『JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦』1部リーグ第15節は10月18日(土)に5試合、19日(日)に1試合が行われた。
今季リーグ戦は、第17節を含めて残り6節となった。首位・筑波大学は9位・東京国際大学を崩しきれずに苦しみながらも、終盤にルーキー・大谷湊斗が決勝点を挙げてウノゼロ勝利。2位・国士舘大学も10位・流通経済大学相手に3点を先取し、田中祉同の2ゴールを含む4-1で快勝。両チームは勝点1差のまま、ともに3ポイントを積み上げて勝点40台に突入した。一方、3位の明治大学は総理大臣杯優勝校の東洋大学に0-2で敗戦。前節の筑波大戦に続いての連敗となったが、明大が連敗を喫するのは2018年以来7年ぶり。また4位の日本体育大学も最下位の慶應義塾大学に敗れて3連敗。この結果、3位・明大以下の優勝の可能性が完全に消滅。優勝は首位・筑波大学と2位・国士舘大学に絞られた。
中位グループでは、5位・日本大学は11位の中央大学とスコアレスドローに。ともに勝点1を積み上げ、日大は4位・日体大まで勝点1差に。一方、7位・東洋大学は総理大臣杯優勝以来となる公式戦の白星を挙げて6位に浮上。8位の東海大学が桐蔭横浜大学に1-4と大勝した結果、東海大学が7位に浮上し6位・東洋大学と勝点20で並んだ。敗れた桐蔭大は勝点1差で6位から8位に後退となった。
残留争いを繰り広げる下位グループは、最下位の慶應義塾大学が4位・日体大に2-1で粘り勝ち。11位・中大も引き分けて勝点1を積み上げたため順位は変わらないものの、中大とは同勝点、10位の流経大は勝点1差に迫った。9位・東国大から12位の慶大までは勝点1差刻みで、自動降格圏の中大、慶大は同勝点と下位グループは僅差の接戦を繰り広げている。
次節、第18節は10月25日(土)に全6試合が行われる。注目は、ともに降格圏に沈む10位・流通経済大学と11位・中央大学の直接対決。勝てば降格圏からの脱出の可能性もある大事な一戦だ。また、後半戦初白星を挙げた6位・東洋大学と、同じ勝点20で並ぶ7位・東海大学の直接対決にも要注目。東海大にとっては、勝てばインカレ出場に向けて大きな一歩となることは間違いない。4月に始まったリーグ戦の残すところあと5試合となった。どのチームも落とせない一戦ばかり。繰り広げられる熱戦を楽しみにしたい。
1部リーグ第17節 全結果・順位表
マッチレポート
7連勝中の首位・筑波大学はアウェーで9位の東京国際大学と対戦。序盤からどちらも攻めあぐねた試合は0-0のまま後半に突入。東国大は後半序盤の56分に古谷柊介と齋藤晴といった中心選手を投入するが、試合の流れを引き寄せることができない。対する筑波大も東国大を攻めきれずに苦戦する。膠着状態の中、ついにスコアが動いたのは終盤の82分。筑波大は右サイドからパスをつないで東国大を崩すと、途中出場の小松悠太がペナルティーエリアに入ったところでDFふたりに囲まれて体勢を崩すが、こぼれたボールを大谷湊斗がキープ。個人技でDFをかわすと右足を振り抜いてゴールネットを揺らす。筑波大はこの1点を守り抜いて0-1で勝利。今季リーグ戦で唯一黒星を喫した東国大に、リベンジを果たした筑波大が8連勝で首位をキープした。
その筑波大を勝点1差で追うのが2位の国士舘大学。前節大量6ゴールを挙げた10位の流通経済大学との試合は、しかし国士大が先にチャンスを掴んだ。37分、国士大はスローインからチャンスを作ると、DFのクリアボールを田中祉同が強烈なボレーシュートで叩き込んで先制。アシストランキングトップの田中が、豪快な一発で先制点を奪う。1点を追う流経大は、ハーフタイムに松永颯汰と戸田昌斗を投入。巻き返しを図るが、逆に後半開始直後の50分、コーナーキックからのこぼれ球を岡英輝が蹴り込んで追加点。さらにその5分後、小西脩斗がハーフウェーライン手前から放ったパスに田中が反応。そのまま一気呵成にゴール前まで駆け上がると左足のシュートをニアに突き刺して3点目を挙げる。この試合の国士大は得点ランキングトップの本間凜を欠いていたものの、田中が鮮烈な2ゴールを決める活躍で流経大を3-0と突き放した。対する流経大も77分、最終ラインからのパスを戸田がつなぎ、松永がドリブルで突破。切り返して清水蒼太朗にパスを入れると、長野内定・清水が左足を振り抜いてゴールネットを揺らす。1点を返した流経大だったが、国士大は終了間際の90+4分にも追加点。村上竜規が厳しいプレスをかけて流経大DFからボールを奪うと、こぼれ球を拾った後藤響がそのままGKの頭上を撃ち抜いてダメ押しの4点目。国士大が4-1で快勝し、14戦負け無しの3連勝を収めた。
