今季の歩み
慶應義塾大学(2部リーグ9位)
今季、3年ぶりとなる2部リーグを戦う慶應義塾大学の滑り出しは、決して悪いものではなかった。
開幕戦こそ、今季関東リーグ復帰の青山学院大学に惜敗を喫したものの、その後は3連勝し、第3節には首位に浮上。5月中は勝てない期間があったものの、第10節までは4戦連続負けなしで首位をキープしている。
転機となったのは、6月中旬3連戦の最終戦となる、立正大学戦での敗戦だ。この敗戦で慶大は4位に陥落。のみならず、8月の第12節・日本大学戦、第13節・東京学芸大学戦も敗れて3連敗。順位も6位にまで後退した。のみならず、3連敗中は1点も挙げられない“ゴール欠乏症”に苦しめられた。
中断期間明けの10月からは、連勝はないものの引き分けを挟んで5戦負けなしと立て直したが、上位グループの接戦についていくことはできず順位はジリジリと落ちて8位に。それでも、降格・プレーオフ出場圏内とは勝点差が開いており、必ずしも危機的状況にあるといえなかったのは事実だ。
しかし10月中旬に差し掛かると、降格圏に沈む青学大が恐ろしい勢いで回復曲線を描き始める。慶大と引き分けた翌々節の第18節から連勝を重ね、慶大を射程圏内に捉え始める。第20節に中央大学に敗れたことで、ついにその差は勝点2に。第21節の東海大学戦に辛くも引き分けたことで逆転は免れたが、最終節で日本体育大学に敗れ、ついに9位に転落。2部参入プレーオフ決定戦に回ることとなった――。
首位から一転、プレーオフ出場へ。目まぐるしいシーズンを過ごした慶大だが、今年は上位グループも下位グループも近年にない接戦で、何かのきっかけでどのチームにも慶大と同じような道をたどる可能性はあった。慶大の最終成績は7勝7分8敗と五分に近く、例年であれば十分2部リーグ残留圏内だ。
特に守備に関してシーズンを通して大崩れすることがなかった。敗れた試合も3失点以上はなく、シーズン26失点は中位グループの数字だ。一方で、最後の最後まで得点力不足には悩まされた。ここ数年来の得点源である、橋本健人(現レノファ山口)が卒業し、その穴を最後まで埋められなかったという印象だ。
対戦相手の亜細亜大学も、関東大会の5試合で3得点2失点、勝利した3試合はいずれも1-0と最少得点で勝ち抜いてきた。慶大、亜大の両チームとも守備出身の監督が率いているだけに、拮抗した試合になることが予想される。1点が、勝負を分ける可能性は高い。
慶應義塾大学 リーグ戦結果と順位の変遷
節
|
開催日
|
対戦相手
|
スコア
|
順位
|
1
|
4月3日
|
青山学院大学
|
0●1
|
12位
|
2
|
4月6日
|
明治学院大学
|
3◯0
|
2位
|
3
|
4月9日
|
産業能率大学
|
2◯1
|
1位
|
5
|
5月1日
|
東海大学
|
1◯0
|
1位
|
4
|
5月8日
|
城西大学
|
2△2
|
1位
|
6
|
5月15日
|
関東学院大学
|
0●1
|
1位
|
7
|
5月29日
|
日本大学
|
3◯2
|
1位
|
8
|
6月5日
|
東京学芸大学
|
4◯0
|
1位
|
9
|
6月11日
|
中央大学
|
1△1
|
1位
|
10
|
6月15日
|
日本体育大学
|
2△2
|
1位
|
11
|
6月18日
|
立正大学
|
0●2
|
4位
|
12
|
8月6日
|
日本大学
|
0●2
|
6位
|
13
|
8月24日
|
東京学芸大学
|
0●1
|
6位
|
15
|
10月1日
|
関東学院大学
|
2△2
|
7位
|
16
|
10月8日
|
青山学院大学
|
1△1
|
8位
|
17
|
10月11日
|
産業能率大学
|
2◯1
|
8位
|
18
|
10月16日
|
城西大学
|
0△0
|
8位
|
19
|
10月22日
|
明治学院大学
|
1◯0
|
8位
|
14
|
10月25日
|
立正大学
|
0●2
|
8位
|
20
|
10月29日
|
中央大学
|
0●2
|
8位
|
21
|
11月6日
|
東海大学
|
1△1
|
8位
|
22
|
11月12日
|
日本体育大学
|
0●2
|
9位
|
※延期日程があるため、節順ではなく開催日順に結果・順位を表示しています。
今季の歩み
城西大学(2部リーグ10位)
昨季、2部参入プレーオフ決定戦でアディショナルタイムの劇的なゴールで立教大学を下し、11年ぶりの関東2部リーグ復帰を果たした城西大学。久しぶりの関東リーグではなかなか勝てずに苦戦したものの、随所に“城西大らしさ"を見せて10位という結果に終わった。
