『JR東日本カップ2024 第98回関東大学サッカーリーグ戦』【1部リーグ】第12節は、7月27日(土)に3試合、28日(日)に1試合が行われた。落雷のため、27日(土)に行われる予定だった『明治大学vs桐蔭横浜大学』『流通経済大学vs東海大学』は落雷の影響で中止・中断に。明大は2節連続で試合が中止となった。
前節、暫定ながら首位の座にたった筑波大学は3位・中央大学との上位対決に勝利し、首位を堅持。前半はエース・内野航太郎が厳しいマークにあい、ボールを保持しながらも攻めあぐねた筑波大。しかし後半の64分、田村蒼生が自ら獲得したペナルティーキックを決めて先制すると、80分にもコーナーキックの流れから徳永涼が決めて追加点。最後まで中大にゴールを許さず0-2で完勝した。
4位の東京国際大学は、髙橋剣士朗のゴールなどで8位・国士舘大学を0-2で下して5試合ぶりの勝利を収めた。3位・中大が敗れたため順位が入れ替わり、東国大が3位となり中大は4位に後退した。また、6位・日本大学と12位・関東学院大学の試合は日大がペナルティーキックで先制するものの、その2分後に関東大に追いつかれてドロー決着。ともに順位の変動はなかった。
唯一、28日(日)に行われた9位・東洋大学と11位・駒澤大学の試合は、東洋大が開始直後の3分に挙げた徳永崇人のゴールを守りきって0-1で勝利。東洋大は7位に順位を上げた。
前節に続き2試合が中止となった第12節。消化試合数にも差がつき、明大は天皇杯での延期分と合わせて3試合が未消化となっている。その他も多くのチームが未消化試合を抱え、現時点で全試合を消化しているのは、東国大と駒大、関東大の3チームのみ。はたしてこの未消化試合が今後の展開にどう影響するのか。
1部リーグ第12節 全結果・順位表
中央大学 0(0-0)2 筑波大学 @中央大学多摩キャンパスサッカー場
首位の筑波大学は3位の中央大学と対戦。3試合未消化の2位・明治大学を挟んでの上位対決は立ち上がりから筑波大が主導権を握り、中大のゴールを何度となく脅かす。しかし中大はFW内野航太郎へのマークを徹底して筑波大の得点源を封じると、集中した守備で筑波大の波状攻撃を防ぎ切る。「我慢強く戦って、粘り強くワンチャンスで点を狙う」(中大・宮沢正史監督)という前半の戦い方を後半も踏襲した中大だったが、「我慢しきれなかった」。64分、前半から再三左サイドを突破してチャンスを作ってきた筑波大・田村蒼生が左サイドからペナルティーエリアにカットイン。これを止めようとして中大DFがファウルをおかし、筑波大がペナルティーキックを獲得する。これを田村自身がゴール右隅に決めて筑波大が先制。中大はその直後に杉山耀建、古川大洋の2人をピッチに投入して流れを引き寄せようとするが、80分には筑波大がコーナーキックを獲得。徳永涼が合わせたボールは中大の選手にあたってゴールイン。筑波大が追加点を挙げ、0-2で試合終了。首位・筑波大が勝点を23に伸ばして3試合未消化となった2位・明大の追撃への対応を整えた。
日本大学 1(0-0)1 関東学院大学 @日本大学アスレティックパーク稲城 サッカー場
連勝を狙う6位・日本大学と前節は0-4の完敗を喫した12位・関東学院大学の試合は、両チーム慎重な滑り出しからともに目立った動きを作れず、前半は0-0で終了。スコアが動いたのは58分。日大・石川晴大が右から入れたクロスが関東大DFの手に当たり、ハンドの判定で日大がペナルティーキックを獲得。これを熊倉弘達が冷静に沈めて日大が先制点を挙げる。だが、関東大も60分、後半頭から出場の川口達也のコーナーキックに黒澤光成が頭で合わせて同点に。先制からわずか2分後に関東大が追いつき、試合を振り出しに戻した。その後は両チーム、立て続けの選手交代で流れを変えようとするが、どちらも決定機を決められず1-1のままタイムアップ。勝点1を分け合った結果、双方順位の変動はなかった。
国士舘大学 0(0-0)2 東京国際大学 @国士舘大学楓の杜キャンパスサッカー場
ここ4節ほど白星のない4位・東京国際大学は前節の試合が落雷のため延期となった8位・国士舘大学と対戦。両チーム、決定機を決めきれずに無得点のまま迎えた後半、先制点を挙げたのは東国大だった。56分、東国大は相手のクリアボールを拾うと、依田籟木がハーフウェーライン近くから左サイドにボールを展開。これを受けた中村拓夢がDFとの1対1を制してクロスを入れると、髙橋剣士朗が頭で合わせる。先制した東国大はこの後試合を優位に進め、82分にはコーナーキックから国士大のオウンゴールを誘発して追加点。0-2と国士大を突き放し、そのまま90分を終了。5試合ぶりの白星を挙げるとともに、3節ぶりとなる3位に復帰した。敗れた国士大は順位をひとつ落として9位に。降格圏のチームとは勝点差1と、厳しい状況となった。
駒澤大学 0(0-1)1 東洋大学 @駒澤大学玉川キャンパス
前節は落雷のため試合が中断となった9位・東洋大学と、惜敗が続く11位・駒澤大学。同じ勝点11同士の戦いは、開始直後にスコアが動いた。3分、駒大は東洋大・湯之前匡央のコーナーキックをゴール前でクリア。しかし、そのボールを徳永崇人が頭でお仕込み東洋大が先制する。1点を追う駒大は崎山友太を中心に積極的に攻撃を仕掛けるが、なかなかゴールに結びつかない。後半に入ると早いタイミングで積歩門、髙橋修斗らを投入するが、最後まで東洋大ゴールを割ることなく試合終了。開始直後の先制点を守りきった東洋大が今季初の完封勝利を飾り、7位に順位を上げた。
