2021年関東大学サッカーリーグ戦1部参入プレーオフ

拓殖大学(1部10位)

東京学芸大学(2部3位)

今季の歩み
拓殖大学(1部リーグ10位)

 今季、11年ぶりとなる1部リーグ復帰をはたした拓殖大学。

 昨季は前線から激しいプレッシャーをかけると同時に、ゲーゲンプレスでボールを奪取して試合を支配。ボールを大事に繋ぎながらも積極的な攻撃で2部リーグ2位という成績を収めた。

 だが、11年ぶりとなる1部リーグの舞台は「他チームに対して、ゴール前での迫力不足」(拓大・玉井朗監督)を感じさせることも。「やれているかな、と思っていいても、結果がついてこない」という玉井監督の言葉どおり、なかなか勝ち切ることができず、開幕からの3連敗で瞬く間に最下位に沈むこととなった。それでも、第4節で桐蔭横浜大学相手に今季初勝利を挙げると一気に9位に浮上。その後、再び2連敗で最下位に後退するが、第8節、第9節、そして延期分の第6節という6月上旬の3連戦では、1勝2分で3戦負けなしと奮闘。再び9位につけた。しかし、例年にない接戦、そして新型コロナウイルス感染症の影響による延期試合で、順位は日々変動し、前期終了時の段階で勝点8しか積み上げられなかった拓大は、最下位でリーグを折り返す結果となった。

 後期も厳しい試合は続いた。しかし下級生たちが台頭し、戦力の底上げがなされた後半は「もどかしい試合が続いた」(玉井監督)という前期より激しい追い上げを見せるようになった。なかでも9月22日に行われた延期試合第14節・順天堂大学戦と、その3日後に行われた第17節の桐蔭大戦では、今季初の2連勝。その後は2連敗を喫するものの、リーグ戦終盤の第20節・立正大学戦と第21節・筑波大学戦で2連勝。土壇場のこの2連勝が、拓大にとって大きなターニングポイントとなったことは間違いない。

 第21節を終えた時点で、拓大には延期分の第15節・早稲田大学戦と最終節・慶應義塾大学戦の2試合が残っていた。大混戦となった今季の1部リーグは、この時点でなお勝点5差内に6チームがひしめきあう状況。勝点23の拓大は11位の自動降格圏内にあったものの、残り試合で2連勝すればインカレ出場も狙える位置にいた。

 しかし延期分の第15節・早大戦では早大の硬い守備を破ることができず、カウンターから失点を重ね0-2で敗れてしまう。この敗戦で拓大は最下位に沈む結果に。だが、最終節の結果次第では残留の望みをつなげられる状態でもあった。順大、立正大がともに勝点25、慶大が勝点24で、最終節はその慶大との直接対決。この試合で拓大が慶大に勝ち、順大、立正大が負ければ拓大が9位となり、降格圏から完全に脱することができる。もちろん、対戦相手の慶大も条件は同じ。勝てば自動降格を免れ、負ければその時点で自動降格。ともに負けることができない、緊張感に包まれた試合は、序盤から拓大が積極的な攻撃を展開。前半序盤の14分には、19番・関根大輝が慶大のボールを奪取。パスを受けた16番・浅倉廉が冷静にシュートを決めて先制点を挙げる。後半も主導権を握った拓大は、72分にチーム内得点王、9番・山中麗央がドリブルでゴール前までボールを運び、そのままシュート。貴重な追加点を決めた。その直後に慶大に1点を許すものの、最後までリードを守りきり2-1でタイムアップ。他会場で立正大が敗れたため、最終的な順位は10位となり、自動降格を免れた。

 リーグを終えての最終成績は、8勝2分12敗の勝点26。11年前は前期後期それぞれで1勝ずつしか挙げられず、勝点7で1部リーグを退いたが、2度目の1部挑戦となる今季は実に3倍以上の勝点を積み重ねることができた。最下位に沈む期間も長かったが、一方で1部リーグで初の連勝を収めるなどのポジティブな要素も。「運が転がりこんできた」(玉井監督)とはいうものの、混戦となった残留争いで最後の最後に1部参入プレーオフの切符をつかみとった自信が、どう影響するのか。「非常に勉強させてもらった」という1年を経て、1部参入プレーオフがその総仕上げとなる。

拓殖大学 リーグ戦結果と順位の変遷

対戦相手 スコア 開催日 順位
1 早稲田大 0●1 4月3日 10位
2 明治大 1●2 4月11日 12位
3 駒澤大 2●3 4月25日 12位
4 桐蔭横浜大 2◯0 4月28日 9位
5 順天堂大 2●3 5月1日 10位
7 立正大 0●2 5月30日 12位
8 法政大 0△0 6月5日 12位
9 筑波大 3〇1 6月13日 10位
6 慶應義塾大 2△2 6月16日 9位
10 流通経済大 0●3 7月4日 12位
12 法政大 5〇2 8月1日 10位
11 国士館大 0●4 9月8日 12位
13 明治大 0●1 9月15日 12位
14 順天堂大 1〇0 9月22日 11位
17 桐蔭横浜大 3〇2 9月25日 10位
18 駒澤大 2●6 10月2日 11位
19 国士館大 0●2 10月9日 12位
16 流通経済大 1●4 10月13日 12位
20 立正大 2〇1 10月17日 11位
21 筑波大 1〇0 10月23日 11位
15 早稲田大 0●2 10月27日 12位
22 慶應義塾大 2〇1 10月30日 10位
※延期日程があるため、節順ではなく開催日順に結果・順位を表示しています。

今季の歩み
東京学芸大学(2部リーグ3位)

