2021年関東大学サッカーリーグ戦2部参入プレーオフ

立教大学(2部10位)

城西大学(関東大会3位)

2部参入プレーオフ 見どころ


 3年連続の10位と、ここ数年苦しい戦いを続けてきた立教大学。だが今季は「まずはしっかりとした守備から攻撃」(立教大・池上礼一監督)を掲げるように、今季は特に堅固な守備が光った。リーグ戦の総失点数は「20」。これは優勝した東京国際大学、2位の東洋大学に次ぐ数字だ。

 一方で課題となったのが得点力だ。「得点力を伸ばすことができず、結果として勝点が伸びなかった」(同監督)。その一因として挙げられるのが、他大学からのスカウティングに、十分に対応しきれなかったことだ。9番・宮倉樹里杏の高さと力強いプレー、11番・桐蒼太の速さ、2番・堀博昭の正確無比なキックは、昨季から立教大の攻撃のキーとなっていたが、それぞれが「研究されてしまい、それに対してチームとしてプレーを高めることができなかった」と池上監督。

 ただ、シーズン終盤には新たな収穫もあった。第21節では「紅白戦などでいいパフォーマンスを見せ、スタメンを勝ち取った」という下級生たちが躍動。献身的なプレーからのボール奪取、機を見ての攻撃参加などで今季リーグ最多となる3得点を挙げて勝利。新戦力の台頭がチームの底上げにつながった。

 「我々スタッフが何かを変えたのではない。選手たちが自身の考えでチームを変えていった」(同監督)。立教大は続く最終節でも勝利を収めてリーグを終え、2連勝という上向きの状態でこのプレーオフに臨むことになった。

 またこれら下級生の台頭で、チーム内競争はさらに厳しいものとなった。「本来であればもう引退の時期を迎えている」という4年生たちも「まだまだ厳しいポジション争いをしている」と池上監督。リーグ戦では不完全燃焼に終わった4年生にとってはこれが最後のチャンスとなるだけに、気合いは十分。今季は対戦相手の「研究」に苦しんだ攻撃陣も、今度こそ、それを上回るパフォーマンスを見せたいところ。特に、対戦機会の少ない城西大には十分以上の脅威となるだろう。

 「真面目で粘り強い選手が多いのが特徴」という立教大。その特徴を突き詰めて強化した守備力に、今季最後の一戦ではさらなる攻撃力をプラスして臨みたい。



 対する城西大学も「いい守備からいい攻撃」を掲げるチームだ。優勝した埼玉県リーグでは71得点、得失点差66という数字が目を惹くが、「数試合のゴール数が突出しただけで、本来は拮抗した戦いでも守り切るタイプのチーム」と城西大・東海林毅監督。5失点という、埼玉県リーグ唯一の一桁台の失点数が、城西大の特徴をもっともよく表しているのかもしれない。

 それだけに、関東大会で僅差の試合が続いたことに驚きはなかったという。「そんなに点が取れるチームではない。個で点を取るというより、よく守ってカウンターといったところに勝機、攻撃の緒(いとぐち)を見出そうと思っていた」(同監督)。それでも関東大会では中盤の7番・浅賀凱斗や25番・川口朔弥らが得点に絡み、DFの8番・庄司景翔がセットプレーで複数得点を挙げる強さを見せた。彼らの、数少ないチャンスを確実にモノにする力が参入プレーオフで発揮できれば、勝機は十分にあるだろう。

 また、埼玉県リーグでは、実力的に拮抗するような試合が少なかったというが、関東大会では「初戦から1-0や1-1といった試合で、集中力高く戦うことができた」ことも大きな収穫。「その中で、選手も自分たちなりのパフォーマンスを出せていた。すごく成長ができた」という。



 最終的には首位の明治学院大学に0-1で敗れ、得失点差で3位となったが、東海林監督は「押される展開であっても、いい奪い方から攻撃につなげられた」と評価する。大会を通じて高い集中力を保てたことで、チームとしての成長にもつながった。その成長が“最後の一戦”でどのような影響を与えるか。

 「(2部参入プレーオフは)非常に貴重な経験だし、失うものがない自分たちにとっては得るものしかない試合。勝てばもちろん昇格だが、それよりもいろいろなものが得られる戦いだと全員が捉えられれば、いい結果につながると思う」(東海林監督)。



 ほとんど対戦経験がなく、ともに未知な部分の多い対戦。それだけに“自分たちのサッカーがどこまで通用するか”が勝利の重要なファクターになることは間違いない。

 立教大が5年目の関東リーグを戦うのか、それとも城西大が11年ぶりに関東リーグの舞台に立つのか。ともに守備を大切にするチーム。その中で、相手の粘り強い守備をかいくぐり、勝利への突破口を見出すのははたして――。

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