7月27日(土)に落雷のため、キックオフ前に中止となった第12節の「流通経済大学vs東海大学」は、8月18日(日)に延期試合として行われた。
1部リーグ第12節 全結果・順位表(延期分)
流通経済大学 1(1-0)1 東海大学 @RKUフットボールフィールド
勝点14で並ぶ8位・東海大学と9位・流通経済大学の直接対決。この試合は、7月27日(土)に前半14分まで実施されたが(スコア0-0)落雷のため中止となり、8月17日(土)に90分間の再試合として実施された。
同勝点の対戦とあって、試合は立ち上がりから拮抗した展開に。そんな中、先手を取ったのは流経大。29分、松永颯汰のスルーパスに川畑優翔が前線に抜け出すと、ペナルティーエリア内ですかさずマイナスのパス。これをゴール前まで上がっていた大氏凛州がDFをかわしながらゴール右上に突き刺す。大氏の2試合連続ゴールで流経大が先制し、1-0で試合を折り返した。
しかし前半終盤に近づくにつれ雨足が強くなり、ハーフタイムには激しい雷雨が会場を襲う。結果、約2時間弱の中断時間を経て後半がスタートすることとなった。後半も一進一退の攻防戦となり、ともにスコアを動かせないまま試合はアディショナルタイムに突入。このまま流経大が先制点を守りきって勝利かと思われた90+4分、東海大が動く。東海大は中盤で流経大のボールを奪うと、相川陽葵がゴール前にクロスを入れる。これを伊藤ジョフリーが頭で合わせると、ワンバウンドしたボールがそのままゴールに吸い込まれて1-1に。東海大が劇的な同点弾を決め、試合は1-1でタイムアップ。中断時間も含め約4時間にわたる熱戦は、両チーム痛み分けとなった。
7月27日(土)に落雷のため中止となった第12節の「明治大学vs桐蔭横浜大学」は、9月25日(水)に90分間の再試合として行われた。
1部リーグ第12節 全結果・順位表(9/25延期分)
明治大学 1(1-1)1 桐蔭横浜大学 @明治大学八幡山グラウンド
2位の明治大学はこの試合勝てば筑波大学から首位を奪還。得失点差でも大きく上回るため、引き分けでも首位に復帰できる。対する9位の桐蔭横浜大学は自動降格圏との勝点差が1と厳しい状況だ。
どちらにとっても負けられない試合だったが、立ち上がりから積極的にボールを保持し、攻撃を仕掛けたのは桐蔭大だった。しかし桐蔭大も決定機を作るまでは至らず10分過ぎからは明大が反撃を開始。26分、高足善からのパスを受けた中村草太がペナルティーエリアに侵入。早く強いグラウンダーのパスをマイナスに入れると、猛烈な勢いで上がってきた林晴己が右足で合わせる。しかしシュートは桐蔭大GK・西澤翼がブロック。だが弾いたボールを林が倒れ込みながらも押し込んで明大が先制する。しかし桐蔭大もすぐに切り替えて攻撃を展開。6分後の32分には関富貫太、永井大士とつなぎ、パスを受けた落合遥斗が相手DFを背負いながらも左足のシュートを決めて同点に追いつく。
1-1で迎えた後半、明大は稲垣篤志、木内達也を下げて内田陽介と常盤亨太を投入。明大・栗田大輔監督は2人を投入して「ミラーゲームにして、1対1に全部勝ってそこで押し込めと伝えた」という。風上ということもあり、勢いを取り戻したかのように思えた明大だったが「最後の精度やラストプレーの場所、人の繋がりとか。そういったところの躍動感がない」(同監督)。先週末の試合では3失点を喫している桐蔭大は「簡単に裏を取られてしまった」(桐蔭大・安武亨監督)との反省から3バックからの粘り強い守備で明大の攻撃をブロック。後半は明大が押し込む展開とはなったものの、桐蔭大の守備を破ることはできず1-1で試合終了。ともに勝点1を積み上げるに留まった。
桐蔭大・安武監督は「みんなが体を張って組織的に守ってくれた。前半、左サイドが押し込まれるシーンもあったが、後半はしっかり左サイドが前に出ることができた。いいシーンもあったし、上位チーム相手に勝点1を取れたというのは素晴らしいことだと思う」としながらも「あわよくば勝ちたいと思っていたが、見ている人の中で明治大が非常に強かった、という印象で終わってしまったのが非常に悔しい」との言葉も。順位は9位と変わらないながらも、下位との勝点差を着実に広げた。
一方、得失点差で筑波大を上回り待望の首位奪還を果たした明大だが、栗田監督は「非常に残念な首位奪還」とバッサリ。「今日の目的は首位を取ることと言っていたが、勝点1での首位は想定していなかった。他の大学からしたら贅沢かもしれないが、ひとつひとつのプレーに気持ちが乗っていないし躍動感がない。見ている側に何にも伝わらないゲームだった、という印象が強い」と厳しい言葉が続く。中村草太主将も「今シーズンを振り返ると、大事な試合でことごとく勝てていない。すごく悔いが残る試合」と顔を曇らせた。
首位を奪還したとはいえ、2位・筑波大との勝点はともに32と同数。厳しい展開に主将の中村は「ここから後はひとつも試合を落とすことはできない。筑波大とも一騎打ちになると感じているので、あとはどう自分たちのサッカーをやり続けていけるか。明治が大事にしているサッカー、ベースのところは外さずに、ブラッシュアップして進化していきたい」と前を向いた。