2022年関東大学サッカーリーグ戦2部参入プレーオフ決定戦

2022年 1部参入プレーオフ決定戦
駒澤大学(1部10位) 0(0-2)5 東海大学(2部3位)

 誰がこの結果を予想しただろう。

 誰もが「コンセプトに似たところがある」と認めるチーム同士の対戦。勝敗がどちらに転んだとしても、僅差か、あるいはスコアレスドローもあり得ると思われていた。シュート数は11対11と同数。しかし、試合後のビジョンには大差といえるスコアが表示されていた。





 立ち上がりはどちらも慎重だったが、次第に東海大が積極的に攻撃を仕掛け始める。呼応するように駒大もプレスを強めるが、東海大は10番・杉山祐輝らを中心に裏へとパスを通して前線を活性化させる。激しい競り合いが展開される中で、先に決定機を迎えたのは東海大。24分、コーナーキックの流れから17番・桑山侃士がヘディングシュートを叩き込むが、これはオフサイドの判定にノーゴールに。だが、東海大はその後も主導権を握り続け、37分には駒大のクリアボールを拾った6番・坂本翔から9番・藤井一志とつなぎ、スタメン中唯一の1年生で、最終節に2ゴールをマークした27番・長木仁がマイナスのパスを出す。これを受けた7番・西山拓実が、ペナルティーエリア外から狙い済ましたミドルシュートを流し込む。「(コースは)見えていたので、ボールをもらったときにはもう(シュートを)打とうと思っていた」(7番・西山)。ゲームキャプテン・7番・西山の強烈な一撃で東海大が先制する。東海大は前半終了間際の45分に、10番・杉山が左サイドで倒されてフリーキックを獲得。7番・杉山のキックがゴール前に落ちたところを、2番・長江皓亮が右足で押し込んで追加点。0-2と東海大リードで試合を折り返した。





 引き分けでも残留とはいえ、2点のビハインドを負った駒大は勝負に出る。後半頭から、10番・仲田瑠、18番・上野正騎の2人を一気にピッチへと送り出す。セットプレーを増やすなど攻勢を強めるが、東海大の堅固な守備に阻まれ決定機を作るまでには至らない。すると52分、そのセットプレーの流れから東海大がカウンターを仕掛ける。8番・堤太陽がペナルティーエリア近くで相手のボールをカット、そのまま一気にハーフウェーラインまで持ち上がると、右サイドの9番・藤井にパス。9番藤井はペナルティーエリア近くまでドリブルで持ち込み、ゴール前にスルーパスを入れる。これをゴール前に抜け出した6番・坂本が左足で合わせて3点目。
東海大がさらにリードを広げる。駒大もすかさず20番・野村天真を投入。20番・野村は右サイドから何度となくチャンスを作り出すが、どうしても得点機に結びつけることができない。そんな中、東海大は62分に9番・藤井が倒されてフリーキックを獲得。ペナルティーエリアやや左手前の絶好の位置から、7番・西山が蹴り入れたボールを、2番・長江がゴール前へ頭で落とし、最後は17番・桑山が蹴り込んで4点目。駒大を大きく突き放す。東海大はさらにその4分後の66分、GK1番・佐藤史騎からのゴールキックを27番・長木がヘディングで流すと、それに9番・藤井が反応。DFをかわすと前に出てきたGKの位置を冷静に判断し、ペナルティーエリアの外からループシュートを放って勝負あり。

 東海大はその後、交代によってディフェンスを強化。きっちりと守りを固めて駒大の反撃を封じ、危なげない試合運びで90分をフィニッシュ。0-5と大量得点を挙げ1部参入プレーオフ決定戦で勝利を収めた。

 東海大の今川正浩監督は「勝ちは目指していたが、この結果は想定外の展開」と驚きと喜びを隠せない表情。今季は2部リーグ中最多の42得点をマークし、それがこの大一番でも出た形になったが「うちは守備をテーマにやってきたチーム。
全員がその守備に意識をもてたことが、得点につながった」とブレない”東海大のサッカー”が圧勝につながったことを強調した。

 2年前には神奈川県リーグ降格の憂き目に遭いながらも、同年度、コロナ禍での唯一の全国大会『#atarimaeni CUP サッカーができる当たり前に、ありがとう!』で日本一に輝いた。先制点を挙げた7番・西山は「2年前の決勝で、自分はスタンドで見るだけだった。強い東海大を取り戻しているな、と感じながらも悔しかった。今日はその悔しさをぶつけた」との気持ちを吐露。同じ会場で、今度は自分が中心となってチームを勝利に導いた。





 37年前の入れ替え戦、同じ対戦カードで1部リーグに昇格した東海大は、昇格を果たしたその年に1部リーグ優勝を達成。90年代初頭には数々のタイトルを手にするなど”東海大黄金時代”を迎えたが、すべてのスタートは入れ替え戦での勝利だった。

 はたして37年前同様、東海大黄金時代は再来するのか。14年ぶりとなる1部リーグでの東海大の活躍に期待がかかる。




■2022年 1部参入プレーオフ決定戦 結果・公式記録
■1部参入プレーオフ決定戦 Web版マッチデイプログラム『Never』

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