『JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦』1部リーグ第18節は10月25日(土)に全6試合が行われた。
9月のリーグ戦再開以来、勝点1差での接戦を繰り広げていた優勝戦線がついに動いた。
首位・筑波大学は5位・日本大学に先制されながらも直後に3点を奪取。1点を返されたが逃げ切り3-2で勝利。7連勝で首位を堅持した。一方、筑波大を勝点1差で追う2位の国士舘大学は4位の日本体育大学に2失点。その後2点を取り返したが逆転までは至らず2-2のドロー決着。結果、首位との差が1ゲーム差に開くこととなった。
3位・明治大学、4位・日本体育大学、5位・日本大学の順位に変更はなかったが、6位以下には大きな変動があった。まず、勝点20で並ぶ6位・東洋大学と7位・東海大学の直接対決で、東海大が1-0で勝利したため順位が入れ替わりに。また8位の桐蔭横浜大学が12位・慶應義塾大学に逆転勝利を収めたことで東洋大を追い越し、6位・東海大、7位・桐蔭大、8位・東洋大という順位に。東洋大は総理大臣杯に優勝しインカレ出場が確定しているため、今後東洋大が9位以下に転落した場合、インカレ出場資格の獲得は7位のチームまでということになる。
また勝点1差の10位・流通経済大学と11位・中央大学の試合は、流経大が追いつきながらも中大が再び勝ち越し2-1で勝利。9位・東京国際大学が3位・明治大学に0-2で敗れていたこともあり、中大はこの勝利で9位に浮上。降格圏外に逃れるとともに、8位・東洋大まで勝点2差に近づいた。敗れた東国大は10位の降格圏に、また流経大は11位の自動降格圏に後退。しかし、9位・中大から12位・慶大までは勝点差1刻みと、依然接戦が続いている。
次節は10月29日(水)の平日ナイター開催となる。第19節では10連勝を狙う首位・筑波大と、降格圏まで1ゲーム差となり"後が無い"東洋大が対戦。また首位と勝点3差に開いた2位・国士大は4連勝で勢いに乗る6位・東海大と激突する。一方、下位グループでは勝点1差の11位・流経大と12位・慶大の残留争いに注目。勝てば降格圏から脱出の可能性もある、まさに"裏天王山"。なかでも首位・筑波大、2位・国士大との対戦を残している流経大にとっては、1部残留のためには勝利が必須の試合となるだろう。
1部リーグ第18節 全結果・順位表
マッチレポート
6連勝中の首位・筑波大学は2試合連続ドローの5位・日本大学と対戦。試合は立ち上がりからホームの日大が積極的に攻撃を仕掛けてチャンスを作る。28分、日大はショートコーナーからボールをつなぎ、石川晴大が頭でそらしたボールを齊藤航汰が合わせて先制。しかしその4分後、徐々に攻撃のペースを上げてきた筑波大は徳永涼がペナルティーエリアの外からミドルシュートを叩き込んで試合を振り出しに戻した。1-1のまま迎えた後半は、両チーム決定機を作りながらもゴールを決められず膠着状態に。その均衡が破られたのは終盤に差し掛かった75分。筑波大は途中出場・小松悠太のスルーパスに抜け出した大谷湊斗が、DFのマークをかわしゴール右隅にシュート。大谷の2試合連続となるゴールが決まり、筑波大が逆転に成功する。筑波大は80分にも、ペナルティーエリア内でこぼれ球を拾った清水大翔が豪快に蹴り込んで3点目。1-3と日大を突き放した。日大もその1分後に途中出場・中川粋のクロスがオウンゴールを誘い、2-3と1点差に迫るがあと1点が遠く2-3のまま試合終了。筑波大が逆転勝利で7連勝を飾り、首位の座を堅持した。
首位を勝点1差で追う2位・国士舘大学と、3連敗中の4位・日本体育大学の試合は、どちらも攻めあぐね無得点のまま後半へ。スコアが動いたのは60分。日体大は国士大GKからのキックを途中でカットするとヘディングでボールをつなぎ篠田大輝から左サイドの松山北斗へ展開。甲府内定・松山が逆サイドに上げたクロスを橋本マリーク識史が落とし、最後は赤井ウェズリー景太が右足で押し込んで日体大が先制する。ビハインドを負った国士大は攻勢を強めるが、一瞬の隙をつかれ放たれたシュートがハンドを誘いペナルティーキックを献上。68分、日体大はこのチャンスに篠田がきっちりと決めて0-2とリードを広げた。だが国士大はその後も攻め続け、GKからのカウンターに抜け出した小西脩斗がペナルティーエリア内で倒されてペナルティーキックを獲得。これを、前節2ゴールを挙げた田中祉同が冷静に沈めて国士大が1点を返す。勢いに乗る国士大は何度となく日体大ゴールに迫り、81分には交代直後の須藤太一が右サイドのエンドラインギリギリから上げたクロスを小西が右足ボレー。GKの頭上を越え、枠を外れるかと思われたシュートは大きな弧を描いて落ちゴールイン。国士大が2-2と試合を振り出しに戻した。だがその後は日体大も巻き返し、一進一退のままタイムアップ。2-2で引き分け、日体大が4試合ぶりとなる勝点を獲得した。一方、国士大も勝点1を重ねたものの首位・筑波大が勝利したため、勝点差は3ポイントに。まだ直接対決を残しているとはいえ、優勝に黄信号が灯る状態となった。
