大学との勝点差を広げ、10位に勝点1差に迫った。
次節、第15節は10月7日(火)に行われる。中2日での開催となるこの3連戦は、どのチームにとっても苦しい戦いとなるが一方で上位進出につながる大きなチャンスだ。第15節では、2位・青山学院大学と3位に浮上した専修大学が激突。ともに首位を勝点2差内に捉えているだけに、この直接対決で勝てば首位に大きく近づく大事な一戦だ。混戦の3部リーグ、優勝戦線、そして残留争いに勝ち抜くためにもこの3連勝がどのチームにとっても"大一番"となる。
※表示スコアはホーム対アウェーのスコアで表示。
3部リーグ第14節 全結果・順位表