新型コロナウイルス感染症の影響によって開幕戦が延期となり、いきなり出鼻をくじかれる形となった城西大のシーズンスタート。初戦となった第2節の日本体育大学戦では黒星を喫するが、続く中央大学、慶應義塾大学といった昨季まで1部のチームには引き分け。しかも中大、慶大相手に2得点を挙げ、その後もコンスタントに得点を挙げるなど防戦一方ではなく"勝ちにいく姿勢”が強く感じられた。しかし、その後は2連敗を喫し、ようやく初勝利を挙げたのは6試合目となる産業能率大学戦。その後、6月中に行われた5試合は1勝2分2敗と五分に近い成績を残し、順位も最高で7位にまで浮上した。
だが、後期は前期以上に苦しむこととなった。引き分けを挟みながら連敗が続き、前期最終戦から9戦連続で未勝利に。順位も11位と12位と自動降格圏内が定位置となってしまった。ただその9戦の中でも、1点も取れずに90分を終えたのはわずか2試合。1点ないし2点は奪取し、圧倒された試合は数えるほどだった。
その成果が出たのは、降格圏に沈むチームとの直接対決となったラスト3戦。城西大は第20節で、10位・明治学院大学に5-0と大差で勝利し10位へと浮上する。「ここ数試合はとてもいいゲームをやれていて、チーム状態はよかった」(城西大・東海林毅監督)との言葉どおり、惜しい試合をしながらも勝てなかった城西大の良さがすべて出た試合だった。続く東京学芸大学も3-2で下し、最終節を前に11位・明学大との勝点差は3に開いた。たとえ最終節で明学大に勝点が追いつかれても、得失点差で20点近く優位。現実的に考え、この時点で城西大の3部リーグ自動降格回避が決定した。
シーズンのほとんどを、自動降格圏内で過ごした城西大だったが、最後の最後に10位に浮上し、プレーオフ参入戦への出場で2部リーグ残留の可能性を残した。決め手となったのは得失点差、特に総得点数だ。総得点34という数字は、中位~上位グループに近い数字だ。失点は少なくなかったが、この得点数が最後にモノを言った。もともと、裏をついてサイドからのクロスで得点という形を狙っていたが、5点を挙げた第20節の明学大戦では原山祐里、森高玲らが狙い通りの形でチャンスを作ったことで「前の3枚が非常にうまくはまった」(同監督)。これまでも浅賀凱斗を起点とした攻撃には定評があったが、多彩な攻撃パターンを見せつけた。
2部参入プレーオフ決定戦で対戦する作新学院大学とは、昨年の関東大学サッカー大会で対戦。そのときは1-0で城西大が勝利している。得点力のある城西大だが、早い時間帯に失点した試合では勝ちきれず苦戦を強いられている。その意味でも、早い時間帯の先制点が勝利の鍵となりそうだ。
城西大学 リーグ戦結果と順位の変遷
節
|
開催日
|
対戦相手
|
スコア
|
順位
|
2
|
4月6日
|
日本体育大学
|
0●1
|
11位
|
3
|
4月9日
|
中央大学
|
2△2
|
8位
|
4
|
5月8日
|
慶應義塾大学
|
2△2
|
11位
|
6
|
5月15日
|
明治学院大学
|
1●2
|
11位
|
5
|
5月22日
|
東京学芸大学
|
2●3
|
11位
|
7
|
5月29日
|
産業能率大学
|
2◯0
|
11位
|
1
|
6月1日
|
立正大学
|
2●3
|
11位
|
8
|
6月5日
|
関東学院大学
|
3△3
|
12位
|
9
|
6月11日
|
日本大学
|
1△1
|
12位
|
10
|
6月15日
|
青山学院大学
|
3◯0
|
7位
|
11
|
6月18日
|
東海大学
|
1●3
|
9位
|
12
|
8月6日
|
日本体育大学
|
1●2
|
10位
|
13
|
8月9日
|
産業能率大学
|
0●1
|
11位
|
15
|
10月1日
|
中央大学
|
1△1
|
12位
|
16
|
10月8日
|
立正大学
|
2●4
|
12位
|
17
|
10月11日
|
関東学院大学
|
1●3
|
12位
|
18
|
10月16日
|
慶應義塾大学
|
0△0
|
11位
|
19
|
10月22日
|
日本大学
|
1●2
|
11位
|
14
|
10月25日
|
東海大学
|
1●2
|
11位
|
20
|
10月29日
|
明治学院大学
|
5◯0
|
10位
|
21
|
11月6日
|
東京学芸大学
|
3◯2
|
10位
|
22
|
11月12日
|
青山学院大学
|
0●1
|
10位
|
※延期日程があるため、節順ではなく開催日順に結果・順位を表示しています。