前節、7年ぶりの連敗を喫した3位・明治大学は3連敗中で9位に沈む東京国際大学と対戦。前半は両チームなかなかシュートまで持ち込めず、両チーム無得点のまま試合を折り返す。だが後半に入ると明大が少しずつ攻勢を強め、序盤の53分にはスローインを起点に鹿島内定・林晴己がゴール前にクロス。これはGKがキャッチしたかと思われたが、こぼれたボールを真鍋隼虎が拾い、そのまま蹴り込んで明大が先制点を挙げる。このまま畳みかけたい明大は真鍋を中心に何度となく東国大ゴールに攻め込むが、どうしてもゴールを割ることができない。それでも粘り強く攻撃を仕掛けると終了間際の89分、三品直哉の右コーナーキックを小澤晴樹が頭で合わせて追加点。試合は2-0のまま終了し、明大がクリーンシートで3試合ぶりの勝利。4位・日本体育大学との勝点差を3ポイントに広げるとともに、インカレ(2025年度 第74回 全日本大学サッカー選手権大会)出場に王手を掛けた。明大は次節の日本大学戦に勝利すればインカレ出場権を獲得となる。また敗れた東国大はこれで4連敗。11位の中央大学が勝利したため、9位から10位へ。降格圏に転落となった。
前節、総理大臣杯決勝以来となる白星を挙げた6位・東洋大学は同勝点で並ぶ7位・東海大学との直接対決。前半はどちらもチャンスを作りながらもゴールまで至らず0-0のまま前半が終了した。スコアが動いたのは後半序盤の52分。ホームの東海大は鳥取内定・星景虎が左サイドで突破を図りフリーキックを獲得する。キッカーは原田天。ゴール前に入れたキックを今治内定・丸山大和が頭で合わせて東海大が先制する。対する東洋大は宮本新や得点力のあるルーキー・香取武をピッチに送り出すが、堅固な東海大の守備を前にシュートまでもちこめず1-0のまま試合終了。東海大が連勝を4に伸ばした。また同勝点の直接対決を東海大が制したことで順位が入れ替わり、東海大は6位に浮上。東洋大は桐蔭横浜大学の結果により順位をふたつ下げて8位に後退した。
1部残留争いの大一番ともいえるのが、勝点1差の10位・流通経済大学と11位・中央大学の直接対決だ。中大ホームで行われた試合は、立ち上がりから流経大がアグレッシブに攻撃を仕掛けて中大ゴールに迫る。しかし中大はGK岩瀬陽の好守を軸に流経大の攻撃をしのぐと徐々に反撃を開始。27分、中盤からボールを運んだ古川大洋が右サイドにボールを展開。これを受けた牧嶋波亜斗がゴール前にグラウンダーのクロスを入れると、今季初スタメン・内川遼が逆サイドから駆け上がってシュートを突き刺す。1部残留のために負けるわけにはいかない流経大もボールを保持しながらチャンスをうかがうが、なかなかシュートまで持ち込めない。39分には主将の渋谷諒太を下げて細⾕伶⼤を投入する"荒療治"に出ると、後半は再び流経大ペースに。しばらくは一進一退の攻防戦が続いたものの、72分に中大がゴール前でクリアしたボールを流経大・鈴木奎吾がゴール前へダイレクトパス。これを冷静に収めた清水蒼太朗が豪快に右足を振り抜いてゴールネットを揺らす。同点に追いつかた中大は、76分に新鉄兵とルーキー・浅田琉偉のふたりを同時投入。するとこの交代起用がズバリ的中。81分、中大は倉上忍のアーリークロスに内川が反応。流経大DFと競り合いながらも出したパスを途中出場の浅田がキープ。そのままドリブルでDFをかわすと、豪快なシュートをニアに叩き込む。これがデビュー戦となる浅田の大学サッカー初ゴールで中大が再び勝ち越しに成功。そのままリードを守り切って2-1で勝利した。流経大ホームの試合でも勝利していた中大は、今季初のシーズンダブルを達成。9位・東京国際大学が敗れたこともあり、順位は11位から9位にジャンプアップした。結果、勝点差は僅差ながらも降格圏からの脱出に成功。一方、直接対決に敗れた流経大は自動降格圏の11位に後退。次節は、最下位の慶應義塾大学との直接対決と大一番の試合が続く。
8位・桐蔭横浜大学は、前節に9試合ぶりの白星を挙げ、連勝で最下位から抜け出したい慶應義塾大学と対戦。試合は、前節の勢いのまま慶大が積極的な攻撃を仕掛ける展開に。30分過ぎには連続のコーナーキックで桐蔭大ゴールを脅かすと、"3度目の正直"で角田惠風がゴール前に蹴り入れたキックを斎藤大雅が右足で合わせて先制点を挙げる。その後もたびたびセットプレーからチャンスを掴む慶大だったが、追加点は奪えず0-1のまま前半を終了する。後半は早い時間帯にスコアが動いた。47分、桐蔭大が左コーナーキックを獲得。池田柚生からのキックにゴール前は混戦となるが、GKが弾いたボールを田島慎之佑がすかさず蹴り込んでゴール。後半開始早々に桐蔭大が試合を振り出しに戻した。しかしその後は両チーム決定機を決めきれず、1-1のまま終盤に突入。すると80分、岡崎寅太郎がペナルティーエリア内で倒されて桐蔭大がペナルティーキックを獲得。83分、このチャンスを岡崎自身が決めて桐蔭大が逆転に成功する。1点を追う立場となった慶大だが、終了間際の89分に斎藤大雅が2枚目の警告を受け痛恨のレッド。数的優位に立った桐蔭大は慶大ゴールを攻め立てると、アディショナルタイムの90+4分、岡崎がDFを背負いながらも豪快なシュートを突き刺してこの試合2点目となるゴールを決める。終盤に試合を畳みかけた桐蔭大が3-1で勝利し、順位をひとつ上げて7位に。インカレ出場に向けて大きな1勝を挙げた。
※表示スコアはホーム対アウェーのスコアで表示。