 2021年度は、東京学芸大学にとって躍進の年となった。

 一昨年の2019年度には、関東2部リーグの最下位に沈み、39年ぶりに東京都リーグへと降格。昨年度は現4年生を中心に、苦しみながらも東京都リーグ、関東大会、そして昇格決定戦を戦い抜いた。1年での関東リーグ復帰を成し遂げた今年度は、1年次からチームの主力として活躍してきた現4年生の、集大成として2つの目標を掲げて臨んだ。すなわち、2部リーグ優勝・1部リーグ昇格だ。

 結果的に、今季は2部リーグで第3位(11勝3分8敗・勝点36)、『「アミノバイタル®」カップ』では第3位となり、13大会ぶりの総理大臣杯出場を果たすなど、多くの結果を残した。しかしリーグ戦においては、11勝のうち9試合が1点差での勝利であることからもわかるように、その道のりは決して平坦なものではなかった。

 初戦では、昨年度は1部リーグ所属の中央大学に関東リーグの厳しさを痛感させられる敗戦を喫したが、その後は2連勝。3位に浮上するも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて活動停止を余儀なくされた。活動停止は2週間で明けたが、再開後は黒星スタートに。それでも第5節延期分の試合では、勝点差3で2位につけていた東洋大学に9番・後藤健太、10番・鈴木魁人、7番・住田将が後半3ゴールを挙げて逆転に成功。4位に浮上し、一気に上位争いに食い込んだ。結果的には前期リーグを2位(6勝2分3敗・勝点20)、十分に自動昇格が望める順位で折り返した。

 後期リーグも、開幕戦こそ落としたものの、続く試合は2連勝。他大学の延期試合の関係で、一時は首位に立つなど、優勝も視野に入れることのできる好成績となった。

 しかし、13年ぶりの出場となった総理大臣杯が終了して後期リーグが再開すると、同大会準優勝の東洋大に0-5と大敗。続く関東学院大学戦でも数多くのチャンスを決めきれず、手痛い2連敗を喫し、順位も4位に後退した。

 その後は第17節の立教大学戦、第18節・日本大学戦をどちらも1点差で勝ちきり、3位をキープ。第19節では首位・東京国際大学に1-1と引き分けたものの、3位を維持し、1部リーグ自動昇格の2位も射程圏内に捉えていた。

 だが続く第20節、第21節では2連敗を喫し、順位は5位まで後退。ここぞという試合で勝負強さが発揮できず、2位内の自動昇格の望みも潰えた。1部リーグ参入プレーオフ進出に最後の望みをかけて臨んだ最終節の対戦相手は4位の中央大学。3位に入るためには、この試合での勝利は絶対条件。なおかつ3位の日本体育大学が敗れ、6位の関学大が延期試合を含めた残り2戦で勝利しない、という厳しい状況だった。

 久しぶりの有観客試合で迎えた最終節。対戦相手の中大も、勝てば3位の可能性があるだけに、試合は激しいゴールの奪い合いとなった。序盤に幸先よく先制した東学大だったが、すぐさま同点に追いつかれ1-1で前半終える。後半は一進一退の攻防が続き、スコアが動いたのは終盤の80分。コーナーキックのこぼれ球を、途中出場の8番・佐藤哲が押し込み勝ち越しに成功。他会場では日体大、関学大ともにリードされた状態で、このまま終われば東学大が3位に滑り込む。しかし、引き分け以上で3位となる中大も諦めず、89分には再び同点に追いつかれてしまう。この時点で終了すれば中大が3位に。参入戦への切符をかけ、両チームが白熱した展開を繰り広げる中、6番・荒川滉貴が大怪我を乗り越え2年ぶりに公式戦の舞台に戻ってきた。すると90+4分、この6番・荒川のアシストに、8番・佐藤がこの日2点目となるゴールをねじ込む。これが決勝点となり3-2で試合は終了。東学大が3位となり、1部参入プレーオフへの切符を掴んだ。

 今季を振り返ると、僅差の試合をものにする一方で「あっさり失点する試合もあり、少々安定感に欠いた印象」(東学大・星貴洋)。だが、混戦となった今季のリーグ戦では、どのチームも安定した力を出しきれなかったというのが実状だ。大一番の試合で、いかに粘り強く戦えるか。最終節の劇的な勝利で参入プレーオフへの進出を決めた東学大は、正念場といえる参入戦でその強さを見せつけることができるか。

東京学芸大学 リーグ戦結果と順位の変遷

対戦相手 スコア 開催日 順位
1 中央大 0●1 4月4日 11位
2 専修大 2◯0 4月10日 4位
3 日本体育大 2◯1 4月24日 3位
6 東京国際大 0●3 5月15日 8位
4 関東学院大 0●3 5月23日 9位
7 神奈川大 1◯0 5月30日 6位
8 立教大 0△0 6月6日 7位
9 産業能率大 2◯1 6月12日 6位
5 東洋大 3◯1 6月16日 4位
10 東海大 2◯1 6月20日 3位
11 日本大 1△1 6月27日 2位
12 専修大 0●1 7月31日 5位
13 神奈川大 1◯0 8月8日 3位
14 東海大 1◯0 8月14日 1位
15 東洋大 0●5 9月12日 2位
16 関東学院大 1●2 9月18日 4位
17 立教大 1◯0 9月26日 3位
18 日本大 2◯1 10月3日 3位
19 東京国際大 1△1 10月10日 3位
20 産業能率大 1●2 10月16日 4位
21 日本体育大 0●2 10月24日 5位
22 中央大 3◯2 10月30日 3位
※延期日程があるため、節順ではなく開催日順に結果・順位を表示しています。
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