前節、首位の筑波大学に敗れた3位・明治大学は、リーグ後半戦未だ白星のない7位・東洋大学と対戦。ピッチに強風が吹く中でキックオフとなった試合は、前半風上に立った明大が積極的に攻撃を仕掛ける展開に。藤森颯太を中心に何度となく東洋大ゴールに迫るものの「チャンスは作れているが、フィニッシュの精度が低かった」(明大・池上寿之監督)。決定的なシーンを決められず、無得点のまま前半を終えた。すると後半は、サイド変わって今度は風上に立った東洋大が逆襲に移る。後半開始早々の49分、東洋大は右コーナーキックを獲得。すると中村琉聖のキックをヘディングでクリアーしようとした明大DFのボールがそのままゴールに突き刺さり、まさかのオウンゴールに。思わぬ形で先制した東洋大だったが、その後も明大のDFの裏を狙って攻撃を展開。66分には富山内定・湯之前匡央を投入して攻勢を強める。76分、東洋大は最終ラインからのパスを湯之前が収めて鍋島暖歩へ。鍋島がゴール前に入れたクロスに、この試合が初スタメンとなるルーキー・鄭志錫が抜け出してシュートを流し込む。「練習の時から(鍋島)暖歩くんがパスやアシストが上手いのはわかっていたので、少しDFから離れる動きを意識していたら、それががっちり噛み合った」(東洋大・鄭)という狙いどおりのゴールで追加点を挙げた。2失点を喫した明大はその後、190センチの長身FW・近野伸大を投入するなどして反撃に備えるが、東洋大が危なげない試合運びでリードを守り0-2でフィニッシュ。東洋大がついに総理大臣杯優勝以来となる、公式戦での勝利を挙げた。東洋大はこの勝利で順位をひとつ上げて6位に復帰。一方、前年度王者の明大は2018年以来となる7年ぶりとなる連敗を喫し、連覇の可能性も消滅。明大・池上監督は「勝つに越したことはないが、負けたとしても明治らしくやれたかどうかが重要。今日は明治らしい試合ができなかったし、それができなかった試合はやはり負けている」とコメント。「明治らしくやらせることができなかった。それがすべて」と"歴史的連敗"を振り返った。
1部残留に"待ったなし"の状態が続く12位・慶應義塾大学。前節は同点に追いついた1分後に失点を喫して勝点を逃したが、4位・日本体育大学をホームに迎えた今節は序盤に先手を取る展開に。21分、波状攻撃を仕掛けた慶大は相手GKの弾いたボールを立石宗悟が蹴り込んで先制点を挙げる。しかし日体大も38分、甲府内定・米陀大洋の左コーナーキックを、ファーサイドの天野悠斗がキープ。ゴール前にクロスを入れると198センチの長身FW・赤井ウェズリー景太が頭で合わせて同点に追いつき、1-1で試合を折り返した。後半は両チームチャンスを作りながらも決めきれず、試合は終盤に突入。このまま引き分けで終わるかと思われたが、84分に慶大が素早いリスタートからチャンスを作る。スローインからDF斎藤大雅を経て角田惠風にボールがわたると、角田はゴール前に狙いすましたロングパスを入れる。これに反応した齋藤真之介が、GKとDFの間で受けそのままシュート。慶大が勝ち越し点を決めてスコアを2-1とし、残り時間を守りきって試合終了。慶大が9試合ぶりの白星を挙げた。この結果、順位は変わらないものの11位・中央大学と勝点で並び、10位・流通経済大学ともの勝点1差に。1部残留に向けて大きな勝点3となった。一方、日体大はこれで下位チーム相手に3連敗。優勝の可能性は消え、5位・日本大学との差も1ポイントに迫った。
6位・桐蔭横浜大学は勝点2差の8位・東海大学と対戦。ともに2連勝中と好調なチーム同士の対戦は、早い時間帯からスコアが動く展開となった。まずは11分、東海大は大戸太陽が得意のロングスローをゴール前に放つと、ゴール前の混戦の中でこぼれたボールを栃木SC内定・堤陽輝がシュート。これはポストを直撃するものの、跳ね返りを桑子流空が押し込んで東海大が先制点を挙げる。東海大は21分にも素早いパス展開でチャンスを作ると、渡邊翼に抜け出した原田天がシュートを突き刺して追加点。さらに30分、東海大はペナルティーエリアに抜け出した玉田滉喜が倒されてペナルティーキックを獲得。これを鳥取内定・星景虎が冷静に決め、東海大が前半だけで3点をリードして試合を折り返した。後半に入っても東海大の勢いは止まらない。後半開始早々の47分、東海大はスローインからチャンスを作ると、前半終了間際に投入された木村翔がボールをキープ。渡邊に預けたボールを受けると、右足を振り抜いて桐蔭大を0-4と突き放した。対する桐蔭大もその4分後、オーバーラップ横浜F・M内定の関富貫太がゴール前に入れたグラウンダーのクロスを、浦和内定・肥田野蓮治が倒れ込みながらも押し込んで1点を返す。しかし、その後は両チームとも決定機を活かせず、追加点のないまま1-4で試合終了。4点を先取した東海大が3連勝で7位に浮上。6位・東洋大学と勝点20で並んだ。
前日の試合で慶應義塾大学が勝利したことにより、暫定的に最下位に後退した中央大学。5位・日本大学との"負けられない"試合は、両チーム決定機を決めきれず0-0のまま後半へ。攻めあぐねる展開に対し、先に動いたのは日大だった。60分には突破力のある大久保帆人と東京V内定の平尾勇人を投入して攻勢を強める。しかし中大の粘り強い守備を崩しきれない。中大も68分には長身ルーキーの横山俊介、75分には得点力のある北浜琉星をピッチに送り出すが、チャンスは作るもゴールネットは揺らせず。結局スコアレスのまま90分が終了。スコアレスドローで勝点1を積み重ねた。中大は最下位こそ免れたものの、12位・慶大と勝点15で並ぶことに。次節は、勝点1差の10位・流通経済大学との"大一番"となる。
※表示スコアはホーム対アウェーのスコアで表示。